憤怒 | Poco a poco -難病と生きる-

Poco a poco -難病と生きる-

スペイン語の「poco a poco」は、日本語では「少しずつ」「ゆっくりゆっくり」という意味です。遺伝性による難病、脊髄小脳変性症を患っていると診断された2015年7月(当時34歳)以降、少しずつ身体が動かなくなる恐怖と闘いながら、今日を生きる僕の日記です。恐縮です。

米資本のスターバックスに中央テーブルがあるじゃない。8人掛けぐらいの。最近、衝立のプラスチックボードが外れた。コロナ禍が収まったからか。余談が過ぎた。僕は頻繁に利用する。ウオーキングの合間とか。外出中の小休止とか。店員が珈琲を席まで届けてくれる優しさ。

 

お気に入りのコーヒーショップが嫌いになりそうな事象が発生する。背中に置いた歩行器が通路を塞いでしまっていたのか。空いている席を探しに入ってきた男性が、邪魔くせえなぁと、歩行器を蹴って通り過ぎたのだ。刹那、怒りが湧いて顔に出る。両サイドの男性客も怒る。

 

歩行器を使う客層を、ひ弱な人間像だと勝手に変換したのだろう。奥まで空席を探して、空いていないのか戻って来る。僕が座る中央席しか空いていない。怒りに満ちた僕と目が合う彼。途端に剽軽な表情を浮かべる。遅いよ。顔、晒しちゃうよ。急におどけて見せても遅いから。