※本日2話目の更新です
「あ。そういえば、健ちゃん、怪我は?」
「…え?」
「服に血がついてたから。どっか怪我した?」
「ああ…うん。大丈夫。たいした怪我じゃない」
「ほんと?」
「うん。…いってぇ…」
三宅は顔をしかめて頭を押さえた。
「大丈夫?」
「頭いてぇ…」
「熱のせいかな。病院行く?」
「いや…大丈夫。食って寝たら治ると思う」
「そう。冷蔵庫の中にヨーグルトとか、飲み物もあるし、適当に食べたり飲んだりしてて」
「うん。…岬…」
「ん?」
岬は髪を一つに束ねながら、ベッドに起き上がっている三宅のそばに行った。
「何時に帰って来る?」
「うーん。頑張って6時」
「じゃあ…それまでいてていい?」
「もちろん。何か欲しいものあったら買ってくるけど」
岬は鞄を肩にかけた。
「じゃあ…桃缶」
「ふふ。オッケー。じゃあ行って来るね。テレビつけとく?」
「うん」
「はい。これ、リモコン」
テレビのリモコンを渡したちょうどその時、ニュースが流れた。
新たな殺人事件のニュースだった。
「…また?」
岬は眉をひそめてテレビを見た。昨夜起こった事件で、被害者はIT企業の社長と出ていた。
「凶器はアイスピックなどの先の尖った鋭い刃物と見られ、これまでの殺人事件と何らかの関係があると見て、捜査が進められています」
岬は岡田のことが心配になった。
これでまた岡田は忙しくなるだろう。駿作も当分戻って来れない。
駿作もおらず、岬とも別れ…。疲れ切った岡田の顔が目に浮かんだ。
「大丈夫かな…」
思わず呟いてしまって、三宅の方を振り向いた。
が、三宅には岬の言葉が聞こえなかったようで、三宅は黙って無表情にテレビを見つめていた。
その静かな黒い瞳に、賑やかなテレビの画面が反射していた。