コンコン!
「飯行くぞ」
ガチャッ。
キャップを被ったソラが、飛び出して来た。
「待ってました!」
リンは、両手をポケットに突っ込んだ俺の腕に、自分の腕を絡ませていた。ソラがじっとそれを見ると、リンは慌てて手を離して、両手を挙げた。
「アハハ…」
ソラと俺の顔を見比べる。
「どうぞ僕に遠慮しないで。仲いいのはいいことだよ」
ソラに言われて、リンはニコッと笑ってまた俺の腕にしがみついた。
ソラが俺にボソッと言った。
「なんていうか…歳の割に無邪気だね」
「それ褒めてねー」
「褒めてるよ!ところで、ふたりとも飛行機に乗ってるときは疲れた顔してたのに…」
そうかな…って俺は片手をポケットから出して頬を撫でさすった。
「スッキリした顔しちゃってさ。一体この短時間に何発やったわけ?」
ブッ!と思わず吹き出した。
「何言い出すんだよ⁈お前はぁっ!」
ほんとに聞き耳立ててたのか⁇
「バレバレだよ。シャワー浴びてるし」
「何がバレバレだ!思春期の息子が隣の部屋にいるのに、するわけねーだろ?お、お前はシャワー浴びなかったのかよ?」
「浴びたよ?旅の疲れを取るには一番」
「だよな。俺たちも旅の疲れを取るためにシャワー浴びたんじゃねーか」
「セックスの後で?」
ほんっとに口の減らない奴だ。
だったらどうなんだよ?
「言ってろよ」
「これだから大人は!ちぇっ。僕もガールフレンド連れてくりゃよかった」
「いんのか⁇」
「当たり前でしょ?僕を誰だと思ってるの?」
ソラはクリッとした二重瞼の目を見開いて、
「パパの息子だよ?」
と片手を腰に当て、もう片方の手で、俺の胸をツン!と突いた。