配偶者居住権の新設 | NPO法人鎌倉ファイナンシャル・プランナーズ

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手帳を見ると、先月に続いて今月も次々と予定がキャンセルで、横線ばかりになりました。

世界中でコロナ一辺倒の世の中ですが、4月から施行される民法改正の一つに、相続の分野では配偶者居住権の新設があります。

 

その意義は、よく言われているのは、ご主人が亡くなり残された奥様が住まいか生活費かどちらかを選ばなければいけなかった状況で、改正後はどちらも半分ずつ得られるようになるということです。

正確には「半分ずつ」ではなく、配偶者居住権に相当する金額は、自宅建物の時価、築年数、土地の評価額、残された配偶者の年齢、などによって計算されます。

 

例えば、亡くなった方が再婚していて、先妻との子供が後妻さんと折り合いが悪い場合で、遺産が評価額6千万円の自宅不動産と預貯金6千万円だったとします。建物の時価1,000万円、築10年、土地の評価額5,000万円、後妻さん75歳とすると、配偶者居住権は約2,600万円となり、後妻さんは自宅に住み続けたうえで、生活費として預貯金も約3,400万円を得られることになります。

 

 次に、あまり書かれていないのですが、配偶者居住権を利用することにより、二次相続で大きな節税になります。配偶者居住権を利用した人が亡くなると、その居住権は消滅し、配偶者居住権を設定していた不動産の所有権(負担付所有権)は、元の通常の所有権に復帰します。

上の例でいえば、自宅不動産は、一次相続では配偶者居住権(評価額2,600万円)と負担付所有権(評価額3,400万円)に分けて相続されますが、二次相続の際に負担付所有権が通常の所有権(6,000万円の価値)を持つ不動産に復帰します。そして、これ(復帰する2,600万円相当)は相続税の対象としないとの見解が国税庁から示されています。

 

配偶者居住権は、小規模宅地等の特例についで、相続における大きな節税策になりそうです。外出自粛で時間を持て余しているなら、こんなことにも目を向けてみてはいかがでしょうか。

(注:細かな条件や留意点は割愛していますので、詳細については専門家にご相談下さい。)

 

円満相続先導士 高橋一夫