先日、朝、コンビニにラテを買いに行ったら、ぼくの前に立っているおじさまも、やっぱりコーヒーを買いに来ていらしていた。


 それで、レジに立ちながら、しきりに店員さんに話しかけている。


 どういうことかな、と思ったら、コーヒーマシンのところで、ぼくの前に立ちながら、ボタンを押したあと、そのおじさまが振り返って言われた。


 「いやあ、コーヒーの香りって、いいねえ。いやあ、香りを嗅いだら、たまらくなって、買いたくなっちゃってさあ。」


 ぼくはとまどって、思わず「はあ」と小さく言っただけだった。


 そのおじさまはごきげんで、コーヒーを持ってコンビニの外に出ていった。


 あとで、もう少し、「そうですよね、コーヒーの香りって、いいですよね」とか言えばよかったと反省した。


 お昼くらいにそのコンビニの前を通ったら、かっこよさそうな会社員の方が、ラップトップを開けて、どこかの人と会話をしながら歩いていた。


 英語で喋っていた。


 自分でもかっこいいと思っている気がした(笑)


 朝のおじさまを思い出した。


 朴訥さのクオリアがあった。


 やっぱり、もっとちゃんと言葉をかえせばよかったなあ、と後悔した。


 長野駅前での出来事である。


(クオリア日記)