keep going 31 カミセンの脱線 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

翌日、条件部屋で俺たちは条くんに昨夜のあの子の件を報告した。


「整理するとー、」


テーブルの上で健くんが両手を広げる。


「お前が整理すんのかよ」


って条くんが腕組みして向かいの健くんを上目遣いで見る。


「悪いかよ。いいじゃねーかよっ」


って笑って健くんは話し始めた。



「彼女は中学三年の時に両親が離婚したため、母親の実家に母子で引っ越した。

そこで、高1のときに亡くなった叔母さんのかつての部屋をあてがわれ、受験勉強をすることになる。

多感な少女は、叔母さんが自分と同じ歳ぐらいのときに夭逝したことに、少なからぬ影響を受けた。で、こっからは俺の想像なんだけど」


「いらねーな」


って条くんが、しっしって手を払ってそっぽ向く。


「聞けよ!当たってるって。絶対」


「俺は客観的な事実だけを知りたい」


「いいから聞けって。事実からもう答えがわかっちゃったんだから俺。たぶんだけど」


「まず間違いなく、間違ってる」



「まあまあ、聞いてあげて?」


って俺は腕組みしたまま、隣に座ってる条くんの腕を少し触った。

俺はすでに昨夜健くんからその推理を聞かされて知っていた。


「やがて、彼女は、叔母さんがわずか二ヶ月しか通えなかったヴィクトリー高に、進学したいと思うようになった。

そしていよいよ入試の日。彼女は運命の出会いを果たす!

なんと試験監督はパツパツのスーツに身を包んだエロ気溢れる体育教師」


「音楽!」


「エロ毛ってどこの毛?」


「毛じゃねー!色気の気!」


「だからどこの毛だよそれ」


「条くん、ここ、ここ」


って俺は自分の髭を触ってみせる。


「ああ、そっち?俺はてっきり…」


ってズボンに手を入れようとする。


「そっちでもこっちでもねーよ!」


「そっちが溢れてたら大変だろ」


って俺は笑った。


「もじゃもじゃー‼︎って?」


って条くんが脚を広げて前でもこもこって手を動かした。


「ヤバイだろ!そんな試験監督!」


俺は手の甲で鼻に触れてワハハって笑った。


「もじゃもじゃーっ‼︎」

「もじゃもじゃーっ‼︎」


向かい合わせに座った条件コンビが脚を広げて同じポーズをして俺を笑わせる。


「ハッハッハ…!」


って顔を背けて笑いながら、俺も一緒になって、


「はい、もじゃもじゃーっ‼︎」


って三人でポーズして、爆笑した。


「くっだらねー!」


って健くんが眉尻を下げて笑った。


ひとしきり笑ったあとで、はぁーってみんなしてそれぞれソファにもたれて…


「おい、健」


「なに?」


ってまだ笑顔のままの健くん。



「お前、話の途中だっただろ」


「え?そうだっけ?」


って目をまん丸にして、



「ああ!そうそう!」


って手を叩いて身を乗り出した。


俺と条くんは呆れて目配せして笑い合った。