このプログラムは、気の心理学の視点から「マインドフルネス」における心身状態を理解し、身につけることを目的としています。
目次
1、正念とマインドフルネス
2、マインドフルネス技法ー集中のサマタ瞑想
3、マインドフルネスの技法ー拡充観察のビィパッサナー瞑想
4、東洋医学 五臓六腑と気・血・ 水
5、「気」流れる身体
6、超個的な身体
7、「内経図」における象徴的身体
8、気の心理学でマインドフルの心身状態を観る
(1)正念とマインドフルネス
仏教では、悟りの状態に近づくための「八正道」という実践徳目がある。
正見(しょうけん) 正しい見方
正思惟(しょうしい) 正しい考え
正語(しょうご) 正しい言葉
正業(しょうごう) 正しい行い
正命(しょうみょう) 正しい生活
正精進(しょうしょうじん)正しい努力
正念(しょうねん) 正しい想念
正定(しょうじょう) 正しい瞑想
この八正道の八つの徳目を日常の中で実践することで、
釈迦の意識状態が体現されてくると教えている。
この八項目の態度で、この俗世を生きられるのかというと、そう簡単ではない。
俗世に生きる私たち凡夫(ぼんぷ)は、
「正しい」と「間違い」、自らで認知する間を行き来して生きているからだ。
しかし、心理学は面白い学問で、意識することによって、無意識が動きだす。
例えば、電車の中で「老人」に席を譲ろうと思っていれば、出来る。
そのような意識がなければ、出来ない。
簡単なことだ。
何を選ぶのかは自分次第ということになる。
自分の「自我」が決め、無意識の「自己」に伝達される。
少しでも、良い行いをしょうとか、良い言葉を使おうと思うだけで、無意識が働くのが心理学だ。
このようなことを体感すれば、無意識の働きがが理解できる。
その反対が、闇の世界だ。
闇に生きる人たちは他者のことは考えない。
自分さえよければ良いと考えている。
自分と他者とは「Win-Winの関係」でなくてはならない。
正念とは、「物事の本質を観察し、あるがままに心にどどめること」。
「念」にあたるパリー語「sati」は、「思うこと」、「追想すること」、「回想すること」などの意味がある。
「止観」という言葉が禅仏教にある。
止(サマタ瞑想) 観(ヴィパッサナー瞑想) 止とは精神を集中し,心が寂静となっ た状態,
観とは対象をありのままに観察することを意味し,止を観の準備段階とする。
正念という概念が、西洋に渡り、宗教性を切り落としたことで
「マインドフルネス」という概念に変容した。
1975年にマサチューセッツ大学医学部の中に、
ジョン・カバットジン博士はマインドフルネスに基づく、
ストレス低減プログラムを実施するセンターを開設したことから始まる。
今から40年前のことだ。
時間の流れの中で、
『マインドフルネス低減法』が精神医学と臨床心理学の分野で知られるようになった。
ジョン・カバットジン博士はマインドフルネスとは、
「[今・ここ]に起こっていることに意識を向け、観察し、価値判断をしない意識」と定義する。
マインドフルネスの意識変容
① 今・ここ
② 意識を向ける(集中する)
③ 起こっていることを観察する
④ 観察したことに対して、価値判断をしない。
このようなプロセスを意識的に行うトレーニングだ。
私たちは起きてから寝るまで、
頭の中で、色々な雑念に捕らわれて、
不安、恐怖、とらわれ、心配などイライラしたストレスを感じている。
頭の中で、どめどもなく喋り続ける雑念に、
今・ここで、意識を向け、雑念の連続を観察し、価値判断なしに、
今・ここを生きることをトレーニングするのだ。
そうすることで、生きやすくなる。
精神医学、臨床心理学系では、マインドフルネスと認知行動療法が結びつき、
急速に、多くの臨床家が注目している。
またビジネス系のトレーニングでは、
集中力がつき、効率が良くなり、創造力が培われることで、
Googleが取り入れた。
その中心人物がチャディ・メン・タン氏の『Search Inside Yourself』である。