警察庁が令和5年分の行方不明者の統計を発表した。その中に、認知症の方の統計も含まれていることを受けて、マスコミが、いつも通りに騒いでいる。

 

記者さんも暇じゃない上、目立つ記事でないとデスクにダメ出しに遭うだろう。マスメディアは、不幸大好き、不安を煽る、企業案件、グルメと温泉が好きなのだから。

 

発表資料を少し整理してみた。

 

過去60年近くとって、数字があまり変わらないという統計は珍しいかもしれない。

但し、内訳は、かつては「少年」が過半であったのに対し、成人が8割を占めるようになった。昭和から平成になる頃が区切りであろう。

 

 

2015年と2023年を比較すると、8,109名増加し、認知症6,831名増、一般成人3,945名増の一方で、少年が2,667名減となった。認知症の急増は、それ自体の増加もあるだろうが、啓蒙活動などで積極的に届出するようになったのではないか。一方、少年の減少は、端的に人口減少かもしれない。かつては年間200万人うまれていたのに近年は半分以下だから当たり前ともいえる。また、かつての「家出」までする必要がなくなっている可能性もあろう。

 

次に届け出のうち所在確認等が行われた比率である。両データのとり方が異なるため正確な対比はできないが、およその感じはつかめよう。かつては8割前後で推移しており、2割くらいはどこかに行ってしまっている。でも、昔はこういうのあったよね、という印象はある(古いドラマでもよくある)。一方、近年はほぼ100%で確認が取れている。それだけ捜索が高度化したともいえるが、少し探してダメなら警察に届け出しているのではなかろうか。

 

次に、届け出を出したらあとの話。

 

認知症の場合は、当日に72%、翌々日までで60%累計98%が確認されている。しかし、それ以降に発見されることはかなり難しくなることがわかる。数日が勝負。

 

認知症以外の場合は、当日に36%、翌々日までで累計60%にとどまる。但し、その後に発見される場合もずっと続くことになる。認知症と異なり、一定の意思をもって失踪していたり、登山や海、旅行などで遭難したりというのがあるだろうから、みつかりづらいのだろう。

 

さて、報道だと、認知症関連で553名も死んでいると強調しているが、それ以外は3,402名死んでおり、届け出ベースでみれば、認知症患者の死者率の方が小さい。

 

認知症の方の場合、いなくなったら「躊躇わず」に届け出をして、数日間は全力で捜索するべきだということになろう。