それぞれのベストに選ばれた曲も、惜しくも
そうではなかった曲も、その一つ一つには、皆さんにも
私にも素敵な想い出があるに違いありません。

そのすべてにおいて語りたいのですが、そんなに余裕も
ありません。

ですので、せめてベストに選ばれた曲の、想い出やエピソードを
書いてみたいと思います。


#さくら前線

どのOVAだったのかは忘れてしまいましたが、さくらさんの
仙台への帰省シーンで使われていて、凄く印象的な曲です。

広井さんからは、最初から一番がちゃんとした歌詞の形で
来たのを覚えています。

この上で「北へ」の部分を作曲上繰り返しました。
(アニソン繰り返しの法則、2回だとオシャレになる
 3回だと熱くなる)

メロディーの中で一番工夫した箇所は、
「わたしが咲かせます」の部分の「さか..」の所にコードで言うと
#9th(シャープ9)の音を使った事です。
今までに、歌謡曲と言うジャンルにおいて、シャープ9みたいな
もろジャズ風の音を使った曲は聴いた事ありません。
(私の勉強不足かもしれませんが)

こう言う音を使うと、こんな日本風のメロディーの中では、浮いて
しまってどうしようもないのですが、この曲に関しては、
その不協感がかすかなノイズとなって、ただの美しいメロに
一層の深みが出たと思います。


#センタースポット

すみれさんの引退公演のために作ったのではないのですが、
もう一曲の「すみれチャチャチャ」とともに、あの感動的な
舞台を彩った曲です。

富沢さんも、レコーディングの時は横から見ていても、
すみれと同化していて、凄く神々しい歌声だったのを覚えて
います。

メロディーラインに関しては、以前の大ヒット曲
「ラブイズオーバー」
のすみれ版を作りたかったのですが、歌詞の内容が膨らみ過ぎたので
もう少し大きな世界を構築(空から俯瞰で見たすみれさん)して、
その世界観で作曲したのを覚えています。

神々しくなるのも必然だったのかも知れませんね。


#南風GOGO

カンナさんには、やはり元気な曲ばかり回って来て、少し曲想が
偏りがちです。(ちなみにさくらさんは日本的な美メロばかり)
それと言うのも前作「灼熱ブギ」の大成功がありました。


やはり真弓さんの、あの元気でハリのある声から曲を想像すると
どうしても、この傾向になってしまいがちです。

後年、真弓さんからのたっての希望で、しっとりとした「島風」を
作りました。
(同じようにさくらさんには「お祭りダンス」を)

一作目の時に、ファルセットの出し方が分からなかった真弓さん
でしたが、この曲くらいになると、大幅に歌唱力もアップされて
(もともと上手いけど、さらに)
余裕のレコーディングでしたね。

歌謡ショウでの「春、夏対決」も忘れられませんね。
(けっこう無茶振りをします、広井さんと言う人は)

なお、
この曲のコーラスはガオガイガーの「獅子の女王」を歌っている
鈴木佐枝子さんの一人ダビングコーラスです。


#夕焼けの向こうに

数ある歌謡ショウの第一幕の名シーンの一つでもある
あの親方を説得する歌ですね。

説教ソングにはしたくなかったので、広井さんから来た
最初の凄く短い歌詞を、私が膨らましました。

私もショウでは指揮をしていましたので、あの親方に半纏を
手渡すシーンには毎回感動させられました。


この曲で一番難しいのは、出だしの「ほら..」の2文字です。

ショウでは、なんの楽器もなしにアカペラで突然マリアさんが
歌い出すようにしました。
そして恐ろしい事に「ほら」の「ほ」はアカペラ、
「ら」からピアノがコードを弾くので、音のピッチが正しくないと、
その「ら」で、もの凄い違和感を感じます。

つまり、マリアさんは確実に楽器の何もない状態で、「ほら」を
正しい音程で出さなくてはなりませんでした。

稽古初日から、麗さんの特訓が始まりました。
「ほら」の音程を身体にしみ込ませるまで、一万回は練習したかな?

私も事ある毎に、後ろから背後霊のように彼女に近づき、
「はい、”ほら”を歌って」と言い続けました。

夢にまで出たそうです。

その結果、ショウでは完璧な歌唱を披露されました。

彼女たちは本物のプロですね。