桜の蕾 11 宝と聡美 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

それから三人で鍋を囲んで、あまり遅くならないうちに、准が桜ちゃんを送って行った。

その間に私は後片付けを済ませ、先にお風呂に入った。


入浴中に准が帰って来て、浴室のドアを少し開けると、


「一緒に入っていい?」


と片眉を上げた。


「どうぞ」






准が私を後ろから抱きかかえるようにして湯船に浸かり、私の肩に手でお湯をかける。


パシャ…ン…。


私はその手を掴んで、自分のお腹の前に持ってくる。准が私のお腹の前でそっと手を組んで、頸にキスした。


准が頸から首筋、それから耳たぶへと優しくキスを落としていく。


私が振り向くと、顎を掴んで唇を重ねた。


深いキスになる前に、唇を離して准を見つめる。


優しくて甘い微笑み。ちょっと欲望がチラつく瞳。


「…いい男ね」


「ンフフ…。そう?」


って片手で髪をかきあげて私の唇を見つめる。


エッチなモードに入ってるときの准は強い。

私の言葉に、照れたり狼狽えたりしない。獲物を確実に仕留めようとする雄の本能が准を支配し始める。


私はふと、桜ちゃんのことを思い出した。


キスしようとする准の唇を手で押さえる。


「…ねぇ?」


「なに?」


私の指を掴んでそっとどかせて、チュッ…と唇にキスをする。


またキスをしようとするから、


「ねぇってば」


って言うと、


「…ん?」


って今度はじっと見つめながら私の手にキスをした。


「あなたは…私と…セックスしなくても平気?」


「平気じゃない」


「即答?」


思わず笑ってしまった。



「平気なわけないだろ。なんでそんなこと聞くの?」


「私だって平気じゃないもの」


「え?」


「条くんを愛しててもいいって励まされたって…桜ちゃんは辛いわね。そりゃ人としても好きだろうけど、でもやっぱり、男として好きなんだもん。もし仮に、男として応えてもらうことを諦めることができたとしてもよ?それでも、やっぱり辛いわよ」


「どうして?」


「だって、見返りを求めなくたって、自分以外の女の人を愛してる条くんを好きでいること自体が辛いじゃない」



「そう…。じゃあ、あんなふうに言うべきじゃなかった?上野さんの条くんへの愛を推すようなこと言っちゃったかな…」


「今までの愛を肯定するのはいいわよ。問題は、これから」


准が怪訝な顔で私を見つめる。


「桜ちゃんの幸せはどこにあるの?条くんを愛し続けても報われないわよね…。だったら、早く新しい恋をして…」


すると、准がフッと笑った。


「報われるために、人を好きになるわけじゃないだろ?」


「そりゃそうだけど」


「たとえ聡美とセックスできなくても、俺は聡美が好きだよ。例えば、聡美が他の男を好きになったとしても、俺は聡美が好きだと思う。だって、報われなくても、好きな気持ちはどうしようもないだろ?

幸せかどうかって聞かれたら… 


聡美が幸せなら多分俺は幸せだよ。


愛ってそういうもんなんじゃないの?」


私は驚いてまじまじと准を見つめた。



「…随分とあっさり…言ってのけたわね…」



「…え?」


何が?って顔してる准は、自分の愛の純度が普通だと思ってる。


ああ。なんて愛しい人。


「ねぇ…准…」


チャプン…と湯を揺らせて私は体ごと准の方を向いた。


准は湯船の縁に両腕をのせて、私を見返す。


「私とセックスしたい?」


「…うん」


「今すぐ?」


「できれば」


「ここで?」


「ここでもベッドでも。聡美の好きなところで」


准は両手で濡れた前髪を後ろに撫で付ける。逞しい二の腕。彫刻のように綺麗な顔立ち。



「じゃあ…ここでして」


私は准の首に腕を巻きつけて、ねだる。


「…今すぐ?」


准が上目遣いで私を見る。


「今すぐ」


准がフッと笑って横を向く。それから、また私を見つめ、



「…了解」


と言って、私の腰に腕を回して抱き寄せた。