数学の神様 17 返却不要 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

職員室に戻ろうとしたとき、ふと、誰もいない下足室のドアに一本のビニール傘が立かけてあるのが目に入った。


傘の持ち手に付箋が貼ってある。


気になって見に行くと、その付箋に



ヨシトミ 

返却不要



ってボールペンで書かれてあった。



トクン…と胸が鳴った。


条先生の字だ…。


ヨシトミって…吉富、私のことだよね?




お礼を言いに条件部屋に行こうとしたとき、ちょうど校内放送が流れた。



『…数学科の先生方に連絡します』


あ。条先生の声だ!


『只今より教科会議を行いますので、数学科準備室までご参集ください。』



なんだ。会議か。

今から会議じゃ、お礼を言いに行けないな…。


また卒業式の日にしよう。返却不要と書かれてあるけど、ちゃんと返そう。


先生、ありがとう。


心の中でお礼を言って、校舎を出ると、傘を広げた。










条件部屋の窓から、吉富がビニール傘をさして校門を出るのが見えた。


ちゃんと気づいたな。


「さて…会議、会議」


教務手帳を持って出て行こうとすると、入れ替わりに健が入って来た。