肥満と飢餓――世界フード・ビジネスの不幸のシステム/ラジ・パテル
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肥満と飢餓」 ラジ・パテル著


<いびつなフードシステムを批判> 〈評〉同志社大学教授 峯陽一


表紙には、ハンバーガーを前に幸せそうな白人少年と、やせこけた黒人少年の写真。

飢餓に苦しむアフリカの子供を助けよう。 そんな本かと勘違いしそうだ。


だが、これは施しを訴える書物ではない。 世界では8億人が飢えると同時に、

10億人が太りすぎている。 飢餓に苦しむ者も、肥満に苦しむ者も、双方ともに

同じシステムの被害者である。 これらの2つの極を結びつけることが、本書のねらいだ。


遺伝子組み換え作物を押しつけられた農民たちは、インドで、韓国で、メキシコで、

借金漬けになって次々と自殺している。 ウガンダの農家が手放した1キロ14セントの

コーヒー豆は、焙煎(ばいせん)されて最後には200倍近い26ドル40セントの値段がつく。


誰かが暴利をむさぼっている

消費者にも選択の自由はない。 イギリス産業革命時代に広がった甘い紅茶は、

労働者階級向けの史上初の「栄養ドリンク剤」であるという。


満腹にして、黙らせろ。 グローバルな労務管理のために、画一的な食料が

大量生産されてきた。


脂ぎったジャンクフードしか買うことができず肥満に苦しむのは、たいていは貧乏人だ


なぜこうなるのか。 根本的な問題は、世界のフードシステムが砂時計のように

くびれているところにある。


生産者は多数で、消費者も多数。 ところが、生産者と消費者を結ぶ食品流通は、

一握りのアグリビジネスに支配されている。


農民が何を作るか、消費者が何を食べるかを決めるのは、流通を押さえる

独占企業である。


著者は、WTOや世銀でエコノミストとして働いたことがあるだけに、

データの使い方がうまい。


自由競争のロジックをくぐり抜けた批判は幅広い層に訴えかける。

アメリカ社会には19世紀以来の反トラスト運動の伝統があるから、

この種の巨大企業批判を受け入れる素地もあるのだろう。


本書を読むと、近所の八百屋で旬の野菜を買いたくなる


地球の裏側で起きていることに想像力を巡らせ、不正に対して声を上げながら、

地産地消を楽しもうじゃないか。


生産者と消費者が主権者として手を結ぼうというメッセージは、古くて新しい


【日経新聞】



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