夫は
いつも離れて暮らしている家族が集まったりすると
急に家庭の大切さ、
家庭がうまくいっていることのありがたさを
思い出すらしく
しみじみと私に
「M、ほんとにありがとう…」
なんて言ったりする。
今も長女が自宅に帰省中で
長男夫婦も一緒に我が家で久しぶりに食事し
みんなで大笑いして楽しい時間を過ごした。
夜遅くまでみんなでわいわい盛り上がり
長男夫婦が帰って長女も客間に入り
寝室で2人になると
夫がまた神妙な顔でボソッと言う。
「M、ほんとにありがとう…」
「何が❓」
と聞くと
「いつも僕を支えてくれて…」
まただ。
なぜ素直に
「離婚しないでくれて」
と言えないんだろう。
「夫の不倫」という 妻にとっては
何にも耐え難い事態にぶちあたっても
結局、子どもたちに余計な苦労をさせたくない
穏やかな暖かい家庭を失いたくない
その思いと、不確かな夫への愛情に
私は自分のプライドを引っ込めた。
夫は今まで何度か私に謝った。
それはいつも私がどうにもならないほど
精神が崩壊し、夫に離婚を迫ったり、
子どもに相談させてと
夫にとっては脅しとも言える言葉で
仕方なく可能な限り短くか細い声で
一言、「ごめんね…」と言ったり
「すまない…」と言うのみ。
心からの謝罪とはとても思えない。
あれだけのことをしながら
もっと心を込めて謝れないのか?
夫は女と電話しているところを私に押さえられても
否定もせず、悪びれもせずすぐに不倫を認め
一時は女と別れないし、
私とも離婚しないと平然と言い放った。
(私が離婚を主張し続けると渋々女と別れるといいながら、それでも水面下で続いていた)
たまに「ごめんね」なんて言いながら
その後もすぐに
「不倫したのはMのせいだ」
と堂々と言い続け、その上
「不倫なんてみんなしてる。そんなに大げさに
責められるようなことじゃない。」
とまで言い続けている。
なのに今回みたいに子どもたちと
楽しい時間を過ごした後、
夫は我に返ったように
「M、ほんとにありがとう…」
と言う。
きっとそんな時、夫は心から思うのだろう。
きょうこの場に
夫と私、両方が幸せそうにしているからこそ
子どもたちとの幸せな時間が与えられるのだと。
だからこそ 私に
唐突に
「ほんとにありがとう…」
なんて言うのだろう。
夫め!
なぜ素直に
「離婚しないでくれてありがとう」
と言えないんだ?!
いい加減 素直に過ちを認めてくれたら
今だに続く私の辛さも少しは和らぐのに…
母親に溺愛され、
小さい頃からずっと、仕事に就いてからも
いつもお山の大将でい続けていた夫。
きっと発覚から2年経って
そろそろ不倫脳からも覚醒してきたのか。
自分のやったことの愚かさに
気づき始めたのかもしれない。
それでもモラ夫は
自分の愚かさなんて
絶対に認めることはないんだろうな…


