桜の蕾 5 卒業準備 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

一月のある日、桃に、


「ねぇ、条くん、相談があるんだけど」


と言われた。


「なに?」


千帆はもう寝室で休んでいたから、リビングには桃と俺しかいなかった。


「もし…私が答辞を読むってなったら、ママ、卒業式まで頑張れるかな?立候補制なんだって。立候補してみようかな。どう思う?」


「へーぇ。いいじゃん。お前が読むなら俺も卒業式行きたいな」


「でも、かぶってるんでしょ?ヴィクトリー校の卒業式と」


「ああ」


「じゃ、無理じゃん。卒業生たちの学年主任が抜けるわけいかないでしょ」


そりゃそうだ。


「ねぇ…条くん」


「ん?」


「ママ、最近調子いいでしょ?」


「ああ」


「だから…私…なんか…ひょっとしたらこのままずっと…って期待しちゃうんだ。そんな奇跡、起こらないかな?」




***





「じゃあ卒業記念品はテント一式…と。目録読む奴と答辞読む奴決めなきゃな」


三年の担任会議で卒業式の準備について話し合った。


「答辞の指導は…」


俺は和装で並んでる健と佐久間を見る。こういうのは国語の先生だから…


「健?佐久間?」


「じゃ、佐久間で」


と健が頬杖ついて隣の佐久間を見る。


「なんでですか⁇」


「国語科でしょ。お前」


「健ちゃん先生だって国語じゃないですか!」



「そうだけどさぁ。お前やったことないだろ?答辞の指導」


「はい」


「だからやった方がいいよ」


「うーん…自信ないなぁ」


「どうする?する?」


「先生、手伝ってくれますか?」




「やだ」




「えーっ⁇」


俺は二人のやりとりを見て笑うと、


「じゃ、決まり。答辞は佐久間がメインで健がサポート」



「「はっ⁇」」


健は俺は何もしないよ?とか言いながら、「去年の答辞出しといてやるよ」と佐久間に呟いた。




「卒業の歌は?決まった?」


今度は宝を見る。


「まだ。卒業委員の間で検討中」


「そっちは宝に任せる。歌とピアノの指導よろしく」


「了解」



会議が終わったところで、


「あ、条先生」


と、佐久間が手を挙げた。


「上野先生、卒業式に呼びましょうよ!招待状書きます?来てくれますよね?」


急に桜の名前が出て、ドキッとした。


「お前そういうのはね、事務方がやってくれるから、俺たちはやらなくていいの」


健が呆れた顔で言う。


「え?そうなんですか?」



俺はトントンと書類を揃えると、チラッと佐久間を見て、


「来るんじゃない?向こうの卒業式とかぶってなかったから」


と言って席を立った。