キング・クリムゾンのライブ | けんぶるのブログ

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音楽とうまいものとサイクリング


キング・クリムゾンのライブに行ってきた。

様々なジャンルの音楽をむさぼり聴いてきた私も、同時進行ではないが、プログレッシヴ・ロックにはまった時期もあった。ピンク・フロイド、イエス、ELP,フォーカス、PFM、そしてキング・クリムゾン・・・・。でも、こうして並べてみると、それらのバンド1つ1つの音楽は、プログレという共通の枠にはめるのには無理があるなあ。それぞれに唯一無二の個性があった。活動はなやかなりし60年代末から70年代において、ハード・ロックやブルース・ロック、グラム・ロックには入らないものをまとめて束ねたのがプログレッシヴ・ロックだったのかもしれない。

ブルージーなピンク・フロイドや、クラシカルでおしゃれなELPなどに比べて、キング・クリムゾンはあまり好みのバンドではなかった。なので、バンド仲間から誘われなかったら来日公演にも行かなかったかもしれない。でも行こうと思ったのは、あの名アルバム「クリムゾン・キングの宮殿」の曲をナマで聴いてみたいと思ったからだ。

会場の渋谷オーチャードホールには当然のように往年のファン=中年男が目立った。
メンバーは、ステージ前列のトリプル・ドラム!そしてひな壇後列にはキーボード兼サックス、ベース、ギター兼ボーカル、それに、椅子に座ってエレキ・ギターに専念するロバート・フリップという7人だ。このユニークな編成でどんな演奏が展開するのか興味津々だったが、ライブのふたが空いてみると、計算されつくした演奏が展開。アルバムに収められた楽曲を1つ1つ忠実に完璧に再現していく。そこにはアドリブのアの字もなく、無駄な音は1つもない。同時にMCなる無駄なあいさつも曲目紹介も一切なし。クラシックのコンサートのように1曲1曲が淡々と演奏されていく。そこには、ロック音楽に不可欠なパフォーマンスは存在しない。
注目の3台のドラムは、まるで和太鼓ユニットのような緊張感のあるコール&リスポンスを繰り広げる。素晴らしい!この『和太鼓集団』の一糸乱れぬかけあいが、キング・クリムゾンの古い楽曲に新たな息吹を与える効果を上げていた。やるなあ、ロバート。さすがです。

てな感じの完璧な楽器演奏集団による淡々コンサートは90分で終了。
会場の拍手に応えて、メンバーは再びステージに現れ、流れてきたイントロは、何と「クリムゾン・キングの宮殿」。これだよ、これを聴きに来たんだよと言わんばかりの拍手喝采が響く。それに続けて、「21世紀の精神異常者」だ。イエイ!46年前の楽曲が忠実に再現された瞬間、会場は最後の最後でロック・コンサートらしい興奮状態に包まれたのだった。

キング・クリムゾンの楽曲は、オリジナル・メンバー亡き後はどうなるのだろうか?次世代の演奏家によって引き継がれていくのだろうか?そんなことを思いながら、バンド仲間と肉豆腐をつつきながら黒ホッピーを飲んだのでありました。

最後に一句。  「  プログレに  酔い肉豆腐   冬酒場   」