零歳の赤ちゃんが見る世界 | NPO法人鎌倉ファイナンシャル・プランナーズ

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このところ「人生100年時代」の活字を頻繁に目にします。医学の進歩や健康志向の結果として寿命が伸び、充実したライフプランが可能となるというポジティブなイメージとして使われることが多いようです。しかし、今、零歳の赤ちゃんが今後100年間どんな世の中を生きることになるのかの予測データ本を見て、呑気にしてはいられない気分になりました。

 

数年間では世の中の変化に気付きませんが、50年、100年の長期間で見ると、日本の少子化、高齢化に伴う人口減少スピードはすさまじいことになるのです。この変化は既に始まっていて個人レベルではどうしようもないことですが切羽詰まった大問題です。

 

まず少子化―――親類・友人・知人など廻りを見ていても、「結婚しない」「晩婚」「離婚」の人達が多いという確かな実感があります。又、結婚しても子供の数はせいぜい2、3人。公表データによれば、人口規模を維持するためには2.07の出生率が必要なのに2016年は1.44ということです。仮に出生率が上がっても、これまでの流れで子を産む女性の絶対数も減っているので少子化傾向は止められないとのことです

 

次に高齢化—――団塊の世代(1947~49年生)が75歳以上になり医療・介護の社会保障問題が出てくる「2025年問題」もさることながら、団塊の世代に次いで人口ボリュームの大きい団塊ジュニア世代(1971~74年生まれ)が全て高齢者となる「2042年」には高齢者の絶対数はピークになり、その数年後には日本全体の死亡人数が急増し人口減少スピードが加速されます。

 

人口減少と歪な年齢分布―――少子化と高齢化は基本的に別々の問題ですが、今後日本ではこの2つが同時進行し、総人口は、50年後には現在の70%の水準、100年後には40%の水準、しかも国民の半分近くが高齢者になるとのことです。かつて若者3人が高齢者1人を支える騎馬戦型社会と言われましたが、現在すでに2.3人で1人を支える状態になっており1対1の肩車型社会にどんどん近づくことになります。

 

このまま改革がなければ今後次のようなことが起きると予測されているそうです。

2020年:女性の過半数が50歳以上になり出産可能な女性数が大きく減る。

2022年:独居世帯が拡大、夫婦と子供2人は多数派でなくなる。

2024年:全国民の6人に1人が75歳以上、3人に1人が65歳以上、

2026年:高齢者の5人に1人が認知症患者になる。

2033年:3戸に1戸は空き家になる。

2035年:男性の3人に1人、女性の5人に1人が生涯未婚。

2039年:死亡者数が急増し火葬場不足が深刻化

2040年:全国の自治体の半数近くが人口減で「消滅」の危機に。

2050年:現在の居住地域の約20%が「誰も住まない土地」になる。

2065年~:外国人が無人の国土を占拠する。

             (この時、今零歳の赤ちゃんはまだ47歳)

 

少子化、高齢化、人口減少、の流れを止める妙案は勿論ありません。移民、外国人労働者の受け入れ、AIの活用、女性や高齢者の労働市場参加などの議論はなされていますがどれも簡単でなく時間がかかりそうです。しかしあまり時間はかけられません。すべきことは、各世代が状況を理解し、今までのような拡大志向でなく、人口減少に沿って生活の豊かさを保ちつつ無駄を省いて縮小していく知恵を絞り出すことでしょう。

                                                                                                     Au