スリランカ人のウィシュマ・サンダマリさんが亡くなった事件、たいへん痛ましく、残念です。心からご冥福をお祈りいたします。


 その後の入管、法務省、そして上川大臣の対応は著しく不当であり、現代の普遍的人権意識が欠けていると断ぜざるを得ない。


 そもそも、ウィシュマさんが亡くなるまでの経緯を記録したビデオを、入管側が編集してご遺族に提示するというのは適切なプロセスとは言えない。場合によっては刑事責任を問われる可能性があるケースで、行為者側が編集するというのはあり得ない。恣意的な選択が入る余地がある。原データをすべて開示すべきだ。


 また、ビデオ提示時に、ご遺族側が弁護士の同席を求めたのに対して入管側が拒否したというのもあり得ない。

 ご遺族だけでは客観的、冷静に入管側の対応の問題を指摘できない可能性があるし、弁護士の同席は当然だ。


 入管側は「最終報告書」を出したとされるが、以上のような諸点を考慮すると、反省しているとはとても思えない。


 世界的に受け入れられている人権の普遍的原則について、入管職員が理解できるように研修をしたり、場合によっては入管の組織内に人権に関するNGOのメンバーを常駐させるなどの抜本的な変革を図らなければ、入管の体質は変わらないだろう。


 文明国日本として、恥ずかしいの一言に尽きる。上川法務大臣は、職責を果たしているとは全く言えない。


(時事評論)