熊野神社(甲山)・人喰岩


丹後国熊野郡
京都府京丹後市久美浜町小字向磯
(駐車、アクセス等は登拝記事にて)

■延喜式神名帳
熊野神社の論社

■祭神
伊邪那美命


古代より霊峰と崇められてきた神奈備山「甲山(兜山とも)」の山頂に鎮座する社。丹後の古代史を紐解く上で欠かせない、非常に重要な一社であると考えています。
◎内海となっている久美浜湾に東側から張り出す半島にその「甲山」はあります。対岸には西側から張り出した明神崎があり、丹波道主命のものという伝承墓を中心に古墳群が形成されています。古代より久美浜湾一体が聖地として考えられていたようです。
◎兜の形をした秀麗な山容、標高191.7mと神奈備山としては典型的なものかと。かつては「神山」と称されていたとか。祭祀遺跡もあるようです(現地未確認)。その中腹には「人喰岩」と称される磐座が飛び出しており、麓からも拝することができます。
◎創建由緒については、四道将軍の一人丹波道主命が地元豪族の河上麻須朗女を娶り、三男一女が生まれますが、その長女 日葉酢媛が垂仁天皇の後宮に入ったことを喜び祝い熊野の神を勧請したというもの。なぜ熊野の神なのか非常に気になるところではありますが、籠神社の秘説に熊野の神を祀るとあり、その傍証の一つと成り得るかもしれません。
◎南麓には丸田神社が鎮座します。当社が奥宮、丸田神社が里宮とされているようです。この丸田神社「人喰岩」との中間に上記祭祀跡が発見されているとか。
丸田神社の社前を流れる川はかつて入り江であり、その対岸には矢田神社御旅所が鎮座し、「拝岩(おがみいわ)」という磐座が座しているようです(探しているが未だ見つけられず)。つまり当社・「人喰岩」・古代祭祀跡・丸田神社・「拝岩」が一直線で結ばれているのかもしれません。
◎また麓には「コクンバラ」という地があり旧社地とする伝承があるようです(未確認)。なお当社は現在、こちらも北東麓に鎮座する雲晴神社の境外摂社となっています。「コクンバラ」とは雲晴神社のことのように思います。


標高191.7mの中腹(120~130m辺りか)より。中央に微かに「人喰岩」が見えます。


山頂展望台より。



こちらが「人喰岩」。上からしか撮影できませんでしたが、これ以上近づくのは命の危険があるので断念しました。

雲晴神社境内の当社遥拝所。「甲山」が美しく映えます。