2011年03月20日

放射線

テーマ:がん

原発事故のためにネット上の放射線に関する情報が増えてきた。

こういう点は、ネット社会は大変便利だと思う。情報の発信者が明らかな情報は有用だ。

うがい薬のイソジンが放射性ヨウ素による内部被爆を防ぐなどといった誤った情報もあるので注意が必要だ。


被爆には外部被爆と内部被爆があり、内部被爆により注意が必要だ。

外部被爆とは体外にある放射性物質からの被爆、内部被爆とは体内にとりこんでしまった放射性物質からの被爆だ。


被爆の単位にはシーベルト(Sv)が使われる。


年間数十ミリシーベルトまでは日常生活で普通にありうる被爆だ。

宇宙線や食物など自然からの放射線による被曝量が2.4mSv/年、ニューヨークまで航空便で往復すると0.2mSV/回、CT検査を受けると6.4mSv/回など。年にCTを2回受ける必要があれば被爆量は15mSv/年になる。


ミリシーベルト単位の大きな内部被爆は普通は起こらない。甲状腺の放射線治療や癌の放射線治療、シンチグラム検査などは例外だ。


核分裂によってのみ自然界に出現する放射性物質としては、放射性ヨウ素、放射性セシウム、放射性ストロンチウムがある。驚いたことに、水道水などで国が規定する許容量があるようだ。過去の原爆実験や原発事故がそれらの検出される放射性物質の源のようだ。放射能の半減期が長いものほど、あるいは体組織に取り込まれやすい(生物学的半減期が長い)ものほど、一旦体内に入ると長期にわたって内部被爆の原因になりうる。半減期は、放射性ヨウ素は8日、放射性セシウムは30年など。放射性セシウムは放射能の半減期は極めて長いが、生物学的半減期は3ヶ月だそうだ。体内に取り込んでも、3ヶ月で半分が体外に排泄されてしまう。半減期が短い割に放射性ヨウ素が警戒されるのは、甲状腺が甲状腺ホルモンの材料としてヨウ素を甲状腺内にストックするメカニズムがあるからだ。結局、体内に摂取してしまった場合、1Bqあたりの被爆量は放射性ヨウ素の方が放射性セシウムよりも大きい。しかも放射性ヨウ素は甲状腺に集まるため、甲状腺がんのリスクになりやすいということになる。


実際、チェルノブイリで統計的に有意に増加したのは結局小児の甲状腺がんだったという報告があるようだ。放出された放射性物質が植物から家畜(牛)に摂取され、牛乳の摂取量が多いこどもに被害が多かった、というストーリーのようだ。内部被爆には食物連鎖の関与も重要ということですかね。今後は該当地域における牛乳で、放射性ヨウ素のモニタリングが実施されるのだろう。


ラドン温泉など、わざわざ自然放射線を浴びるような民間療養法がある。少量の放射線は代謝を活発化し、むしろ健康に良いという考え方があるようだ。だとすれば、大規模な放射性物質の爆散を防止できれば、今回の原発事故であまり神経質になる必要もないかもしれない。


大規模事故を防止すべく、命がけで働いている東電および関連企業の職員、自衛隊隊員、消防庁の職員、関係省庁の担当者には、本当に感謝するしかない。日本人全体のために、懸命に放水・復旧作業をしている方々こそ、英雄の名にふさわしいと思う。簡単に代わりがきかない業務・立場で、急性症状が出始める250mSvの限度一杯まで頑張る方もきっといらっしゃるのだろう。内部被爆はなんとしても防止し、任務終了して無事帰還されることを祈りたいと思う。


恐怖心と戦い、懸命に働いている方々のことを思えば、健康に影響を与えない微々たる放射線に無用に反応することはできない。大気や、水道水や野菜に、暫定基準値の何倍含まれていたという表現は、気をつけなければならない。屋内退避レベルの外にいる人にとっては、年間被爆量がどれぐらいになるかが実際には問題なのであって、極めて小さい絶対値は100倍しても絶対値として問題にならないこともありえるからだ。政府は十分なモニタリングと速やかな情報公開を続け、受け取る方としては騒ぎすぎず軽視しすぎず、適正な理解と対処をしていきたいところである。


今後私たち日本人は、それでも原発を使うか否か、冷静に判断していかなければならない。でも現実問題としては、無人島でいざとなれば直ちに総員退避できるようなしくみのもの以外は、新たな原発の建設は不可能だろう。核融合炉の研究費は仕分けされてしまっているようだが、新たなクリーンエネルギーの開発をしていかなければならない。


追記


ほうれんそうから検出された放射性ヨウ素の最大値は約5万Bq/kg


1日に摂取する野菜の量(推奨)は300g/日以上。

300gのうち、ある日はほうれん草を50gとったとする。そんな日が1年に100日あると総摂取量4kg/年に達する。

放射性ヨウ素による被爆は、年齢によって変わるようだ。

ヨウ素の甲状腺への取り込みは若いほど多い。


μSv/Bqの換算係数は 0歳で0.140、1~6歳で0.075、7~14歳で0.038、15~19歳で0.025、成人で0.016。


被爆量は、0歳で28mSv/年、1~6歳で15mSv/年、7~14歳で7.6mSv/年、15~19歳で5mSv/年、成人で3.2mSv/年。


→小児にとっては許容できない被爆量です。


出荷制限をアバウトにかけると農家の損害も大きいので、モニタリングをエリア別に細かくやり、頻度も増やして、安全なものは安全とする必要があるのでは。県別では大まかすぎるのではないか。


どうやら放射性物質の拡散は、少なくとも100km程度までは距離より風向きの方が重要なようだ。アメリカが、自国民に80km圏外に出るようにと通告したのは控えめだ、という発言は根拠があったわけだ。

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2009年10月16日

がんワクチンに関する疑問

テーマ:がん

子宮頸がんは日本で毎年1万5000人の女性が罹患する。

日本の20~40歳の若年女性の癌死亡の第2位。


その子宮頸がんの原因のほとんど全てがヒトパピローマウイルス(HPV)感染だそうだ。

HPVの中でもハイリスクタイプ(16, 18, 31, 33, 35, 52, 58型など)があり、中でもHPV16型と18型で子宮頸がんの原因の約70%をしめるため、この2型のHPVに対するワクチンが製造されている。

したがってHPVワクチンはがん予防のためのワクチンである。


HPV感染は性交渉が原因のようだ。

一方、HPV感染は非常にありふれた感染であり、女性の80%は生涯に一度は感染すると考えられているそうだ。

感染率の高さからすると、HPV感染は通常のSTD(梅毒やHIVなど)とはちょっと違うようだ。


そこでまじめな疑問とあほな疑問。


性交渉をしない人や夫も含めて婚外交渉をしない人は20%しかいないのだろうか?

つまり、世界的に推奨されているとき(11歳~14歳)にワクチンを受けておらず、自分と夫の品行に関して自信がある人も、ワクチンを受けるべきなのか?また、あるご婦人が上記の内容を夫に説明した後自分がワクチンを受けるべきかどうか相談したとき、是非受けるように勧められた場合、そのご婦人は夫に愛されているのかいないのか?

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2009年04月03日

カルシウム摂取とがん

テーマ:がん

カルシウムは適量摂取すると大腸がんが減るが、過剰摂取すると前立腺がんが増える。


日本人のカルシウム摂取量は500-600mg/日であり、やや不足している。

食生活の欧米化に伴い大腸がんが増加していることもあり、日本人は全体としてもう少しカルシウム摂取をしたほうが良いのだが、逆に2000mg/日以上摂取すると500mg/日未満の男性に比べ前立腺がんのリスクが5倍になるという報告もある。過剰なカルシウム摂取が活性型ビタミンDを抑制しリスク上昇につながると考えられている。


カルシウム摂取が不足すると骨粗しょう症が増加するのは言うまでもない。


過ぎたるはおよばざるが如し、他の例もある。


ビタミンCも過剰摂取すると尿路結石が増えるし、大豆イソフラボンも心血管イベントを抑制する可能性があるが、過剰摂取は女性ホルモン様作用による思わぬデメリットを生む可能性がある。


こういう結果を見ると、栄養素はサプリメントではなく自然の食品の形で適量摂取するのがいかに安全で望ましいかがよく分かる。


文献: Food, Nutrition, Physical Activity and the prevention of cancer: a global perspective. World Cancer Research Fund and American Institute for Cancer Research, American Institute for Cancer Research. Washington DC, 2007.

これは世界癌研究基金(WCRF)と米国癌研究協会(AICR)が栄養と癌に関する4000以上の論文をレビューして出版した報告書(第二版)である(http://www.aicr.org/site/PageServer?pagename=res_report_second )。

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2008年10月07日

全国がんセンターの治療成績

テーマ:がん

全国がんセンターの全体および施設別の治療成績が発表されたようです。

http://www.gunma-cc.jp/sarukihan/seizonritu/index.html )。


病期別には分類してありますが、もう一つ無視できない要素があるように思います。

癌以外の合併症の有無です。例えば心不全、腎不全、肝硬変や糖尿病など。

これに関しては情報がありません。

基本的にがんセンターには良性疾患のみの診療科、例えば循環器科などはないので、合併症がある患者はあまりやらない傾向にあるのは事実でしょう。



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2007年09月20日

Yolk Sac Tumor

テーマ:がん

前縦隔腫瘍は

1.奇形腫(56割)

2.セミノーマ(悪性)

3.非セミノーマ(悪性)


に大別され、非セミノーマの予後、中でもyolk sac tumorの予後が最も不良。

ただ、最も不良なyolk sac tumorでも5年生存率が50%程度ある。


腫瘍マーカーとしてAFPHCG-βが上昇することがあるのが特徴的。

AFP上昇例では、化学療法によってAFPを陰性化できれば残存腫瘍を外科的に切除する。その場合、予後良好が見込まれる。


化学療法のFirst lineBEP療法(シスプラチン、エトポシド、ブレオマイシン)。

4クール施行する。


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2006年03月01日

便潜血検査にひっかかったら

テーマ:がん

便潜血検査は、大腸がんのスクリーニング検査として行われます。

ひっかかってしまったら、精密検査(なるべく大腸内視鏡)が勧められます。


その旨を患者様にお知らせしたとき、よくあるご質問のひとつは「もう一回便潜血検査をして、ひっかからなければ大腸内視鏡を見送ることができませんか」です。


便潜血検査をもう1回実施して、潜血反応が陰性だったとしても、1回目の検査で引っかかった事実は消えません。そして、便潜血反応陽性者の精密検査の結果、どれくらい大腸がんのリスクがあるかが問題です。統計的には、大腸がんである可能性は2%程度です。


厚生労働省の2003年度の集計によると、大腸がん検診を受けた人は約640万人で、精密検査となったのは7%。精密検査の受診率は55%で、受診者の2%に大腸がんが見つかっています。


では、便潜血陽性者のうち、大腸がんがみつかった2%の方以外は異常なしか。そうではなく、良性のポリープが見つかる確率は50%程度という報告もあります。大腸ポリープは、1cm以上に育つとがん化のリスクが出てきますので、特に大きなものは内視鏡的に切除するメリットがあります。


この事実を踏まえ、どうするか。私なら、大腸内視鏡検査を受けます。



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2005年11月27日

活性酸素の話

テーマ:がん

「活性酸素のはなし」

著者:  永田親義

出版社: 講談社Blue Backs

Blue Backsシリーズは「科学をあなたのポケットに」という精神で発刊されていますが、自分に興味のある分野以外は正直いって読むのがきつい。こんなシリーズを出している講談社はえらいと思います。あまり商売にはならなさそうですね。


著者の永田親義さんは、国立がんセンターで生物物理部長を務めていた時代に、喫煙による発ガンメカニズムの解明に極めて優れた業績を残した方です(筆者のブログの2005.2.14付け記事参照)。


我々は栄養を摂取し、酸素によってそれを体内で燃やしエネルギーを取り出しています。従って酸素は我々の生存に不可欠なものではありますが、一方で過剰に存在すると生体にとって危険なものでもあります。扱いを間違えるとやけどしてしまう。酸素は赤血球に含まれる鉄イオンを含むヘモグロビンという蛋白と結合して体内を運搬されますが、筆者はそれを「たんぱく質部分で酸素をつかむと酸化されて燃えてしまうので、火箸で火をつかむように鉄部分で酸素をつかんで運ぶ」と表現しています。


活性酸素とは、酸素が通常の状態よりさらに活性が高くなった状態であり、毒性酸素と言ってもよい。私たちが酸素を用いて栄養を代謝する過程で、どうしても発生してしまうが、我々の体内には活性酸素を消去する酵素も存在するため事なきを得ています。ただし、活性酸素は悪いことをしているだけではなく、例えば白血球は活性酸素を用いて細菌を退治します。


なぜ我々は危険な酸素を用いてエネルギー代謝をするようになったか。それは、酸素を用いた方が、用いないよりも格段にエネルギー代謝の効率が良いからだ、ということです。


以上の内容は、本の最初の50ページ程度を読めば書いてあります。以降のページには、活性酸素と、老化・がん・他のいろいろな病気との関係について詳述してあります。活性酸素について本当に知りたい人にとっては名著だと思います。


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2005年11月25日

肝臓癌の陽子線治療

テーマ:がん

肝臓癌の治療法には手術、ラジオ波、肝動脈塞栓術などがあるが、その他の治療として陽子線治療という方法が注目されています。癌が大きすぎてラジオ波で焼けず、全身状態から手術でも切除できない、さらに腫瘍が乏血性で肝動脈塞栓術の効果も期待できないようなケース、あるいは門脈腫瘍塞栓に対し適応となると考えられます。


162例の患者様に対して肝臓癌の陽子線治療を行った結果が国内の施設から報告されています。治療成績にもっとも影響を与えたのは、治療前の肝機能。肝細胞癌になる方は背景肝が肝硬変になっている場合が多い。肝硬変の程度を分類する方法にChild-Pugh分類という尺度があり、A~Cに分類されます。Aが一番軽い肝硬変。一番条件が良いパターンでの成績ですが、Child-Pugh分類でAで、肝細胞癌が1個だけの場合は、この治療による5年生存率が53.5%でした(筑波大学からの報告)。


従来の治療ではもう手だてがないと言われた方にとっては、福音といってよいかと思います。治療費が高いという問題点はありますが。はっきり言えば画期的とまでは言えない治療成績ですが、効かない民間治療でほとんどお金をだまし取られるよりは間違いなく良いはずです。治療費ですが、1回の治療で自己負担が200~300万かかるらしい。それでも、治療設備のコストが300億円ぐらいなので、コストの回収すらできないとの事。税金を投入してこの設備を増やす価値があるかどうか、議論になっているようです。


文献: Proton Beam Therapy for Hepatocellular Carcinoma: A Retrospective Review of 162 Patients. Toshiya Chiba et al. Clin. Cancer Res. 11:3799-3805, 2005


陽子線治療施設:


 国立がんセンター東病院 (柏市)

 放射線医学総合研究所 (千葉市)

 筑波大学陽子線医学利用研究センター

 兵庫県粒子線医療センター

 (財)若狭湾エネルギー研究センター


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2005年06月05日

がん予防8か条

テーマ:がん

国立がんセンターのホームページに、6月1日付けで科学的根拠に基づくがん予防の情報が掲載されました。がんセンターが中心になって行っている、全国11保健所管内14万人の地域住民を対象とした、生活習慣とがんなど成人病発症との関連についての長期追跡調査(厚生労働省による多目的コホート研究)がありますが、その結果も踏まえてのもののようです。


そこで発表されたがん予防8か条は以下の通り。


・禁煙。受動喫煙を避ける。

・適度な飲酒。日本酒換算で1日1合(ビールで大瓶1本)以内。飲まない人は無理に飲まない。

・野菜・果物を一日400g以上。

・食塩は一日10g未満。

・定期的な運動。毎日60分の歩行に加え、週に1回は汗をかく様な激しい運動をするなど。

・太り過ぎない、やせすぎない。

・熱い飲食物は最小限に。

・肝炎ウイルス感染の有無を知り、その治療や予防の措置をとる。


興味のある方は国立がんセンターのホームページへ(http://www.ncc.go.jp/jp/index.html )。

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2005年03月10日

大腸がんの予防法2

テーマ:がん
日本人の栄養摂取の弱点の一つは、カルシウム摂取が少ない事です。2002年国民栄養調査によると、日本人のカルシウム摂取量の平均値は、女性で535mg、男性で559mg。カルシウム摂取が不足すれば骨粗鬆症のリスク増加が懸念されますが、それ以外に大腸がんに罹患する危険が増大するかもしれません。欧米の男女53万人を6-16年追跡したところ、カルシウムを一日700mg以上とるグループでは大腸がんのリスクが20%程度低かったとする報告があります。カルシウムを摂取するのに牛乳も良いですが、牛乳も取りすぎればカロリー過多の一因になります。特に糖尿病などある場合は牛乳取りすぎも要注意。牛乳180ml程度(カルシウム約200mgを含有)を毎日摂取するのはお勧めです。他に、小魚、大豆製品(豆腐や納豆)、緑黄色野菜(小松菜、水菜、青梗菜)もカルシウムが多いようですね。

論文:Cho E, et al. Dairy foods, calcium, and colorectal cancer: a pooled analysis of 10 cohort studies. J Natl Cancer Inst. 2004;96:1015-1022
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