【2-27 木曜日】

お昼前、付き人へ。
殿はある番組の3時間SPを。

医療番組にも関わらず、殿はボケにボケられます。

「自分が何で成功したかってのをわかってないとダメなんだよ」

以前そんなことを殿が仰っていたことを、ふと思い出したのです。

いくら違うことで成功し続けようが、芸人は芸人らしくいるべきだと。

テレビなどでもよく仰られていることなのですが、こんなことも殿はよく仰られるのです。

「売れたらよ、全然違うことしはじめるのとかいるだろ?お笑いで売れたのによ」

殿だから言えるお言葉、だけど、それを実行出来ている方はどれほどいるのだろうか。

なんて自分には程遠いことのくせに、いかにも考えているような口ぶりで言ってみたら、なんだか悲しくなってきました。

「そもそも、お前は売れてねぇだろ!」

そんな声も聞こえてきそうなので、話を進めます。

夕方頃、収録を終えられた殿は、そのあと一本打ち合わせをされてから帰られます。

殿をお見送りし、その打ち合わせにいらっしゃっていたアタルさんや北郷さんと少しお話を。

そこで、ボクが少し前に殿から有難いご指摘を頂いたということをお二人にお話ししたのです。

すると、その話の途中で北郷さんがこんなことを仰られるのです。

「じゃあ、シェパードはクビなんだな?」

クビではないのです。

なので、

「いや、ご指摘を頂いただけですから」

そうお返ししたのですが、隣りにいらしたらアタルさんまで、深々と頭を下げられながらこんなことを仰るのです。

「お疲れ様でした!」

いえ、ボクは辞めないのです。

ですが、北郷さんはもうボクが辞めるということで話を進め、こんなことを仰るのです。

「店出したらよ、一回ぐらいは行くからさ」

何度も言うようですが、ボクは辞めないのです。

ですが、さらにお二人はボクに対し他人行儀に、

「では、川本さん、またお会い出来れば」

「川本さん、頑張ってね」

と、シェパードと呼ぶのさえもやめてしまい、ボクの本名の川本という名前を呼びながら別れを悲しまれるのです。

何度も言いますが、ボクは辞めないのです。

なので、ボクも必死に辞めないということを言い続けるのです。

すると、そんなやり取りを笑いながら聞いていらした殿のマネージャーさんが、ふとこんなことを仰られたのです。

「じゃ、またね。かわもっちゃん」

その最後のトドメの一言に、ボクは悲鳴のような声で、

「やめてくださいよ~~~」

と雄叫びをあげることしか出来なかったのでした。

そして、お二人はそのまま他人行儀に、

「では、川本さん。失礼します」

と頭を下げられながら帰られたのでした。

みなさんにも、念のため言っておきます。

「ボクは辞めません!」

そして、気を取り直して帰路、ドトールで「世に棲む日日」を。

脱藩の罪で帰国した松陰に、従兄弟であり師でもある玉木文之進がこんなことを。

「人間、若いころには藩の束縛から脱して、天地にはねをひろげ、あしをのばすことが必要だ。ところがたれもがそう思いつつそれができない。お前は天の寵をうけているのか、その自由を得た」

こんなことをいつまでも言える大人、
こんなことをいつまでも実行できる大人、
そんな大人になりたいと切に思ったのでした。

そして、松陰の若き頃の座右の銘。

「人生ノ得喪、一毛軽シ。英雄ハツネニ身後ニ名アルヲ要ス」

〝生きて名をなすのではなく、死後に名をなしたい〟

カッコよすぎです。

そして、松陰が23歳にしてまだ女性とコトを致していないということを司馬遼太郎さんがこんな風に。

〝このいまだに童貞でいる若者は、婦人に対してはつねにやさしい〟

少し、バカにしているような気がして吹いてしまったのでした。

そして、森田節斎という人物が独特で面白かったのです。

この節斎という人物は、四十四歳にして初めて嫁を持つことになるのですが、そのお相手の無弦という女性が、

〝類を絶した醜女〟

だったらしいのです。

司馬遼太郎さんもそこまで言わなくてもいいじゃないかという感じですが、そんなことより、節斎がすごいのがこの無弦という女性に対し、

〝無弦ならば、自分でも結婚できるだろう〟

と思い込み求婚したそうなのです。

どれだけヒドイんだという感じの男ですが、この無弦という女性も女性で、何を間違えたのかその求婚を受け入れたのです。

もうここまで来ると、何がなんだかわからないのです。

さらに、この節斎という男が結婚後にしたことがまたヒドく、

結婚後、妻の無弦を川柳でこのように例え、その川柳を友人に見せびらかしていたそうなのです。

「どぶろくも、酒と思へば酒の味」

なんてヒドイこというんだコイツは!って思っていたら、司馬遼太郎さんもこの節斎という人物をこのように書いていたのです。

〝節斎はこれほどの脱俗人でありながら、その生涯をみても致命的に軽薄なところがある〟

〝致命的に軽薄〟

ハッキリ言ってくださり、ありがとうございます!

と心の底から清々しい気持ちになったのでした。

それと、その節斎と村島内蔵進という富商で節斎に心酔しきっていた男との会話が面白いのです。

節斎がただ女色を絶っているということが村島内蔵進にはふしぎでならず、こんな質問をしたらしいのです。

「先生もまた、煩悩がおありですか?」

その質問に節斎は、

「うむ」

と答えたきり、要領をえない。

なので、村島内蔵進はかさねて、

「おありですか?」

と聞いてみたらしいのですが、その質問に節斎はにがい顔をし、いかにも腹立たしげにこう答えたそうなのです。

「他人の十倍はあるわい」

チェリーボーイの性、悲しき哀愁。

「ざまーみろ!」

と心の底から叫んでやったのでした。

するとそのあと、そんな節斎はその煩悩を抑えるためにこんなことをしていたと。

「体中に鬱してきた無用の精力を抜くため、女が欲しくなると、血をぬく」

ざまーみろ!っと思ってたことを少しだけ反省し、ボクも鬱してきたら血を抜こうと思ったのでした。

そして21時頃、閉店とともに帰宅します。

帰宅して録画しておいた番組をいくつか。

「マツコ&有吉の怒り新党」
「探偵ナイトスクープ」
「アメトーークDVDベスト厳選24作」
「ダウンタウンDX」

そして、0時過ぎ『テッド』を視聴して、寝る前に『水道橋博士のメルマ旬報』のハカセードライバーを読んで寝たのでした。

では。