混迷する日本の社会保障改革(18)

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混迷する日本の社会保障改革(18)

<前回より>

今年もいよいよ年の瀬となり、来年の日本経済を展望する時期となりました。来年も日銀の異次元緩和政策と戦後最長となるアベノミクス景気による円安と株高が続く可能性が高いように思いますが、その背後に隠された副作用と財政リスクに十分気をつける必要があると思います。

第一生命経済研究所・首席エコノミストの熊野英生氏によると、来年4月に任期を迎える日銀の黒田総裁が再選された場合、金融引き締めへ向けた出口政策をますます急がなくなり、緩和政策継続の副作用が日本経済を害することになります。具体的には、マイナス金利が銀行などの収益を圧迫することになるため、すでに大手銀行は人員削減を発表しています。また、債券市場は機能を低下させ、年金基金など機関投資家も運用収入の減少に苦しんでいます。

2018年以降も、異次元緩和を延長すれば、より強い副作用で日本経済の屋台骨がぼろぼろになります。黒田総裁は自分が始めた巨大緩和を自分できっちりと終わらせる責任があると言えます。

また、2018年度予算案の概要が明らかになり、一般会計の歳出総額は97.7兆円前後で、17年度当初から0.3兆円程度増えて、過去最大を更新します。総額の3割超を占める社会保障費は医療費や介護費が膨張し、0.5兆円前後増加することになります。国債費を除いた政策経費を、新たな借金に頼らずどれだけ賄えるかを示す「基礎的財政収支」は引き続き約10.4兆円の赤字となります。

国家の健全財政の基準は対GDP比100%以内とされていますが、日本の国債発行額は対GDP比246%となっており、対GDP比が200%を越えるのは、主要先進国の中では有史上例がない状況です。このまま次世代への負担が増え続けていく状況が続けば、年金や医療等の社会保障制度は制度そのものを維持していくことが難しくなり、次世代への禍根を残すことになります。病気やけがをしても実際の治療費の1~3割のお金を支払えば誰でも治療を受けられる国民皆保険制度は既に瀕死の状態に陥っています。

将来世代に禍根を残さないためには、自分の年金は自分で用意しておくことで国民年金制度に頼らずに生活できるだけの老後の準備を遅くとも30代から始めておくこと、病院などで必要性の低い薬や湿布剤の処方を頼まないといった対応を一人一人の現役世代が心がけることが益々大切な一年になっていくことと思います。

<次回へ続く>

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