混迷する日本の社会保障改革(16)

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混迷する日本の社会保障改革(16)

<前回より>

政府・与党で大学などの教育費の負担軽減策に充てる「教育国債」の構想が再燃しています。大学卒業後、一定の収入を得たら授業料を「出世払い」で返済する制度と組み合わせ、政府は年内に具体案のとりまとめを目指しています。

首相は「教育無償化」の実現を掲げて、来年度には返済の必要がない給付型奨学金を創設する予定とのことですが、現在の予算の枠内での実現は難しく、新たに巨額の財源が必要となります。もし日本の財政が健全で経済成長も確実なら、単純に赤字国債を発行する選択肢があるが、いまはそんな状況ではありません。

今回の教育国債の構想は、赤字国債の発行額が対GDP比246%まで膨れ上がっている状況において、財政健全化には完全に逆行する動きと言えます。そもそも日本では短大を含めた大学進学率は約8割と高く、これ以上、巨費を投じて大学教育まで無償化を進める必要があるのか、「投資に見合う効果は期待できない」との指摘も多く出ています。

今後も少子高齢化がますます深刻になり、公的年金や医療制度の現状維持さえも難しくなってきている状況において、教育国債よりも優先順位が高いはずの「税と社会保障の一体改革」は手つかずの状態が続いています。5年に渡る日銀の金融緩和政策も目に見える効果は出ておらず、税収も増える見込みがない状況で、次世代への負債だけが増え続けています。

アベノミクスが残した一番大きな功績は、経済成長と財政健全化は両立できないことを証明したということです。そもそも国民の大半がいま以上の経済成長を望んでいるとは思えず、政府の役割は国民が最低限の生活を維持できるための社会保障制度を維持するだけで良いはずです。民間にできることは民間に任せれば良いし、大学を出たところで必ず良い仕事につける保証もありません。国民の血税でワインセラーのある大学キャンパスを建設するなど言語道断です。

日本はもっと小さな政府を目指すべきだと思いますし、国民に人気のある政策ばかりを並べるのではなく、財政健全化のために年金支給開始年齢や医療費を引き上げるなど国民にとって耳の痛い政策も誠実に実行していける政府が求められているのだと思います。

<次回へ続く>

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