子どもの頃の記憶でふしぎなことの一つは、中華料理屋さんの料理のディスプレーの中に、そのお店で一番高い、豪華な料理として、魚を一匹まるごと揚げてあんかけしたようなものがあったということだ。

関東だけでなく、京都でも、確かそういうのを見たことがあるような気がする。

その魚が、鯉のような淡水魚だったイメージがある。

子ども心に、わあ、豪華だなあ、高いなあ、と思う一方で、「ほんとうにそんなにおいしいのかな」と疑問を持ったのも覚えている。

時代が流れ、いつの間にかそのような料理は消えてしまった。

それで、一度も注文したことが(一緒にいた大人が注文したことが)なかったので、一体どんな味だったのか、わからない。

そもそもそんな料理があった、ということすら、今ではまぼろしのように思えてくるのだ。


(クオリア日記)


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