友『バイト続いてるじゃん。』
友悟がビールを出しながら嬉しそうに
笑顔を浮かべた。
りかと出会ってから2ヶ月半が経過していた。
広希自身信じられないことなのだが、りかと出会ってから続けたバイトは今だに続いている。
広『りかちゃん、あの後来た?』
友悟は黙って首をふった。
広希は小さく溜め息をはき、ビールを口にする。
会話もなく時だけが過ぎる。
あの日と同じ場所、同じようにカウンターの席に座っているのに心は踊らない。
暗い顔で下を向く広希に友悟が一枚の紙を持ってきた。
それは、りかが次でる大会の日程を表すものだった。

友『行ってくれば?まぁ気付いてもらえないと思うけど、遠くからなら見れるぜ。』
広『だな。行ってみるか。黙ってても仕方ないし。』



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友『そう言えば、サッカーのオリンピック予選だよな。』
そう言って友悟はバーに置いてある大きなTVをつけた。

広『それにしても、このバーはいつも人がいねーな。バーらしくサッカーのイベントとかすれば?』
友『俺は、そう言うのは好きじゃないの。』
広『だって、どーせ見るんだろ?』
友『忙しかったらちゃんと見れないだろ!?』
広『類友だな…。』

そんな、とりとめのない会話をしていると、髪が長くて背の高い女性と背は小さくショートカットにし、肌の色が透き通るくらいきれいな女性客二人が店内に入ってきた。

友『いらっ…いらっしゃいませ。』
友悟が何かに同様した事には気付いたが、基本的に他のお客さんがいるとき広希は口を閉じる。
ただ、女性客でそれも美人となれば話は別だ。

広『おいおい。お客さんが美人だからって緊張すんなよ。』
女性客の一人はクスクスと笑っている。
これは、いけそうだなと広希が話しかけようとした時、友悟に腕を捕まれた。
友『お前あの二人が誰かわかってるのか?』
広『知ってるさ。あーいう人を美女って言うんだろ!?』
友『馬鹿!モデルの笹谷かおりと体操日本代表の坂口りかだぜ。』
広『ふーん。有名なの?』
友『知らないお前がすごいよ。ってくらいの有名人。』
広『ご忠告ありがと。ジントニック3つな!』

友悟は、広希に言われるがままジントニックを作り、広希はおもむろにかおりとりかの所に向かった。

『この店初めてですよね?俺、広希っていいます。はじめまして。いっぱい奢らせてもらっていい?』
かおりとりかは、一瞬目配せをしたが、すぐにかおりが笑顔で頷いた。
『私がかおりで、こっちの小さいのはりか。』
かおりは愛想のいい女性であるがりかは、舌を向いたまま話さない。
『りかちゃん宜しくね。』
そう言って微笑みかけるとニコッと笑顔でりかは微笑み返してくれた。
三人でジントニックを乾杯した。
しばらくすると、かおりの携帯がなった。
か『ごめん。用事ができちゃったから先帰るわ。りかはいなよ。』
り『私も帰るよ』
か『いいから。いいから。広希君宜しくね。』

初めは戸惑いながら、次第に打ち解けて、二人で色々な話をした。出ているTVの話や体操の話。
最近、りかが彼氏と別れたこと。
昔、広希がバスケをやっていたこと。

広『靭帯が延びたゴムみたいになってるらしくてさ。リアルゴム人間だよ。』
り『何でバスケから離れちゃったの?』
広『好きなものに拒絶されるくらいなら側に居たくなかったからかな。』
り『私もいつまで現役でできるかわからないけど、引退しても体操の近くにはいたいな。』
広『辛くない?』
り『生きてれば辛くない事何かないよ。それに、本当に好きならどんな時にでも側にいなきゃ。嫌われる事を恐れずにね。』

りかの満面の笑みに広希は心奪われていた。
多分、運命の日は突然やってくる。

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好きな事を仕事にできる事は幸せだと想う。
その物事がうまくいっていれば尚更だ。
でも、失うものも沢山ある事はあまり知ろうとはしてくれない。

私は、小さな頃から体操をしている。
自分らしくいられる一番の場所だと思っている。
世界大会にも出たし、何度も日本の大会では優勝している。

でも、まだ一番ほしいものは手に入れてない。
オリンピックの金メダル。
それを得るために日々練習に励み奮闘している。

そのせいで彼氏にも降られた。
『君の顔は世の中に溢れすぎているから』
くだらない。

遊んでいる時間何かない。
絶対に負けないから。


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