GUILTY 53 三宅の計画 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

三宅と岬は新喜劇を観てお茶をした後、一緒にアパートまで帰って来た。



「今日はありがとう。めちゃくちゃ楽しかった」



「健ちゃん、大爆笑だったね」



「うん。久しぶりにあんな笑った」



「小1の時以来?」



「いや前に観た時より笑ったよ」



「ほんとに?」



「岬と一緒だったからかな」



三宅は腕時計を見た。



「じゃ、俺行くね」



「うん。送ってくれてありがとう」



出先からバーに向かった方が楽だったのに、三宅は岬をアパートまで送って行くと言ってきかなかったのだ。



「もし、森田が来たら居留守使って。出たらダメだよ」



「うん」



「多分、来ないとは思うけど



「どうして?」



「あ、いやなんとなくそんな気がするだけ」



三宅はそう言うと、じっと岬を見つめた。



どちらからともなく、顔を寄せて、唇を重ねた。



唇を離して、額を合わせる。



行ってきます」



「行ってらっしゃい」



岬は、なぜかドアを開けた三宅の後ろ姿が急に愛しくなって、呼び止めた。



「健ちゃん」



「ん?」



振り向いて髪をかきあげる。



「早く帰って来てね」



「うん」



三宅は不安げな岬の顔を見ると、首を伸ばしてもう一度チュッとキスをした。



「なるべく早く帰って来るよ」



上目遣いで、静かに言った。







不安げな岬をひとりアパートに残して行くのは可愛そうだと思ったが、今夜は出かけないわけには行かなかった。


仕事の休憩中に、森田と会う約束をしていたからだ。


その時に例のリストを渡すと言ったから、恐らく森田がアパートに来ることはないはずだ。


岬に手を出すことはないだろう。



「…大丈夫」



三宅は自分に言い聞かせるように呟いて、勤め先のバーに向かった。



雨がパラパラ降り出していた。