まさかオールスター戦で沸いた直後のニューヨークで、野茂引退のニュースを聞くことになるとは思わなかった。
僕にとって、野茂は英雄(ヒーロー)である。
いや、僕にとってだけじゃなく、野球ファンを超えた本当に多くの人たちにとっての英雄(ヒーロー)である。
心からお疲れさま、と言いたいところだが、
引退に際しての彼の言葉・・・
「僕の場合は悔いが残る」
このコメントがやっぱり引っかかる。
野茂らしいと言えば、野茂らしいのかもしれないが。
日本球界とはけんか別れのような形で渡米した経緯から、日本球界復帰はありえないとの見解があったが、
僕はありえる話だと思っていた。
楽天や横浜への移籍へ向けた交渉があったのは事実であろうし、ほぼ確実とまで報じた新聞もあった。
それから一体、何があったのだろうか。
野茂は未だ、現役続行への意欲があった。
たとえそれが日本球界への復帰であっても、極めて前向きに検討していたのではないだろうか。
彼が頑なに拒んだのではなく、日本球界の側が復帰を断固として拒否したのだとしたら・・・。
日本の野球界は、野茂という至宝を二度までも失った、といことにならないか。
真相はわからない。
僕のような素人が推論すべきことではないのかもしれない。
「僕の場合は悔いが残る」・・・この野茂の言葉は何を意味するのだろう。
そして楽天移籍が騒がれた際の、野村監督の言葉・・・
「人道的にもとれない」
野茂が日本球界のルールを破る形で95年に渡米した経緯を“人道的に”許されないと認識している…
これは野村監督の個人的な意見というよりかは、日本球界という旧態然とした組織の病弊の欠片ではないのか。
ドジャースタジアムのマウンドに立つ野茂を、一度だけ生で見たことがある。
残念ながらその試合では負け投手になってしまったのだけれど、それでもあの時のわくわく感は忘れられない。
ロサンゼルスのトルネードは、めちゃくちゃ格好よかったよ。