戦後のどん底から這い上がって
きた一人の日本人の女。
16歳にしてミス渋谷、そしての
ちに銀座の女帝と成りあがった
実業家の富豪で占い師、細木和
子の生涯を描く。
戸田恵梨香の演技が最高に良い。

作品は映像が物凄く美しい。
戦後から高度経済成長期の銀座
の街の再現性も高い。
「作品」としても見応えある作
に仕上がっている。
演技実力派の伊藤沙莉が完全に
沈むほどに戸田恵梨香が良い。
細木さんにしか見えなくなる恐
ろしい演技で観客を引き込む。

あくまで小説が原作だが、細木
さん、実はかなり純な乙女チッ
クな面も多くあったようだ。





若き日の細木数子さん。


父方の実の先祖は高知県士族
だが、私生児だった父は高知
を離れて上京し、職を各地を
転々とする生活を送った。
やがて富山に出ていた父は富
山で見つけてきた正妻ととも
に東京に戻り、渋谷で芸者を
出すおきやを経営させるよう
になる。父は保険屋もやって
おり、その事務員として数子
の母は就職した。そして身ご
もった。
数子は渋谷の花柳界エリアで
生まれたが、幼い頃に父を亡
くし、母と共に苦難の生活を
強いられた。敗戦で焼け野原
になった東京の街で、数子は
母と弟妹たちと絵に描いたよ
うな苦しく貧しい生活を送っ
た。数子は戦災孤児ではなか
ったが、ほぼそれに等しい生
活だった。数子が貧乏を嫌悪
するのは、その幼い時の焼け
野原での東京のどん底の暮ら
しの記憶が背景にある。
だが数子は、高校時代に家計
を助けるためにクラブに勤め
はじめ、やがては銀座で政財
界御用達の超高級クラブを数
軒経営する程の経営者、銀座
の女帝になるまでのし上がる。
銀座と赤坂で一番という事は
日本で一番という事だ。後の
デビ夫人などは、高級クラブ
のただのお店の女の子でしか
ない。
いろいろなテレビ番組で観て
いても、細木数子が醸し出す
オーラは占い師のそれではな
く、日本一の夜の街銀座の女
帝としての空気そのそのもの
だった感がある。あの銀座の
超高級クラブのママ独特の空
気感。
2021年歿。満83才。

本映画作品、面白い。
とにかく絵が綺麗な映画だ。
なかなかの快作である。
しかし、1964年時の新規店舗
オープンで数子が用意した1億
円という額は、物価指数変動
だけでは現在レートには換算
できない。国民所得基準で換
算すると東京オリンピック当
時の1億円は今の10億円以上
の価値となる。とんでもない
金額を女性一人で用意した。
並大抵の事ではない。
実業家としての実力があった
のだろう。


電柱の感覚が狭すぎるのでこ
れはセットだと判る。
1973年の銀座を模した巨大な
セットだ。
今の時代、巨額の映画製作費
と出演者の高額ギャラを用意
できるのはネットフィリック
スが一番だと、諸兄はご存じ
だろうか?
高級クラブEnkaの店内にしろ、
超ゴージャスな空間もすべて
セットで作られている。莫大
な金が動く映画はかつては角
川映画だったが、今はネトフ
リだ。