カミセンのランバダ 11 溢れ出す感情 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?


先生の口から、突然、奥さんという言葉が出てきて動揺した。


学校では、ほとんどプライベートな話はしないし、健ちゃん先生は結婚してるってことを忘れちゃうくらい、いつも、若くてかっこよくて、可愛くて…だから…。



「それは…奥さんに遠慮してるってことですか?」


「そうじゃない」


って先生がきっぱりと言った。


「俺は、うちの奥さんが、いつか自分の足で立ったり歩いたり…もしくは踊ったりできるようになるんなら、そのときまで、他の女の人と踊ったりしたくないんだ。ゆかりがどう思うかとかじゃなくて、俺が…」


って先生が胸に手を当てて、わかる?って感じで眉を上げた。


「俺が、そうしたくないんだよ」



なぜ、今ここで、私にそんなにまで奥さんへの愛情を示す必要があるんだろうか…と、悲しくなる。



「お前さ、前に『ただのファンになります』って言ったよな?重たくならない、俺に迷惑かけないって。なのに、まだそうやってストレートに俺に対して…」


先生の言葉を遮って、


「ファンが夢を見ちゃいけませんか?」


って言った。


「なんの夢だよ。こっちはアイドルじゃないんだから」


「私にとってはアイドルです」


はあ、と先生がため息をついた。


「生徒にとっても先生はアイドルです」


「だからなんだよ」


「生徒にはサービスするじゃないですか」


「そっちは仕事だろ?そりゃ、たしかに生徒の好意を利用して、こっち向かせることはあるよ?動機はどうあれ、勉強に向いてくれるのはいいことだからさ。でも生徒がけんちゃん先生♡ってキャーキャー言うのと…お前が…」


って先生が言葉を濁し、


「違うだろ。とにかく、生徒とお前じゃ」


って険しい顔をして、横を向いた。



「同じです」



「同じじゃない。お前にはサービスしない。何も期待するな」



「……」




「夢なんか見させねーよ」



胸が苦しい。パフェのアイスが目の前で溶けていく。


「…そんなこと…言われても…」


涙がこみ上げてくる。


「仕方ないじゃ…ないですか…」




夢を見させないと言われても

期待するなと言われても



「わかってますよ。先生が奥さんのことすごく大事にしてることも、先生が浮気なんてしない人だってことも、わかってますよ…っ!ぜんぶ、ぜんぶ…っ…頭では、わかってますよ!」



涙が溢れ出しそうになるのを必死で堪える。



「それでも好きなんだからしょうがないじゃないですか!」