2005年02月12日

胃潰瘍の予防法

テーマ:消化器
 胃液は塩酸を含んだ強酸です。私たちの胃粘膜自体が消化されてしまわないために、胃壁の細胞が分泌する粘液の層が重要な役割を果たしています。胃粘膜の表面を覆う粘液の層は、胃壁側から胃の内腔に向かっては酸が通りますが、逆方向には酸が通れないような精巧な構造を持っています。
 胃潰瘍や十二指腸潰瘍は、胃酸が私たちの消化管粘膜を消化してしまう事により発生するので、まとめて消化性潰瘍と言います。消化性潰瘍の発生リスクは何でしょうか。
 日常的に見られる消化性潰瘍の五大リスクは、お酒の飲みすぎ、喫煙、コーヒーの飲みすぎ、解熱鎮痛薬の使用、ストレスです。一旦潰瘍が出来てしまうと、治った後の瘢痕組織は粘液を分泌できないので、周囲の正常粘膜が粘液を分泌しカバーします。従って、しっかり治療しないと再発しやすい。
 再発を繰り返す胃潰瘍は、ヘリコバクター ピロリという胃酸の中でも増殖できる細菌の有無を調べ、ピロリ菌が居る場合は除菌すると再発しにくくなることも知られています。
 生活習慣に注意し摂生するだけで、かなり消化性潰瘍は予防できますが、あまりリスクが無いのに潰瘍が出来てしまった場合はピロリ菌の有無を調べましょう。
AD
いいね!した人  |  コメント(2)  |  リブログ(0)
2005年02月11日

大腸がんの予防法

テーマ:がん
 近年、日本では大腸がんが増加傾向にあり、がん死の内訳で3位になっています(1位は肺がん、2位は胃がん)。大腸がんの増加原因は、食習慣の西欧化、具体的には脂肪摂取割合の増加だと考えられています。なぜ、脂肪摂取が増えると大腸がんが増えるのでしょうか。
 脂肪を摂取すると、消化吸収のために十二指腸に消化液である胆汁が分泌されます。胆汁は腸内細菌によって二次胆汁酸に変化しますが、これに実験的には発がん性があることが確認されています。これが第一に考えられる発がんの機序です。また、体内に吸収された脂肪は酸化されると過酸化脂質というものに変化することがありますが、過酸化脂質は活性酸素の一種であり細胞のDNAを障害する可能性があります。これが第二の機序です。
 第二の機序は、本当であれば大腸だけでは無く全身の臓器を障害するはずですが、この説を裏付けるかのような論文が2003年にNew England Journal of Medicineという医学雑誌に発表されました(この雑誌は、臨床医学では世界で最も信頼されている雑誌の一つです)。肥満だけでがんが増加するという報告です。BMIの増加でがん死亡率が有意に高くなったのは、食道・胃(男のみ)・結腸・直腸・肝・胆・膵・腎・非ホジキンリンパ腫・多発性骨髄腫・前立腺・乳房・子宮・卵巣です。
 上記のことから、大腸がんを予防するには第一に脂肪摂取を控え肥満も予防する、第二に便秘を避ける事だと考えられます。もっとも疫学的には便秘と大腸がんを関連づける報告はないようですので、便秘だから大腸がんを心配すべきだとはいえないのですが・・・。便秘を避けるには、規則正しい食生活を送り食物繊維や水分を十分に取る、運動不足を避ける、適正な排便習慣をつける(毎日同じ時間にトイレに行き、排便を我慢するような状況を避ける)といった所でしょう。
AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2005年02月10日

やせ薬はあるのか

テーマ:肥満
 1995年にFriedmanらによりレプチンが発見され、体重調節のメカニズムが明らかになってきました。レプチンは脂肪組織から分泌されるホルモンで、視床下部の満腹中枢と摂食中枢に作用し食欲を抑制し、交感神経の活性化を介して基礎代謝を亢進させます。太ると脂肪組織が増加しレプチン分泌量が増え、その結果食欲が抑制され基礎代謝が亢進し体重が減少します。やせると逆のメカニズムで体重が増加します。このようにして体重の恒常性が維持されている事が分かってきました。実際、レプチンの遺伝子異常による異常肥満の症例報告もあります。
 では、レプチンはダイエットに有用な肥満治療の特効薬になるでしょうか。残念ながら、そう簡単ではありません。第一に、レプチンはペプチドホルモン(たんぱく質でできたホルモン)なので、飲み薬になりません。飲むと消化されてしまいます。注射しなければならない。第二に、レプチンは食が太いとか細いといった長期の食欲をコントロールしているのだということが分かりました。従って、レプチンを注射しても即効性の効果は期待できず、食事制限と併用するとリバウンドを防ぐ効果はあることが分かってきました(アメリカの治験結果)。レプチンを使用したダイエットにも努力は必要という事です。それでも自分にレプチンを使って欲しい、お金はかかっても構わないという人は、アメリカに行けばレプチン治療を受けられるかもしれません。日本国内では、脂肪萎縮性糖尿病やレプチン遺伝子異常症といった特殊な病気を除き、法的に難しいでしょう。レプチン遺伝子異常症は国内では症例報告がありませんが。
 短期の食欲を調節しているのは、胃や小腸から分泌される消化管ホルモンです。こちらの関連薬剤の方が、即効性のある肥満治療薬になりうるかもしれません。
AD
いいね!した人  |  コメント(1)  |  リブログ(0)
2005年02月07日

体脂肪率は低いほど良いのか

テーマ:肥満
 過去15~20年の間に、肥満症に関する研究が急速に進みました。脂肪細胞は、ただ余剰エネルギーをストックするだけでなく、いろいろなホルモンを分泌していることが分かってきました。
 なかでも善玉ホルモンとして重要なのはレプチンとアディポネクチンです。レプチンは食欲調節の働きもあり面白いホルモンですが、その話題は別の機会にします。他にも脂肪細胞から分泌されるホルモン(アディポサイトカインという)はありますが、中でも新顔は先月Scienceという雑誌に発表された主に内臓脂肪から分泌されるvisfatinというホルモンです。この話題もまたの機会にします。
 さて、体脂肪は少なければ少ない程よいのか。結論から言うと違います。脂肪萎縮性糖尿病という病気があります。先天的または後天的に体脂肪がなくなってしまう病気ですが、糖尿病、高中性脂肪血症、脂肪肝などを呈します。例えて言えば、収納が無い家だと部屋の中に余計な荷物があふれてしまうといった感じでしょうか。
 脂肪萎縮性糖尿病マウスに、脂肪組織を移植すると病気が治ります。脂肪組織を移植する代わりに、レプチンを投与すると病気は改善しますが完全には治りません。アディポネクチンを投与しても同様で、改善するが完全には治らない。両者を投与するとほぼ完全に治ることから、レプチンとアディポネクチンがアディポサイトカインの中では最も重要だということが分かってきました。
 脂肪萎縮性糖尿病の治療は、国内では京大病院が手がけています。レプチン投与によりかなり改善するようですが、その治療が倫理委員会で承認されるのに2年かかったと聞いています。アディポネクチン投与はまだ行われていないようです。
 上記のような事を考えると、肥満症に対する脂肪吸引治療などは、長期的には体に悪い可能性も考えられ、安易な施術は避けた方が良いように思います。
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2005年02月05日

肥満体質は悪い体質か

テーマ:肥満
 ここ15年ぐらいの間に、肥満のメカニズムが医学的にかなり解明されてきました。肥満のメカニズムなんて過食と運動不足だろうと言われればその通りなのですが、同じくらいのカロリーを摂取し同じ程度の運動量でも、太りやすい体質の人とそうでもない人がいます。そのような体質を規定する遺伝子もいくつか同定されてきました。そのなかの一つに、β3アドレナリン受容体の遺伝子があります。この遺伝子に変異がある人は、無い人に比べ太りやすいのですが、日本人の約30%にこの遺伝子変異が存在することが分かりました。
 肥満は高血圧、高脂血症、糖尿病などを介して動脈硬化に繋がり、心筋梗塞や脳梗塞の原因になります。また肥満しているだけでがんになりやすいことも分かってきています。そんな肥満に繋がる遺伝子変異がなぜ日本人の約30%にもあるのでしょうか。
 人類の歴史上99%以上の時代は飢餓の時代でした。食物が十分に無い環境では、より少ないカロリーで日常の活動ができ、より多くをストックに回せる体質(肥満体質)は生存に有利な体質でした。だからこそ、そのような体質が先祖から我々に受け継がれてきたと考えられます。しかし、現代のような飽食の時代にあっては、その体質が裏目に作用し生存に不利になってしまっています。
 従って、肥満体質(その原因遺伝子は医学的には倹約遺伝子とも言われます)は必ずしも悪い体質ではありません。しかし、肥満体質が生存に有利に働く時代になって欲しくもないものですね。
いいね!した人  |  コメント(2)  |  リブログ(0)
2005年02月04日

アミノ酸飲料はダイエットに良いのか

テーマ:肥満
 アミノ酸が連なったものがたんぱく質です。アミノ酸は三大栄養素の一つのはずなのに、どうしてアミノ酸飲料で脂肪が燃えるといった理屈が出てくるのでしょう。
 我々の体は運動するとき、まず炭水化物(グリコーゲン)を燃やします。それが尽きたとき脂肪を燃やし、それすら尽きた飢餓状態に陥って初めて筋肉(たんぱく質)を燃やしてエネルギーとします。
 運動する前にアミノ酸飲料を摂取すると、運動時に血液中にアミノ酸が循環し、「たんぱく質を燃やさないといけない状態か」と体が勘違いし、炭水化物ではなく脂肪を燃焼させる仕組みにスイッチが入る可能性があるかもしれません。あくまでも推測ですが。アミノ酸飲料のブームを作ったのは飲料メーカーの研究員なのでしょうけれども、ぜひ仕掛け人に理屈を確認したいものです。科学的な根拠があれば聞いてみたい。
 いずれにせよ、運動もしないでただアミノ酸飲料を飲めば、栄養になるだけなのは間違いありません。
 
いいね!した人  |  コメント(4)  |  リブログ(0)
2005年02月02日

胃がんは日本人の国民病

テーマ:がん
 がんには人種差や地域差があります。地域差は、生活習慣の違いでも発生することが知られています。例えばフランスはブルゴーニュ地方の食道がん。ここではアルコール消費量と喫煙が相乗的に作用して食道がんが増加しています。アルコールのなかでも、りんご蒸留酒のカルバドス消費量と良く相関しているようです。あるいはインドの口腔がん。これは噛みタバコが原因です。中国で白菜のつけもの消費量が多い地域での食道がん。つけものの中にアフラトキシンという発ガン物質が生成していることが原因です。
 そして極東アジア(日本、韓国)は胃がんの多発地帯です。日本で胃カメラが開発されたのにもそういった背景がありました。原因は塩分消費量が多いためだと疫学調査から考えられています。日本の中でも東北地方で漬物消費量が多かったために塩分消費量が多く胃がんが多発していましたが、冷蔵庫の普及などで塩分消費量の減少と共に胃がんの発生が減ってきました。しかし、現在でも日本人の平均塩分摂取量は一日12グラム。適正な摂取量は10グラム以下と考えられています。
 日本人の死因の1位はがん、2位・3位が脳卒中・心筋梗塞の動脈硬化による疾患です。がんの最大の危険因子は加齢ですから、死因の一位ががんであること自体は長寿社会の証明であり、先進国ならではといえます。がん死の内訳で1位はながらく胃がんでしたが、近年は肺がんにとって代わられました。胃がんが2位に後退した原因として、相対的に塩分摂取量が減ってきたこと、胃カメラによる早期発見・早期内視鏡治療が普及してきた事が考えられます。治療成績が向上し死因の1位は退いたものの、やはり発生数では1位と考えてよいでしょう。
 そういうわけで、和食の数少ない弱点の一つは塩分摂取量が多すぎることです。私たちは毎日味噌汁を飲みますし、漬物も食べます。しょうゆも大好きです。梅干一個にも塩分が約1g含まれています。普通に食生活を送っているだけで塩分取りすぎになってしまうと意識すべきです。
 結論としては、うす味の和食が世界最強の健康食、といったところでしょうか。  
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2005年02月01日

どうして日本人は世界で最長寿なのか

テーマ:食事療法
 経済が発展すれば、生活環境が改善し国民の寿命が長くなるのは分かります。日本人の寿命は、経済の発展とともに延びてきました。しかしそれだけでは勿論説明が着きません。どうして日本人はアメリカ人よりも寿命が長いのか。最新の医療もアメリカの方が日本よりも進んでいます。
 恐らく、食事が良い、というのが答えでしょう。和食世界最強説、です。日本人は伝統的に米を中心にした高炭水化物食を食べてきました。三大栄養素は炭水化物(米、パン、いもなど)、たんぱく質(肉、魚、豆腐など)、脂質ですが、和食は大体炭水化物5-6割、たんぱく質2割、脂質2割というバランスを保ってきました。これが良かったのではないか、と考えられます。しかし、最近、日本人の食事の西洋化に伴い、糖尿病、心筋梗塞、大腸がんなどが増えてきました。憂うべき事態です。逆に、アメリカや諸外国で和食に注目が集まってきているという現象も見られます。
 しかし、和食にも弱点はあるようです。次回は、和食の弱点について考察したいと思います。
いいね!した人  |  コメント(3)  |  リブログ(0)

AD

ブログをはじめる

たくさんの芸能人・有名人が
書いているAmebaブログを
無料で簡単にはじめることができます。

公式トップブロガーへ応募

多くの方にご紹介したいブログを
執筆する方を「公式トップブロガー」
として認定しております。

芸能人・有名人ブログを開設

Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
ご希望される著名人の方/事務所様を
随時募集しております。