伊藤教育長より示された新年度教育施策方針について、概略をお伝えさせていただきます。
【学びのまつどモデルについて】
・多様性
・教育はみんなで
・部活動の地域移行
・グローバル化
以下、3つの視点に分け施策を示しました(※私が特に注目している施策を太字にしてあります)。
【①:何を学ぶ】
≪歴史・文化・伝統・芸術を学ぶ≫
・マイセン磁器、森のホール21に展示ギャラリーを整備し、公開
→(※多額の予算案を提示)
・博物館、こどもミュージアムの整備や常時展示リニューアル
・博物館、竪穴住居宿泊体験、小学生学芸員展示解説会、こども体験教室
・博物館、企画展「あの日のまつど 写真で振り返る150年」
・戸定邸、徳川昭武についての「絵本」を作成
→(※なぜ絵本なのか。話題のマンガについては検討しなかったのか)
・市民会館プラネタリウム、宇宙飛行士山崎直子さんの「天文教室」
≪主体性を育む≫
・青少年会館、樋野口分館、文化ホールで子どもの多様な体験や交流、学びの機会の充実
・家庭教育学級を支援
・「まつどまなびぃネット」で市民の自主的な学びを支え、市民同士のつながりを広げる
≪スポーツを楽しめる機会をつくる≫
・パラスポーツの周知やパラアスリートの支援
・アーバンスポーツ等、3×3のコート整備
≪子どもたちの知徳体バランスの取れた「生きる力」を育む≫
・言語活用科日本語分野、「エッセイ」を書く学習を取り入れる
・言語活用科英語分野、ジョリーフォニックスの学習内容を拡大
・ICT支援員を4名から8名に増員
【②:どこで学ぶ】
≪学びたいときに学べる環境をつくる≫
・図書館、中央館を含めた文化複合施設や地域館の整備について検討
・「千駄堀地区3館連携文化交流事業」を推進
・「まつど音楽フェスティバル」を開催
≪子どもたちのためのよりよい教育システムを構築≫
・教員不足、適切な人材支援
・保護者からの申請方法の見直し、中学校試験採点の電子化など、学校職員の働き方改革
・特別支援教育、体制の強化
・医療的ケア児、新たに看護師アドバイザーを配置
・「にほんごルーム」のより一層の充実
・地域移行のモデルとなる部活動や研究校を選定、実施
≪子どもたちのための安心・安全・快適な教育環境の確保≫
・スクールソーシャルワーカーを3人増員
・不登校児童生徒の支援、心理相談員を1人増員
・松戸市教育ICT運営支援センターを開設
・給食費第2子は半額、第3子以降は全額無償化
≪魅力ある市立高校づくり≫
・市松改革を推進
・第二外国語、スペイン語と中国語について令和6年度導入に向けた指導計画
・外壁改修工事
≪施設の老朽化対策≫
・小中学校の7施設、事前調査を行い、老朽化対策を推進
・文化会館、市民劇場、博物館、文化施設、運動公園、小金原体育館などスポーツ施設の老朽化
【③:どのように支える】
≪多様な主体の連携・協働で学びを支える≫
・「(仮称)生涯学習人材バンク」の開設
≪学びたい市民の自主的な学びを支える≫
・青少年会館、Wi-Fi設備を活用した小中高校生向けのオンライン講座・体験活動
・「まつどデジタルミュージアム」への情報を追加、3D技術を活用した新たな手法
・公立夜間中学校みらい分校、充実した教育課程を実施
【おわりに】
(原文抜粋)(略)コロナ禍の影響は計り知れず、まだまだ想定外の事象が発生することも覚悟しています。それらに対する準備を進めながら、本市の教育行政の質の向上に努力いたします。
【施政方針から感じたこと】
正直な感想ですが、本郷谷市長の市政方針では、自身のやりたいことは伝わってきました。しかし、今回の教育施策方針は、具体的に何を目指しているのか、抽象的な内容が多く、少々わかりにくかったように思います。一つずつ取り上げていきたいと思います。
①今後のコロナ対策について
まず教育関連で市民にとって最も関心が高いのは、今後のコロナ対策、マスク対応ではないでしょうか。それによって、どう学校教育が変わっていくのか。コロナによる影響(学校行事、体力、給食等)はどうなのか。具体的に方針が示されなかったこと、とても残念です。
②給食費無償化について
今後も継続して第2子半額、第3子全額無償化のようです。それには莫大な財源確保が必要となります。なぜこの施策が重要なのか、政策の転換期に教育委員会としての想いが示されておらず残念です。
③教育課題について
給食費無償化には予算確保したものの、『ヤングケアラー対策』『いじめ対策』については全く言及されていません。『不登校』については少々言及していますが、具体的にどう対策を練っているのか、示されなったことは残念です。『ひきこもり対策』も同様です。私は給食費無償化する財源があれば、こうした施策にも更に財源を投入するべきだと考えます。
④市民感覚とズレてないか
まず指針の1番目『何を学ぶか』ですが、歴史・文化・伝統・芸術を学ぶとして、『マイセン磁器』を森のホール21に展示ギャラリーを整備し、公開するとのことでした。以上①~③はほとんど指針が示されないのに、冒頭で取り上げるほど重要な施策なのか、首を傾げてしまいます。多くの市民がのぞんでいるのでしょうか。一方で、文化施設やスポーツ施設の老朽化問題を挙げ、3×3のアーバンスポーツ等は新規整備をする。う~ん・・・。松戸市がどこへ進んでいるのか正直見えてきません。
⑤その他
他にも、登下校対策としてGPS機器購入費補助を施策として掲げていますが、それ以外の防犯カメラ設置、ガードレール・信号機・横断歩道設置いついては言及されていません。コロナ禍で消毒液の寄付、ICT教育でドローン機器の寄付、その他地域ボランティアの協力等、多くの方に支えられた1年間だったと思います。「教育はみんなで」と言うならば、教育委員会として何か一言あっても良かったように感じました。
【総括】
千葉県150周年記念イベントを森のホール21で行うことで、文化施設等に力を入れることは理解します。しかし、それが市民感覚と合っているかは別問題です。やり方の問題ですが、歴史・文化財等で松戸市をアピールするのではなく、『音楽』『スポーツ』などの人材にもっと力をいれるべきだと思いました(※教育施策方針からはそう伝わってしまいました)。
私は様々な形で『市民の声』、日々動く情勢を受け止めています。今回の教育施策方針は、厳しく申し上げると、少し市民がのぞんでいる教育施策とは離れてしまっているように思いました。
今後の代表質問、予算審査でしっかりと議論をしていきたいと思います。
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松戸市議会議員 大塚けんじ
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