前回、ポジティブな感情が記憶力を活発化させるという話を取り上げました。
「好きな勉強」はどんどんはかどり、学習したことがよりよく定着していく…。
すると問題が解けるようになるので、自信を深めて「もっと好きになる」。
子どもの受験に伴走した経験から、実感がわきます。
一方、これが「逆」になるとどうなるか?
感情をつかさどる扁桃体により、「イヤだ」「不快だ」というネガティブな感情が働くと、ストレスホルモンが出てきて、記憶に関連した「海馬」の働きが抑制されて記憶力が低下、神経細胞の増加も抑えられてしまう。
「面白くない」、「つらい」、「また間違えた」といったネガティブな経験は、記憶や思考に悪影響を与える。
つまり、ネガティブな感情をもってしまうと、いくら詰め込んでも覚えられなくなる。
しかも、人間の脳は基本的に自分に好ましいこと、心地いいことを選びとり、それ以外は劣後させる特性があるという。
だから、嫌いなことや苦手なことは億劫になり、なかなかやる気が起こらない。
何かの拍子で苦手意識をもってしまうと、扁桃体が「不快」と判断するようになり、すると、すぐ近くにある海馬がうまく機能しない状態になる。
そんな状態で学習すると、いくら時間をかけても、どんなに努力を重ねても一向に覚えられず、身に付かない。
当然、テストを受けてもボロボロなので、「もっと嫌い」になる。
我が家でも、息子の苦手科目がこの「負のスパイラル」に陥ってしまいました。
苦手科目をやっている間、目はうつろな状態に。
かなりの時間を復習や演習に費やしましたが、なかなか成績は上向かず、入試直前まで低迷し続けました。
親も子も本当に苦しかった…。
そんなときは、苦手科目を改善することに注力するよりも、得意科目をどんどん伸ばし、自己肯定感を増し、自信を深めることでそれが他の科目にもいい影響を及ぼす、という方法があることは入試が終わってから知りました。