2005年08月12日(金) 22時12分18秒

イキモノノキモチ 5

テーマ:イキモノノキモチ

○41 同・休憩室(夜)
  木綿子が座っている。
  千尋、ドアを開け入ってくる。
木綿子「どうだった?」
千尋「うん……なんて言うか、圧倒」
木綿子「ふふ。あの子はね、2年前、怪我をしていて保護されたの。それからなんだかんだあってここに来たんだけど、案外この仕事も気に入ってるみたい」
千尋「へえ」
木綿子「千尋ちゃん」
千尋「はい」
木綿子「結局ね、動物というのは人間とは違う生き物なの。いい意味でも。悪い意味でも。心が読めるからと言って、人間の価値観で動物を判断してはいけないのよ」
千尋「…あ」


○42 回想(夜)
  千尋と若林が話している。
若林「悲しいとか寂しいって言ってない?」
千尋「それはこの状況を見た人間が思うことであって当の猫達は飲み込めてないの」
若林「ふうん」
千尋「かわいそうなんて思うのは人間だけが持っているエゴイズムよ」


○43 同・休憩室
千尋「私、わかっていたと思っていた。わかっているつもりだった」
木綿子「それがわかっただけでも一歩成長。今日のレクチャー終了。(笑って)帰ろっか?」
千尋「はい」


○44 帰り道
  千尋の携帯の音が鳴る。
  千尋、携帯を見る。
  画面には「(タイトル)母より(本文)都会に負けるなよ~(絵文字)」とか書かれている。
千尋「絵文字なんか使っちゃって」


○45 都内近郊・春の空(昼)
  晴れ渡った空。桜の木が見える。


○46 フラワーさとう・店内
  千尋が一所懸命働いている。
  奥で笑顔で見つめている佐藤。
  後ろから若林が出てきて佐藤に何か言っている。
  佐藤、若林を小突く。
  若林、頭を押さえながら笑う。


○47 街(夜)
  住宅街から少しはなれた場所。
  石段を昇っている千尋。


○48 同・道
  電柱を真ん中に、道が二又に別れている。
  右を見つめる千尋。
  左を見つめる千尋。
千尋「久しぶりだし…」
  左へ行く千尋。


○49 同・家の前
  静かで誰もいない様子。
  チャイムを押す千尋。首をかしげる。
千尋「…おじゃましまーす」
  家の中に入っていく千尋。


○50 同・家の中
  家の中を見回す千尋。
千尋「木綿子さーん?」
  居間に行くと「千尋ちゃんへ」と書いてある置き手紙がある。
千尋「千尋ちゃんへ……?」
  千尋、封を開けて読む。
千尋「千尋ちゃん。黙って出て行ってごめんなさい…」
  以下、声とNAがクロスする。
木綿子NA「……いてごめんなさい。お仕事の都合でこの場所を離れなければならなかったのです。今、私はアフリカに来ています」
千尋「アフリカ……」
   ×   ×   ×
  インサート。
  ジャングルのような景色。木綿子がジープに乗って空を見ている。
木綿子NA「私は、人間と動物のさらなる理解のためにここで少し自分を見つめなおそうと、アニマル・テレパスがなぜ人間に与えられたのか、その意味を探りたいと思っています。アニマル・テレパスが人間の進化のかたちなのか、それとも神様の気まぐれなのか。いずれにしても必要な力だからこそ持っているのだと信じています。千尋ちゃんも色々と辛い事、悲しい事、たくさん待っているかもしれないけれど、負けないで頑張ってください。地球の裏側から応援しています。木綿子より」
   ×   ×   ×
千尋「木綿子より…」
  手紙を置き、窓を見つめる千尋。
千尋「うん。私、負けないよ!木綿子さん」


○51 フラワーさとう・店外(昼)
  店の前では若林が声を出している。
若林「いらっしゃいませ。あ、奥さん。この花いかがですか?」
主婦「じゃあ、一本もらおうかしら」
若林「毎度ありがとうございます。あ、こっちの花もいかがですか?」


○52 フラワーさとう・店内
  せわしい様子。
千尋「756円になります」
  佐藤が裏から出てくる。
佐藤「千尋さん」
千尋「あ、はい」
佐藤「配達に行ってきます」
千尋「行ってらっしゃい」
佐藤「あとは頼みますよ」
千尋「はい。(お客を見送って)ありがとうございました」
 客が全員帰ったのを見計らって、花の枝切りをしようとする千尋。
  花は優しく微笑む(ように見える)
千尋「(花に)ありがとう。ごめんね」
  枝を切る千尋。
  商店街のにぎやかな声が遠くに聞こえる。



  終わり。

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2005年08月11日(木) 22時08分51秒

イキモノノキモチ 4

テーマ:イキモノノキモチ

○31 千尋の家・中(夜)
  我に帰る千尋。
  コンビニ弁当はすでに冷めている。
  声にならない声を出しながら泣く千尋。
  突然、チャイムの音が鳴る。
  涙を拭きドアを開ける。
  ドアの外には晴美が立っている。
千尋「お母さん?」
晴美「こんばんは」
    ×   ×   ×
  テーブルの上にタッパが2,3個置いてある。
  タッパの中には晴美が作った料理が入っている。
千尋「どうしたの、急に?」
晴美「どうせさ、あなたの事だから自炊なんてしないと思ってね」
千尋「それは、そうだけど…美味しそう。食べていい?」
晴美「いいわよ」
千尋「いただきまーす」
  千尋、ご飯を食べ始める。
千尋「お父さんは?」
晴美「今日は大阪に出張。一泊するんだって」
千尋「ここに来る事は言ってあるの?」
晴美「ううん、黙って来ちゃった」
千尋「だめじゃん。電話とかかかってくるかもしれないし」
晴美「大丈夫。ほら見て」
  晴美、バックから携帯を取り出す。
千尋「あ、電話買ったんだ」
晴美「そう。まだメールとかやったことないから…お父さんもそういうことには疎いでしょ?だから千尋、メル友になってね?」
千尋「メル友なんて、ナウい言葉知ってるじゃん」
晴美「まあね」
千尋「ふふ」
晴美「ふふふ」
  笑い声が家に鳴り響く。
    ×   ×   ×
  一人になり、携帯のメールを打っている千尋。画面には「(タイトル)お母さんへ(本文)今日はありがとう。ちょっと落ち込んでいたんだけど、おかげで元気が出ました。お母さんも身体に気をつけてね♪」と書いてある。
  送信ボタンを押す千尋。
  携帯を見ながら笑みがこぼれる千尋。  


○32 動物園・園前(朝)
  木綿子に腕を引っ張られている千尋。
千尋「ちょ、ちょっと、木綿子さん」
木綿子「いいからいいから。ほら、こっち」
千尋「もう…」
  二人、園内に入る。


○33 同・事務室
  職員の前に立っている千尋と木綿子。
木綿子「じゃあ、今日一日体験お手伝いをしてくれる…千尋ちゃん…フルネームなんだっけ?」
千尋「え?…設楽千尋です」
木綿子「設楽千尋ちゃんです。みんな仲良くしてあげてね」
職員一同「はーい」
千尋「ちょ、ちょっと…木綿子さん」
  木綿子を奥へ引っ張る千尋。
木綿子「あ、痛い。みんなちょっと待ってね」
  部屋のすみに木綿子を寄せる千尋。
木綿子「なあに?」
千尋「体験お手伝いってなんですか?」
木綿子「ん?その名の通りだけど」
千尋「いや、そういうことじゃなくて」
木綿子「いいからいいから。あっち更衣室ね」
千尋「はあ」
木綿子「はあい。じゃあ今日も一日がんばりましょう」
職員一同「よろしくお願いしまーす」


○34 同・更衣室
  作業着に着替えてる千尋。
千尋「あの…」
作業員A「なあに?」
千尋「ここに居る人たちって全部…」
作業員A「ああ。アニマルテレパスよ」
千尋「そうなんだ。不思議」
作業員A「そう?」
千尋「はい。今まで能力のない人たちと生活していたんで」
作業員A「開発研究所出身じゃないんだ?」
千尋「はい」
作業員A「大変だったでしょう?」
千尋「え?」
作業員A「偏見…っていうのかな?アニマル・テレパスが世間に認知されてから十年。まだ普通の生活していくのは大変でしょう」
千尋「そうですね」
作業員A「まあ今日は嫌な事忘れて働いてくださいな」
千尋「はい」
作業員A「しっかりね」
  作業員A、更衣室を出る。
  考え事をする千尋。


○35 同・ペンギンの檻
  バケツとブラシを持ってくる千尋と木綿子。
木綿子「ここでね、床をゴシゴシするの」
千尋「なんか臭いですよ」
木綿子「当たり前でしょ?だから掃除するの」
千尋「はあ」
木綿子「じゃあ、作業開始―」
  ブラシで床を磨く千尋と木綿子。


○36 同・チンパンジーの檻(昼)
  清掃道具を持ってる千尋。
木綿子「じゃあここでは下に落ちたフンをこれですくっていこう」
千尋「はい」
  作業をしている二人。
木綿子「知ってる?チンパンジーやサルは人間と遺伝子配列がほとんど変わらないんだって」
千尋「へえ」
木綿子「だから、彼らの言ってる事は結構読み取りやすいのよ」
千尋「そうなんですか?」
木綿子「耳を傾けてみて」
  チンパンジーを眺める千尋。
  チンパンジーの気持ちが千尋の意識に流れ込んでくる。


○37 同・イルカがいるプール
  イルカにえさをやっている千尋。
  楽しそうな様子。


○38 同・休憩室
  コーヒーを二つ持ってくる木綿子。
木綿子「お疲れ様(コーヒーを渡す)」
千尋「あ、ありがとうございます」
木綿子「疲れたでしょ?」
千尋「はい。あ…いえ」
木綿子「いいのよ。最初は誰だって疲れるんだから」
千尋「はい」
木綿子「でもやりがいがある仕事…」
千尋「……声が聞こえました」
木綿子「声?」
千尋「はい。檻から出たいって言う声が」
木綿子「……」
千尋「なんか、寂しくなってきちゃって」
木綿子「まあたしかに、そういう声もあるでしょうね。でもね、そういう声だけじゃないと思う」
千尋「……」
木綿子「人間にもいろんな考えを持った人が居るように、動物もいろんな考えを持っているわ。」
千尋「……ええ」
木綿子「偏見にとらわれないで耳を傾けてみ て」
千尋「そうですよね」
木綿子「うん。あ、それ飲んだらいい所連れてってあげる」
千尋「いいところ?」
木綿子「ふふ」
千尋「?」


○39 同・中央広場
  千尋と木綿子が広場の中央に立っている。
木綿子「……いい?」
千尋「……はい」
木綿子「精神を集中して!」
千尋「……」
木綿子「聞こえる?ここは動物園の真ん中に位置する場所だから色々な声が聞こえてくると思う」
千尋「あ……なんか優しい感じ」
木綿子「うん、上出来。じゃあ次はこっちね」
木綿子、強引に千尋を引っ張る。
千尋「あ、ちょ、ちょっと」


○40 同・ベンガルトラの檻
  二人の前にはベンガルトラが寝ている。
千尋「べ…べべ…」
木綿子「ベンガルトラ」
千尋「ベンガルトラ…」
木綿子「食物連鎖の頂点に立つ動物。世界で一番強いの。」
千尋「へえ。ライオンより…おっきい」
  木綿子、突然檻を叩きだす。
木綿子「おーい、起きろ~」
千尋「な、木綿子さん!」
木綿子「ん?」
千尋「怒られますよ!」
木綿子「……誰に?」
千尋「と、トラさんに」
木綿子「ああ。平気平気。この子そんなことじゃ怒らないから」
  木綿子、まだ檻を叩いている。
  ベンガルトラ、のそっと起き上がる。
千尋「ああ…あああ」
木綿子「(トラに)今日はね、お友達連れてきたの。千尋ちゃんって言うの。かわいいでしょ?」
トラ「……」
木綿子「ほら、自己紹介」
千尋「あ、あの、えっと、設楽千尋です」
木綿子「じゃああとはヨロシク」
  木綿子、帰ろうとする。
千尋「え、行っちゃうんですか?」
木綿子「そいつにさ、今のあなたの不満とかぶつけてごらんよ。きっと答えが見つかると思うよ!」
千尋「(トラの方を見て)……」
トラ「……」
千尋「あの…あの…私、わかんなくて。こんなところに閉じ込められて。逃げたいとか思わないのかなって。私ね…花屋に勤めているんだけど、最近花をね、切るとき、悲鳴が聞こえてくるの。切らないでって言ってる感じ。それで私わかんなくなっちゃて。それで木綿子さんに出会って、木綿子さんは私よりも能力が高いし、ここに居る人はみんな私より能力……アニマルテレパスが高いのにどこで折り合い付けているのかなって……あれ、私何言っているんだろ。あの、あのねトラさん。トラさんはどう思っているの?ここから出たくないの?私はこんなところに閉じ込められるのなんて…あ、ごめんなさい。でも私も見えない檻に閉じ込められているのかな」
トラ「……」
千尋「なんか一気に話して疲れちゃった」
トラ「たしかに…」
千尋「え?」
トラ「たしかに千尋の言っている事は正しい。私も出たいと考えた事はある。だが、自分を楽しみに観に来てくれる子供たちがいる。私は子供たちの笑顔を見られるだけで満足なんだよ」
千尋「そっか…そうだよね」
  千尋、笑う。
  トラ、寝そべって眠る。
千尋「うん…ありがとう、トラさん」

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2005年08月10日(水) 22時06分14秒

イキモノノキモチ 3

テーマ:イキモノノキモチ

○21 木綿子の家・玄関(日替わり・朝)
  玄関の前に立つ千尋。
  呼び鈴を押す。


○22 同・和室(昼)
  二人で猫の遊び道具を作っている様子。


○23 同・ベランダ
  動物たちが縦横無尽に駆け回っている。


○24 同・和室
  お茶を千尋に差し出す木綿子。
千尋「ありがとう」
木綿子「(座って)完成したね」
千尋「うん」
  木綿子、じぶんのほっぺを指差す。
木綿子「ここ」
千尋「ん?」
木綿子「(笑う)」
千尋、じぶんのほっぺを触る。ペンキが指に付く。
千尋「…あ」
木綿子「ふふ」
千尋「あはっ…こんなに一所懸命になったの久しぶりかも」
木綿子「ねえ、千尋。明日さ、私の職場に遊びに来ない?」
千尋「職場って…動物園?」
木綿子「そう」
千尋「……」
  木綿子、笑ってお茶を飲む。


○25 千尋のアパート・中(夜)
  コンビニ弁当を食べている千尋。


○26 千尋の実家(回想)
  女の子(千尋)の前に夕ご飯が並んでいる。
  黙ってうつむいている千尋。
  千尋の母親・晴美(44)が千尋を見ている。
晴美「千尋、食べないの?」
千尋「……」
晴美「……」
  千尋の父親・大輔(50)が部屋に来る。
晴美「あなた、千尋が…」
大輔「ああ。(千尋に)どうした?おなかすいてないのか千尋」
  千尋、泣いている。
大輔「千尋…」
千尋「グスッ…グスッ」
晴美「……」


○27 病院・診察室(回想・昼)
  診察室には晴美と先生がいる。
  先生、カルテを見ている。
先生「ペットロスですね」
晴美「ペット…ロス?」
先生「はい。大事なペットを失った時に起こる心の病です」
晴美「そんな…」
先生「家族同然のペットを失った事により、心がひどく弱くなってしまうんです。飼っていたペットに感情移入が激しいほど失ったショックも大きい。死因は?」。
晴美「交通事故です。突然の出来事だったので」
先生「そうですか…」
晴美「千尋は…千尋は治るんですか?千尋に何かあったら私…(立ち上がって)私!」
先生「落ち着いてください。お母さん」
  晴美、先生に押さえられ椅子に座る。
晴美「うう…うううっ」
  晴美、泣き崩れる。


○28 同・診察室の前(回想)
涙を流している千尋。
先生NA「とにかく、今は家族のケアが一番の薬です」 
千尋「べス…」


○29 千尋の実家(回想・朝)
  新聞を見ている大輔。
  食器を洗っている晴美。
大輔「最近、千尋の様子はどうなんだ?」
    ×   ×   ×
  インサート。
  ランドセルを背負って道を歩いている千尋。
晴美NA「前と比べたら元気にはなったと思うんだけど…」
  ペットショップの前で立ち止まる千尋。
  檻に入った犬を見つめる千尋。
晴美NA「笑わないの。あの子」
  頭に何か話し声らしきものを感じる千尋。
  目の前の犬を見つめる。
千尋「あなたが…話かけてきたの?」
  千尋の頭に話し声らしきもの。
千尋「おなか…すいたの?」
  じっと千尋を見つめる犬。
千尋「そこから、出たいの?」
   ×   ×   ×
大輔「もう少し様子を見て、それから考えよう。時間が解決してくれるかもしれないからな」
晴美「はい」
  新聞を読み直す大輔。テレビの音が聞こえる。
テレビ「…国会でアニマル・テレパスに関する法案が可決されました。これにより国家体制でのアニマル・テレパスの保護、開発研究所の設置。並びに…」


○30 中学校・教室(回想・昼)
  休み時間。千尋(中学生)に同級生が話しかけてくる。
同級生A「人の心までわかっちゃうのかな?」
千尋「え…なんの話?」
同級生B「アニマル・テレパスだよ」
千尋「アニマル…?」
同級生A「千尋、知らないの?人間の隠された能力、その名もアニマル・テレパス」
同級生B「現在、分かってる段階ではテレパス能力は4段階あってその強さによってレベルⅠからⅣまであるんだって!」
同級生A「どう違うの?」
同級生B「よくわかんないけど、最初は動物の感情を読み取るくらいから始まって、レベルが上がると植物の気持ちまでわかっちゃうみたい」
同級生A「じゃあ人間は?人間も動物でしょ?」
同級生B「アニマル・テレパスは人間の進化の可能性を表す能力です。人間の心は複雑すぎて、レベルⅣの能力者も読み取ることができません。周囲のみなさんは偏見や差別の目で見るのはやめましょう、だって」
同級生A「なにそれ?」
同級生B「政府が出したチラシに書いてあったの」
  同級生B、チラシを見せる。
千尋「……」
同級生A「でもさ、本当は読めちゃったりして」
同級生B「う~ん、こればっかりは本人に聞いてみないとなんとも言えないなあ」
千尋「多分…」
同級生A・B「?」
千尋「多分読めないと思うよ。動物の感情だって複雑な事は読み取れないし…」
同級生A「千尋、なんでそんなことわかるの?」
同級生B「千尋もアニマル・テレパス調べてるの?」
千尋「っていうか…もしかしたら私も、そのアニマルなんとかだったりして」
同級生B「!?」
同級生A「本当?」
千尋「動物の考えてることがなんとなくわかるの。嬉しいとか悲しいとか、おなかすいたとか眠いとか」
同級生A「それって…」
同級生B「アニマル…テレパスだよね?」
  鐘の音。
  席に戻る二人
    ×   ×   ×
  授業が始まっている。
  ひそひそ声が千尋の耳に届く。
声「あの子、アニマル・テレパスなんだって」
声「うわっ気持ち悪い」
声「近くにいたら心読まれるかもよ」
声「開発研究所行けば良いのに」

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2005年08月09日(火) 21時59分05秒

イキモノノキモチ 2

テーマ:イキモノノキモチ

○11 橋の上
  橋の上をゆっくり歩いている千尋。
  ×   ×   ×
  フラッシュ。
  花屋で花の枝を持っている千尋。
  キ―ンと言う不快な音が聞こえる。
  ×   ×   ×
千尋「(力が強くなっている?)」


○12 駅前(昼)
  人ゴミの中を歩く千尋。
  ペットショップを見つめる千尋。
  八百屋を見つめる千尋。
  カフェでお茶を飲む女性二人を見つめる千尋。


○13 街
  住宅街から少しはなれた場所。
  石段を昇っている千尋。


○14 同・道
  電柱を真ん中に、道が二又に別れている。
  右を見つめる千尋。
  左を見つめる千尋。
  左へ行く千尋。


○15 同・家の前
  少し古びた家の前を歩く千尋。
  にぎやかな声(らしきもの)が聞こえる。
  家の前に立ち止まる千尋。 
  中を覗くと猫や犬がたくさん居る。

千尋「うわあ」
  思わず門の中に入ってしまう千尋。
  猫や犬が縦横無尽にはしゃいでいる様子。
女の声「すごいでしょう?」
千尋「?」
  千尋が振り向くと、山野木綿子(26)が立っている。
千尋「あ、ごめんなさい。勝手に…」
  木綿子、笑う。
木綿子「いいのよ」
  猫が一匹木綿子の前に寄ってくる。
  木綿子、腰をかがめて猫を撫でる。
木綿子「(撫でながら)あなた、アニマル・テレパスね?」
千尋「……」
  木綿子、猫を抱き上げる。


○16 家・ベランダ
  ベランダの軒下に小さなテーブルが置いてある。
  飲みかけのグラスに入ったお茶が二つ、テーブルの上に置いてある。
  椅子に座っている千尋。
  ベランダの動物たちを笑顔で見ている。
  奥から木綿子が猫を抱えてやってくる。
木綿子「さっきはごめんなさいね突然」
千尋「あ、いえ」
木綿子「(猫を離し椅子に座る)なんかね、知らないうちに集まって来ちゃったの。最近はどの子を飼っているのか忘れちゃった。はは。」
千尋「え…」
木綿子「嘘だって」
千尋「は、はあ…」
  グラスを見つめている千尋。
木綿子「お名前」
千尋「?」
千尋「お名前。聞いてなかったから」
千尋「あ、千尋です。設楽千尋」
木綿子「千尋さん」
千尋「はい」
木綿子「木綿子(ゆうこ)です。木綿に『子』と書いて木綿子」
千尋「めずらしいですね」
木綿子「そう?私は職場以外でアニマル・テレパスに会う方がめずらしかったわ」
千尋「職場はどちらなんですか?」
木綿子「動物園。あなた…千尋さんは?」
千尋「フラワーショップです」
木綿子「もしかしてレベルⅣ?」
千尋「あ、いえ。レベルⅠです。植物の気持ちとかわからないし」
木綿子「そっか。あ、ちょっと来て」
千尋「?」


○17 同・和室
  作りかけのオブジェらしきものが部屋を占拠している。
木綿子「(誇らしげに)じゃじゃーん」
千尋「……」
木綿子「あれ、驚かない?」
千尋「ってゆうか、なんですかこれ」
木綿子「猫ちゃんたちの遊び道具。ほら、ここをこうすると、ここが通れるわけ」
千尋「ああ」
木綿子「どう?」
千尋「かわいい」
木綿子「もうすぐ完成なんだ。あとはここからここに(手で説明する)カーブのを作ってできあがり」
千尋「これって作るの難しいんじゃないですか?」
木綿子「まあ、根気かな?別に締め切りがあるわけじゃないし」
  木綿子、オブジェを見つめている。
千尋「木綿子さん、楽しそう」
木綿子「ん?」
千尋「動物たちも幸せそうだし」
木綿子「…楽しいよ。うん、楽しい」
  千尋、オブジェを見つめる。
千尋「私も…」
木綿子「……」
千尋「私も手伝っていいですか?」
木綿子「いいけど、仕事は?」
千尋「しばらく、お休みなんです」


○18 千尋のアパート・中(夜)
  千尋、家の電気をつけ中に入る。
  千尋、カバンをテーブルに置き椅子に座る。
  テーブルに置いてある写真立てを見つめる。
  写真立てには子供と犬が写っている。


○19 山(回想)
  写真立てに写った女の子が手作りのお墓の前で泣いている。
  墓には「べスのおはか」と書いてある。


○20 千尋のアパート・中(回想戻り)  
  ためいきをつく千尋。

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2005年08月08日(月) 21時43分22秒

イキモノノキモチ 1

テーマ:イキモノノキモチ

○1 都内近郊・冬の空(昼)

  晴れ渡った空。しかし雲は遠い。冬の終わり。


○2 都内近郊・商店街

  子洒落た商店街。その一角に「フラワーさとう」と書かれた看板が見える。

  「フラワーさとう」には何人かの客が出入りしている。 

  店の前ではアルバイトの若林大(21)が声を出している。


○3 フラワーさとう・店内


  箱庭サイズのありふれたお店。

  その店内で一本の花を手に持っているアルバイト・設楽千尋(19)。

千尋「(じっと花を見ながら)……」

女の声「すいません……すいませんっ」

千尋「…あっ、はぁい」

  千尋、店内で物色している女性に気付く。

千尋「いらっしゃいませ」

女性「あのー」

千尋「はい」

女性「友達が入院しちゃって、それで、お見舞いなんですけど……」

千尋「お見舞いだったら、そうだなあ。明るい色がいいですよね。どんな色が好みなんですか?」

女性「友達ですか?う~ん、何色だろう」

千尋「(笑顔)」

女性「……私ですか?」

千尋「はいっ」

女性「……黄色かなあ」

千尋「黄色。いいですよね。私も好きです。あ…あれはどうかな。ちょっと来てください。えっと、この花はで    

 すね…」


○4 タイトル『イキモノノキモチ』

  子供連れの母親が店内を物色している。

  子供は不満そうな顔をしている。

  千尋は子供の目線までしゃがみ、花を一本子供に差し出す。

  子供、不思議そうに千尋を見る。

  千尋、笑顔。

  子供は喜んで花を受け取る。

    ×   ×   ×   

  子供連れの母親と子供を見送る千尋。

  子供は千尋に手を振っている。

  千尋も手を振る。  千尋、空を見上げる。


○5 同・店内(夕)

  後片付けをしている千尋。

  外から若林が戻ってくる。

若林「あー疲れた」

千尋「お疲れー」

若林「(椅子に座る)んしょ。はーあ。意外としんどいよね、この仕事」

千尋「ぷっ」

若林「何?」

千尋「若林君、疲れるほど仕事してないじゃない」

若林「あ、失礼だな。俺はね、こう見えてしっかりと仕事してんの」

千尋「はいはい」

若林「外で声出すのって結構疲れるんだぜ。ったく、呼び込みじゃないんだしさ」

千尋「でも、若林君。最近上手になって来たよね、声出し」

若林「そりゃ毎日やってるからね、呼び込みのバイトに転職しようかな。いい娘いますよーって」

男の声「それは困るな」

若林「ん?」

  佐藤公孝(32)が立っている。

若林「うわっ」

千尋「あ、店長。おかえりなさい」

若林「て、店長。いつからそこにいたんですか?」

佐藤「実は、結構前から」

若林「げっ」

佐藤「二人ともお疲れ様、適当に片付けてさっさと終わらせちゃいますか?」

千尋「はい」

若林「はあい」

  佐藤、後片付けを始める。

若林「(小声で)店長がいるなんて気付かなかったよ」

千尋「ふふっ」

  三人で後片付けをする。

若林「あ、そういえばさあ」

千尋「?」

若林「千尋さんってさあ……アニマル・テレパスなんでしょ?」

  千尋の手が止まる。

千尋「……」

佐藤「……」

若林「すごいよなあ。それってさあ、動物の考えてることがわかっちゃったりするんでしょ?」

千尋「うん…動物だけじゃないけどね」

若林「じゃあ花も?」

千尋「レベルの高い人なら読み取れると思うけど、私は初期レベルだから」

若林「へ~。どんな風に感じるの?」

千尋「えっ?」

若林「いや、『はらへった~』とか『だるいよ~』って頭の中に響くのかなって」

千尋「ああ。そこまではわかんないよ。喜怒哀楽に毛が生えた程度のものだから。まあ、お腹が空いたぐら

 いは理解できるけどね」

若林「もしかして……人間の心なんかもわかっちゃったりするの?」

千尋「人間は、わからないよ。複雑だから」

若林「だよな~。人間の心までわかっちゃったら怖えーよな」

千尋「(手が止まる)こ…わい」

若林「ん、どうしたの?」

佐藤「……」

若林「でもさ、なんで千尋さんは花屋で働いているの?アニマル・テレパスはみんな動物園や水族館、ペッ

 トショップで働くって聞いた事があるけど」

千尋「私、開発研究所出身じゃないから」

若林「あれ、あそこってアニマル・テレパスの人は義務で行かなくちゃいけないんじゃなかったの?」

  佐藤、千尋を見て。

佐藤「若林君!」

若林「は、はい」

佐藤「あ…いや、おしゃべりもその辺にして。早くしないといつまでも終わらないよ?」

若林「はあい。(千尋に)だって」

千尋「研究所は…」

若林「ん?」

千尋「研究所は、私が目覚めたのが遅かったから…行かなかったの」

若林「目覚めたって?」

千尋「能力が。私、後天的に目覚めたから」

若林「ふうん」

  若林、仕事を始める。

千尋「……」

佐藤「(千尋を見て)……」


○6 花屋の外(夜)

  花屋にはシャッターが下りている。

  店の前で三人が立っている。

佐藤「じゃあ、今日も一日お疲れ様でした。」

若林・千尋「お疲れ様でしたー」

佐藤「二人とも気を付けて帰ってくださいね」

若林「店長~、飲みに行きましょうよ、飲み!」

佐藤「そうだなあ。たまにはいいかもしれませんね」

若林「やった。千尋さんも行こうぜ」

千尋「私は、用事があるから」

若林「ええーっ、なんでだよ。いいじゃん」

  佐藤、若林の首を腕で押さえる。

佐藤「ほら、行きますよ。若林君」

若林「ぐっ…千尋さん、また明日ね」

千尋「お疲れ様!」

  佐藤と若林、歩き出す。

  千尋、見送ってから反対方向へ歩き出す。

  若林の声が後ろから響く。

若林「千尋さ~ん」

  若林、走って来る。

千尋「ど、どうしたの?」

若林「あ、あっちに」

千尋「あっちに?」

若林「いいから来て」

  若林、千尋の袖を引っ張る。

千尋「あ、ちょっと…」

  千尋、なすがままに若林の後をついていく。

  ×   ×   ×

  千尋、若林の後ろを走っている。

  目の前にしゃがんでいる佐藤とその前の段ボール箱を発見する。

若林「千尋さん、これだよこれ」

  段ボール箱には子猫が二匹入っている。

  子猫はか細い声を出している。

千尋「猫…?」

佐藤「はい」

若林「捨てネコかなあ」

佐藤「どうやら、そのようです」

若林「ねえ、千尋さん」

千尋「?」

若林「千尋さんの力で、この子たちが何を考えているのか聞いてほしいんだ。読み取るっていうの?」

千尋「え?」

佐藤「私からもお願いします」

千尋「店長…」

佐藤「この子たちが誰に捨てられたか、その手がかりでもつかめればと思いまして」

千尋「……」

佐藤「やってくれますか?」

千尋「…はい」

若林「やった」

 千尋、子猫を見つめる。

若林「俺、アニマル・テレパスが力使ってるの見るの初めてなんすよね」

佐藤「しっ」

千尋「…わかりました」

佐藤「どうでしたか?」

千尋「手がかりは…残念ながら」

佐藤「そうですか」

若林「なんて言ってたの?捨てた人間の事恨んでいた?」

  千尋、首を振る。

千尋「ただ、おなかがすいたとだけしか」

若林「え?悲しいとか寂しいって言ってないの?」

千尋「それはこの状況を見た人間が思うことであって当の猫達は飲み込めてないの」

若林「ふうん」

千尋「かわいそうなんて思うのは人間だけが持っているエゴイズムよ」

若林「えご?店長、えごいずむってなんですか?」

佐藤「ありがとうございました。千尋さん」

若林「無視ですか?」

佐藤「でも困りましたね。このままにしておくわけにも行きませんし…」

若林「千尋さんが飼えばいいじゃん」

千尋「……」

若林「アニマル・テレパスなんだから動物飼ってるんでしょ?」

千尋「…ううん」

若林「え、なんで?」

千尋「ウチのアパート、ペット禁止なの」

若林「ふうん。あれ?でもアニマル・テレパスって自由にペット…」

佐藤「わかりました」

若林「!?」

佐藤「今日の所は私が預かりましょう」

若林「店長、でも」

佐藤「いいんですよ、若林君」

千尋「店長…」

佐藤「一匹は育てるにしても、まあさすがに二匹は飼えないから飼い手が見つかるまでと言う事で」

千尋「……」

佐藤「ね?」

千尋「はい」

  佐藤、二匹の子猫を抱えてじゃれあう。

  そんな佐藤を見る若林と千尋。


○7 千尋のアパート・中

  千尋、家の電気を着け中に入る。

  無機質な部屋。必要生活道具以外何も置いていない。

  千尋、カバンをテーブルに置き椅子に座る。

  そのままため息をついて、うなだれる。


○8 花屋・外(日替わり・昼)

  客が花を持って出て行く。

  見送る若林。

若林「ありがとうございましたー」


○9 同・中

  花の枝を切っている千尋。

  キ―ンと言う不快な音。

   ×   ×   ×

  フラッシュ。

  回想。

  幼い千尋。

  墓(手作り)の前で泣いている。

   ×   ×   ×

  花の枝を見つめる千尋。

  若林が戻ってくる。

若林「あれ、千尋さん。どうしたのそんな青ざめた顔しちゃって」

千尋「青…ううん、なんでもな…」

  目の前が真っ黒になる。

  遠くから声が聞こえる。


○10 同・更衣室

  千尋、目を覚ます。

  ソファに寝てることに気が付く。

  佐藤、机に向かっているが千尋に気付く。

佐藤「あ、目が覚めましたね」

千尋「あの…私」

佐藤「びっくりしましたよ。若林君が急に大声あげちゃって、行ってみたら千尋さんが倒れているから」

千尋「倒れ…たんですか?」

佐藤「はい」

千尋「……」

佐藤「もう平気ですか」

千尋「はい……あの」

佐藤「?」

千尋「なんていうか、ごめんなさい」

佐藤「いえ、でも怪我がなくて良かった」

千尋「力が…大きく…」

佐藤「はい?」

千尋「いえ、なんでもないです」

佐藤「疲れているのかな?…ねっ。今日はもう早退しても構わないですよ」

千尋「はい、すいません」

佐藤「(笑う)」


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2005年08月05日(金) 21時32分40秒

イキモノノキモチ(あらすじと登場人物)

テーマ:イキモノノキモチ

【あらすじ】


 アニマル・テレパス。動植物の感情が理解できる人間の特殊能力。レベルⅠからⅣまであり、レベルが高いほど多くの感情を理解することが可能である。花屋で働いている設楽千尋(19)はアニマル・テレパスであった。


 ある日、いつものように働く千尋。しかし植物の枝切りをするときに奇妙な嫌悪感を覚える。しまいには倒れてしまう。それは千尋の能力があがったしるしであった。気分が滅入る千尋。家に帰っても一人、昔交通事故で亡くした飼い犬の事を思い、涙する。昔、彼女はペットロス(ペットを失った時に起こる心の病気)になってしまったのだった。その時に目覚めたのがアニマル・テレパスなのだがその能力のせいで千尋は様々な迫害を受けてきたのであった。


 そんな折、彼女は山野木綿子(26)に出会う。木綿子は動物園で働くアニマル・テレパスであった。彼女の気さくな性格に好印象を抱いた千尋は動物園を見たいと願う。次の日、動物園に行った千尋は動物の声を聞く。千尋には「檻から出たい」という悲痛な声しか聞こえなかった。そんな千尋を見て木綿子は「精神を集中してもっと耳を傾けてごらん」と言う。たしかに良く聞くと様々な声が聞こえる。木綿子は「人間の価値観で動物を判断してはいけない」という。その言葉で気持ちが安らぐ千尋。 


 季節が変わり、千尋は木綿子の家を尋ねる。しかし、家には何もなく、「アフリカに行く」という千尋宛の手紙だけが残されていた。 花屋。せわしく働いている千尋と若林。佐藤が配達に行く。少し落ち着き、花の手入れをする千尋。枝切りをする。しかし前みたいな嫌な感じはしない。千尋は「ごめんね」と言って枝を切る。空は晴れ晴れとしていた。


【登場人物】


設楽 千尋 (19) 花屋で働くアルバイト。アニマル・テレパスの持ち主。


山野木綿子 (26) 動物園で働くアニマル・テレパス。


若林 大  (21) 千尋の同僚


佐藤公孝  (32) 花屋の店長


設楽 晴美 (44) 千尋の母親


設楽 大輔 (50) 千尋の父親

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