中受塾が各社HPなどで中学受験の合格実績を出していますが、塾によって得意とする学力層は異なります。
それぞれの塾が公表している合格者数をもとに、合格校の偏差値と合格者数から「合格者の平均偏差値」を算出し、比較したデータについて取り上げたいと思います。
合格校の偏差値(四谷大塚の80%偏差値)に合格者数をかけたものを合算し、塾の合格者総数で割って出しています。
主な塾の平均偏差値
SAPIX、エルカミノ、希:58
グノーブル、駿台・浜:57
早稲アカ、ジーニアス:54
啓明館:52
日能研:50
市進:47
栄光ゼミナール:46
合格者数は延べになっていて、1人で何校も受けた実績がカウントされていますので精緻ではありませんが、横並びで比較するとおおよその相対感がつかめます。
Y偏差値で統一しているので、まるっきり的外れということはないはずです。
それぞれの塾において、上記の偏差値あたりを中心として上下に広がっているようなイメージ。
「塾によって塾生のレベルがどれくらい違うのか」を一言で語ることはできませんが、レベル感を可視化する「ひとつの試み」として、おおよそのイメージはつかむことができます。
塾によって平均偏差値の幅が結構出ていることがわかります。
合格者総数に占める学校偏差値ランク別の合格者のウエイト
次に、偏差値帯ごとに①65以上、②60-64、③56-59、④51-55、➄46-50、⑥40-45、➆39以下に分類したデータについて見てみたいと思います。
例えば、日能研は、合格者総数約18000人に対し、合格校は、
①5%、②14%、③17%、④15%、➄13%、⑥24%、➆11%
という構成でした。
難関校から一般校まで幅広くカバーしていることがわかります。
⑥の部分が一番ウエイトが高いですが、③あたりの偏差値帯のウエイトも比較的厚くなっていることがわかります。
これに対し、平均偏差値で最も高いグループにある希学園のウエイト構成は以下でした。
①25%、②29%、③17%、④15%、➄3%、⑥8%、➆3%
偏差値60以上の偏差値帯で半分を超えていて、上位層が厚い構成であることがわかります。
SAPIX、エルカミノ、グノーブルといった塾もこれと同様の構成で、①と②だけで5割を超えていました。
早稲アカの構成は以下でした。
①11%、②22%、③19%、④15%、➄8%、⑥18%、➆8%
②、③あたりが比較的厚く、難関校志向といっていいと思います。
合格者総数を見ると、日能研、SAPIX、早稲アカの3社が1万人を超える「大規模集団塾」。
栄光ゼミ、市進がそれに次ぐ規模で、少し離れてグノーブル。
希やエルカミノ、駿台・浜は首都圏では比較的小規模。
塾選びは合格実績がメインになるとは思いますが、実際には、子どもの性格、学力、志望校を踏まえて、塾の規模やその得意とする偏差値帯も見ることが有効だと思います。