(389回)
さてさて
血小板の減少症について
もう一つ
HUS
hemolytic uremic syndrome
溶血性尿毒症症候群
これは先のTTPと
同様に
血小板血栓が沢山出来て
血小板減少と
腎臓の不全が起きる
疾患です
この疾患は
殆どが乳幼児です
さて原因を見てみましょう
先ずは
O-157のような
腸管出血性大腸菌が
産生する
vero毒素によって
血管内皮が障害を受けて
起きます
腸管出血性大腸菌に
感染すると
3~5日後に
急性胃腸炎が起きます
その3~7日後に
血小板減少
溶血性貧血
急性腎不全
が起きます
この3徴を呈すると
HUSと診断されます
ではそのメカニズムを
まず
体内に入った
腸管出血性大腸菌は
vero毒素を産生します
このvero毒素が
血管内皮を傷つけます
傷ついた血管内皮に
vWFフォンビルブランド因子が
吸着し
そこに血小板の
GP1b/Ⅸ/Ⅴが付き
粘着
放出
凝集が始まり
血小板血栓が出来上がり
血小板は消費されて減少します
その血栓に
赤血球がぶち当たり
壊れて
破砕赤血球となります
大部分は溶血するので
赤血球数は減少します
即ち溶血性貧血です
ここでポイント
HUSではTTPのように
ADAMTS13の欠乏はありません
またDICとの違いは
FDP,Dダイマーの
上昇はありません
あっても僅かです
TTPとHUS
DICとHUS
区別がつきましたか
山陽女子短期大学
臨床検査学科
谷口 薫