生物は秩序をもっている。秩序は、遺伝情報などをインプット(条件)として自己組織化されたものである。

 

生物は情報を集めることができる。集めることができるのは秩序があるからである。集めた情報を使って、うまく行動し秩序を維持し、熱力学第二法則に対抗する。

 

生物は情報を生み出すことができる。生み出すことができるのは、秩序があるからである。情報を生み出して、それを保持することで、よりうまく秩序を維持し、熱力学第二法則に対抗する。

 

生物は情報を集めたり作り出したりして、それを保持しようとも、熱力学第二法則には逆らえないので、死んでしまう。でもその保持した情報を生殖して受け継ぐことで、情報は保持され、新しい命にて秩序は保持できる。

 

新しい命においては、保持された遺伝情報をインプットにして、新しい自己組織化がおきて、秩序が形成される。前の世代で集めた情報の一部は遺伝情報として次の世代に受け継がれた上で、自己組織化の仕組みを用いて情報を再生成(もう一度生み出す)することで、熱力学第二法則にて失われるべく情報を取り戻す。
 
散逸構造の自己組織化とは、非平衡状態が実現した「カオスの淵」において、自発的におきるものである。ただ全くランダムに起きるわけではなく、生物全体として遺伝情報に基づいて、同じ構造が作られるよう何かしらの意図が働く。その意図とは、生物が自由エネルギー変分原理に基づいて、最も少ない自由エネルギーコストにて、その構造を保とうとするように意図があるのである。
ではこの意図はどうやって世代間で受け継がれるのか?
 
それは遺伝情報ではない。遺伝情報を読み取る仕組みか? そうかもしれない。遺伝情報を読み取る仕組み自身、コピーされて、遺伝情報を読み取る仕組みをコピーする仕組みもコピーされ、というように自己参照の無限ループに陥る。ある程度のところまではそれで近似できるから、あとの細かいところは、ミクロな自発的な自己組織化に委ねて、確率的な成功に身を委ねるということだろうか?
 
この意図のようなものは生物にしかないものか?モノにはあるか? あればそれは散逸適応という概念か??そうだとしたら、生物との違いはなにか?