昨日は、道州ごとに医療基準需要額を算定した場合、終末期医療の可能性が広がる、と書いた。しかし、真の可能性は医療の在り方そのものを変えることにある。

 国民皆保険制度を守ることは重要だが、医療はアンタッチャブルであってはならない。

 何度も繰り返しているが、国会の厚生労働委員会で意思決定をして、トライアンドエラーを繰り返すには、日本は大きすぎ、多様すぎるのである。病院における看護師の配置基準、病室の面積基準まで、日本全国で一律である必要は明らかにない。

 医師不足についても同様のことが言える。研修医制度が廃止され、地方で医師不足問題が深刻化したが、道州によっては、自らの工夫で過疎地の医師確保に対応できるようにすべきである。道州ごとに、それぞれの地域事情と優先順位が違って当然だ。

 そのためには、診療報酬体系も国で一律に決定する必要はないのではないか。中医協(中央社会保険医療審議会)で診療報酬を決定するのではなく、各道州に道州社会保険医療審議会を設置して、様々な工夫が生きる仕組みを入れるべきではないか。

 道州ごとに医療保険を設けることも考えられるが、個人的には困難だと思う。それこそ道州間格差が大きく生じる可能性が高い。だから私は、統一された医療保険のもとで、医療基準需要額を算定し、医療を多様化することを提言しているのだ。

 もちろん多くの弊害が生じるに違いない。また、政治家や行政が道州医療を活用するには、一定の時間が必要だろう。

 しかし右肩上がりの時代が終わった以上、道州レベルでの部分最適化があって初めて日本の全体最適化が成される、と考えるほうが自然である。

 こう考えれば、介護保険との連携、介護報酬や制度も含めた介護のあり方についても、さらなる可能性が広がってくる。