2016年9月 | 余命3ヶ月だったバンドマン

余命3ヶ月だったバンドマン

Candy Vox Music 統括とLa'cryma Christi LEVINさんのローディー ケンツのBlog

昨年のこの時期行っていたのは、鎖骨の下にCVポートを入れて

そこから濃度の高い薬剤を入れる『NOBLE』という治療でした。

 

 

最初は高い効果が見込めたようだったが、徐々に痛みを訴えるようになった。

ポートを作ったのは1月。

3月から緩和ケアを受けるようになっていた。

 

 

9月頃を振り返ると、あまりの痛みに食事もまともに摂れなかった。

私が休みを取ると言っても、心配を掛けないようにか、

私が煩いからか、いつも「仕事行けよ」と言われた。

「辛かったらワン切りでもいいから電話して」

そう言って出かけても、一度もかかってきたことはなかった。

どんなに辛くても、私が帰るまで耐えていた。

「あまりにも酷かったら電話して」と緩和で言われていたこともあり、

「病院に電話した?」と訊くと

「したわ。オキノーム飲めって言われたわ」

少しだけ声を荒げたことがあった。

「えっ……!?」

二人とも、対策がまさかそれとは思っていなかったのだ。

 

 

外来を受診する度に、痛み止めの量を増やして貰っていた。

最初に医療用麻薬の使用を提案された時は、

ネットで目にした副作用への恐怖と不安でいっぱいだった。

しかし、緩和で訊ねたことで気が楽になった。

「使い方さえ守っていれば大丈夫です」

 

効果があればありがたい話。

痛みが増せばそんなことを言っている余裕もなくなったから。

辛そうなケンツ。

痛みがとれることが最優先になっていた。

 

当時は縦隔の辺りや、お腹の中の腫瘍が原因と考えられていたが、

「この程度であればそこまで痛みは出ない筈」と言われたこともあった。

何か対策があればと、素人の私はネットで漁るしかできなかった。

放射線治療もそうだった。

しかし、それを訊ねた時は「的がないとできない」とのことだった。

まだ、骨転移の事実に気付いていなかったからである。

 

しかし、その後も痛みは日を追って増す一方。

ついには、外来で訪れた際に入院することとなる。