2024年6月の読書記録 その1 | ゆるゆるな毎日

ゆるゆるな毎日

水曜どうでしょうやマンホール、キリスト看板などの趣味に走りすぎた日々を綴っています。

6月は漫画も含めて36冊読みました。

 

今月は漫画をまとめて10巻とかではなく、

 

本当の意味で多くの冊数を読みました。

 

新しく出会った作家さんや、ノンフィクションも多く読め、

 

刺激的な読書をした月になりました。

 

今月も3回に分けて記録しようと思います。

 

 

都市空間の怪異 宮田登

平安期から現代までの妖怪や怪異について書かれた本です。

 

柳田國男や南方熊楠、京極夏彦まで引用して、

 

各地に伝わる伝承や物語に登場する妖怪についの考察が続くのですが、

 

読者はそれらを当然読んでいると思っているような書き方なので、

 

分からない部分があり、また敷居が高く感じる本でした。

 

一方でゴジラなども怪奇現象として出すので、

 

それは違うだろうとツッコミを入れてしまいました。

 

本題に至る前の説明が乏しく、

 

また次の行では唐突に全く違う話になることも多く、更に結論はなし。

 

読み進めるのが苦痛でした。

 

「附 都市とフォークロア」は少し柔らかい文章でしたが、

 

それまでの章で書かれていた内容が重複していて、

 

何のために全く違う文体で同じ内容を簡潔に書いた章があるのか分かりませんでした。

 

著者が水木しげる先生の『妖怪画談』や『幽霊画談』が

 

アッと言う間に40万部ちかく売れたものの、

 

著者の『妖怪の民俗学』は2万部しか売れなかったと恨み言を書いていましたが、

 

この文章ではそうだろうと納得できる一文でした。

 

お勧め度:★★☆☆☆ 2.0

 

 

「小児性愛」という病 それは、愛ではない 斉藤章佳

小児性愛障害を持つ人々や、

 

性加害者らのカウンセリングなどに携わっている著者が、

 

彼らの考え方や行動パターンなどを分析しています。

 

特に性加害者らの自分の都合が良いような言動の歪みが怖いと思いました。

 

また小説や漫画、アニメーションも含めた児童ポルノは

 

犯罪の抑止に役立つのではなく、確実にトリガーになるという断言が恐ろしく、

 

表現の自由よりも犯罪抑止のために、

 

もっと厳しく取り締まれないものかと思いました。

 

そして一番怖かったのは、

 

小児性愛障害の人は子供との信頼関係を築いてから犯罪行為を行うことが多いため、

 

教師や塾講師、スポーツクラブのインストラクターなど、

 

子供と関わる仕事についている人が一定数いるということと、再犯率の高さ。

 

日本でもアメリカのメーガン法を取り入れるべきではないかと思いました。

 

先月、知らずに小児性愛をテーマの小説を何冊か読んだため、手に取った本。

 

内容は惨く、辛い現実が書いてありましたが、読んで良かったと思う一冊でした。

 

お勧め度:★★ 5.0

 

 

眠りの森 東野圭吾

加賀恭一郎シリーズ第2弾。

 

高柳バレエ団に不法侵入した男を葉瑠子が殺してしまった。

 

葉瑠子と幼馴染で同じバレエ団に所属し、同居もしている浅岡未緒は、

 

連絡を受けやってバレエ団に駆け付けたが、既に規制線が張られていた。

 

とまどう未緒に声を掛けて来たのは、刑事になった加賀だった。

 

未緒の視点と加賀の視点で物語は進行していきます。

 

どちらの視点でも淡々とした文章で書かれているので、

 

物語が気になりつつも、冷静に分析して読むことができました。

 

お勧め度:★★ 4.0

 

 

神社のえほん 羽尻利門

春のサッカーの大会でレギュラーを取れるよう、

 

お願いするために神社にやってきたぼく。

 

家族や親戚に特別なことがあると神社へやってくると気づいたぼくは、

 

じいちゃんの同級生の宮司さんから神社について色々なことを教えてもらいます。

 

絵がとても緻密で分かりやすく、

 

神社の境内や拝殿の中のものなどの名称や説明がしっかり書かれた図解もあり、

 

学ぶことの多い絵本でした。

 

お勧め度:★★ 5.0

 

 

テレビ報道記者 下川美奈

日本テレビ報道局社会部デスク兼キャスターの下川美奈さんが、

 

テレビ報道記者として経験してきたことを記したエッセイです。

 

オウム真理教や秋葉原無差別殺傷事件など、

 

時代ごとの大きな事件の際の取材も経験され、

 

ここに記されている以上に大変なご苦労をして

 

スクープを掴んでいるであろうことが伺えました。

 

「ミヤネ屋」で拝見する下川さんからはチャーミングで

 

お茶目な一面を伺うこともできますが、

 

テレビ報道記者としては歴戦の猛者だと思いました。

 

お勧め度:★★ 5.0

 

 

京都寺町三条のホームズ20 見習いたちの未来展望 望月麻衣

京都寺町三条のホームズシリーズ22作目。

 

大学の3回生となった葵は、

 

京都国立博物館で3週間のインターンを経験することになった。

 

今作は、そのインターンのお話と、

 

その期間に清貴に起こる出来事を2本立てで書かれています。

 

掌編もいくつか盛り込まれていますが、目新しいことはなく、

 

事件らしい事件も謎解きもなく、凪のようなお話でした。

 

今回も校正が甘いのか、それとも読者の観察力への挑戦なのか、

 

誤字や衍字が盛り込まれていました。

 

今回の間違い探しは、

 

108ページの「ミュージカルっぽくしていただきたかったんですよ」、

 

151ページの「辞令をくださるなんて」、

 

224ページに2回出てくる「ファード」の4か所でした。まだあるかな?

 

お勧め度:★★☆☆ 3.0

 

 

霊能者と事故物件視てきました 東條さち子

事故物件に心理的瑕疵が実際になかったら、

 

お買い得な物件になるのではないかと思った著者が、

 

編集さんから紹介された霊能者と共に、事故物件を見に行くというエッセイ。

 

著者は本気で購入も考えて内見するのですが、

 

内見して気持ち悪く感じる物件があったり、

 

逆に霊に気に入られて居心地よく感じる物件があったりと様々。

 

霊が邪魔して霊能力者が来られなくなったりと、怖い現象も起きていました。

 

私は知らずに殺人現場に住み、現場だった我が家の部屋だけでなく、

 

建物内で様々な怪現象が起きていたので、

 

この霊能者さんが視て下さったら、どんな結果が出るのだろうと思いました。

 

お勧め度:★★ 5.0

 

 

ふしぎ駄菓子屋銭天堂 1 吉凶通り 廣嶋玲子

不思議な駄菓子を売っている銭天堂の新シリーズ第1弾。

 

いびきがひどく、林間学校で宿泊したくない琴美はナッシングミ。

 

テニスで実力を発揮できなくなってしまった先輩の秀哉を元に戻したい彰人は向こう水。

 

転校生の結菜に可愛さで勝ちたいふうかはマスコットマスカット。

 

エリート一家に息苦しさを感じ、

 

自分の進みたい進路も否定されてしまった信二にはプライドフライドポテト。

 

子役の頃に共演し、人気女優となった糸杉ねねの地位は自分のものだったはずだと

 

恨んでいる美晴はチェンジリング。

 

絵本の世界に入りたい貴穂はノベルベル。

 

今作は紅子の邪魔をするものが無くなり、

 

銭天堂の駄菓子を買った人々のお話を純粋に楽しめました。

 

しかしプロローグでは迷い家不動産に物件を探しに来た客がおり、

 

今後、この人物がどのように銭天堂と関わって来るのか楽しみでもあり、

 

少し面倒だとも思いました。

 

お勧め度:★★ 5.0

 

 

全国ステキな古都さんぽ 郷土ごはん&ご当地みやげ 伊藤美樹

京都、奈良、東京、鎌倉、

 

そして全国の小京都を一人旅した伊藤美樹さんの紀行マンガ。

 

名所を見学したり美味しいものを食べたりと

 

楽しい旅の様子が可愛いイラストと文字で綴られています。

 

恥ずかしながら、私は鳩居堂を「きゅうきょどう」と読むと思っていましたが、

 

この本で「くうきょどう」と読むのだと知りました。

 

人様にも「きゅうきょどう」って言っていたので、振り返ると恥ずかしいです。

 

でも、この本を読んだことで、ひとつ学ぶことが出来ました。有難い。

 

お勧め度:★★ 4.0

 

 

わけあって絶滅しました。

 も~っと 世界一おもしろい絶滅したいきもの図鑑 丸山貴史

人間にとって住みやすい星にしてまったことで

 

絶滅してしまった生き物を紹介する一冊。

 

冒頭では、環境を変える能力を持つ人間は、記録をすることもできるので、

 

生き物が絶滅した理由を知ることで、未来を変えることができると書いてあり、

 

環境を考え、学ぶことができる本でした。

 

そして絶滅した生き物が語っている部分がインタビュー風、ネットのレビュー風、

 

小説風、歌詞風とバラエティに富んでいて、また例えがイマドキで面白かったです。

 

お勧め度:★★ 4.0

 

 

海が見える家 はらだみずき

苦労して就職した会社がブラック企業と分かり、一ヵ月で退職した文哉の元へ、

 

見知らぬ男性から父が亡くなったという電話が入った。

 

離婚後、文哉と姉の宏美を男手一つで育てた父は、

 

文哉が大学2年の時に長年勤めた不動産会社を退職し、

 

南房総へ引っ越したというハガキを送ってきた際も会っておらず、

 

霊安室で久しぶりに体面した父の様子は様変わりしていた。

 

札幌に住んでいる宏美から、父の家を売却するために遺品整理を頼まれた文哉。

 

南房総の家に通ううちに、文哉の知らない父の姿が見えてくるのだった。

 

父の死に謎があるのかと思いましたが、ミステリーではなく、

 

生前の父のことを知りつつ、文哉がこれからのことを考えていくお話でした。

 

宏美にいい感情が持てませんでしたが、読後感は良かったです。

 

お勧め度:★★ 4.5

 

 

葬送のお仕事 井上理津子

ノンフィクションライターの井上理津子さんが、

 

人の死から葬儀にまでの流れを分かりやすくまとめられています。

 

葬儀社社員、納棺師、エンバーマー、火葬場職員など、葬送に関わる仕事の方を取材し、

 

仕事の内容や就業するために努力された事などのインタビュー記事が興味深かったです。

 

ただし、葬儀に携わる方への職業差別のお話が悲しかったです。

 

またコロナ禍になった際、葬送の現場の方たちも医療関係者と同じように苦悩し、

 

自分たちで検証をして安全なガイドラインを作っていったお話は、

 

もっと広く知られても良いお話だと思いました。

 

児童書ですが、世代を問わず、沢山の方に読んでほしいと思った一冊でした。

 

お勧め度:★★ 5.0