ケンツが大好きだったスイカを買った
病気が発覚してからも
何の知識も持ち合わせていなかった二人は
それぞれ手探りで
だけど目指すところは同じで
とにかく必死だったと思う
新たな対処法を提案する私
冷静に判断するケンツ
スイカ糖が良いらしいと言った時も
「そんなんせんで良い」
そもそも好き好んで食べているしな
無理に何かをさせても
それがストレスになるなら逆効果
本人の思うようにさせてあげたかった
病気になってわがままを言うようになった
なんでも聞いてあげたいと思った私が
そうさせたのかもしれない
でもそれは決して悲観的なものではなく
良くなると信じてのもの
根拠はなかったけれど信じていた
真っ直ぐだった
けれど
もしかしたら
私たちの両親は辛かったかもしれない
今はそう思う
けれど
それでも
最期まで走り続けてくれたケンツのおかげで
治療に対する後悔はない
失ったことへの悔しさ悲しさはあれど
彼の治療への姿勢には感服しかない
ケンツは今頃どうしているのかしら……