ニワトリの挑戦 ~エピソード0~
ニワトリ氏は、考えていた。
自分が所長になったあの日から、15年間、毎日のように考えていた。
これは、あの運命の日までの物語である。
ひよこくんがニワトリ氏と西京市に支店開設に出かけたのは、4月のことでした。当初は西京市内にある税理士法人との合併のための話が進んでいましたが、最後の最後で条件が折り合わず、白紙になってしまいました。
ひよこくんは、すぐにでも那古野市に戻るかと思っていましたが・・・。
「ひよこくん、もう少しここに残らないか」
と提案して、ウィークリーマンションの契約が延びました。その日から、二人はつてをたどって、西京市内の会計事務所を、見学していました。
「今日の会計事務所は、とても書類とかが整理されていましたね」
「そうだね。うちも徹底していると思ったけど、あれくらい徹底していると
ドキッとするね」
「それにしても、どうして所長は・・・いえ、ニワトリさんは所長から
退いたんですか?」
「おやおや。それはもう何度もみんなの前で説明したじゃないか。」
「ええ、所長になった当初から、考えていたんですよね」
「そのとおりだ」
「でも、税理士法人に組織変更して、これからという時期に、どうして
所長を退いてしまったんですか?」
「まあ、同業者からも40代で引退なんて体でも悪いのかと心配され
たけどね・・・。ひよこくんは、会計事務所の最大の問題はなんだと
思う?」
「会計事務所の最大の問題ですか? なんかスケールがが大きい
質問ですね」
「事業承継問題だと、私は、所長になる前から思っていたんだ。だ
から自分が所長になったときに、自分がいなくても周っていく仕組
みを、15年間かけてつくろうと思ったんだよ」
「所長になったときに、すでに事業承継を考えていたんですね・・・」
「そうだよ。まあ、本当の意味で入社3年目のひよこくんにも理解し
てもらうには、先代のシャモ所長時代から話さないといけないん
だろうけどね」
「先代には、当然、お会いしたことがないのですが、トメさんの話
では、相当の美男子だったとか」
「あ、ははっ。トメさんが言いそうなことだ」
どんな会計事務所にも、歴史があり、その歴史は、今の延長線上にあります。そして、未来もまた、この延長線上にあります。なぜニワトリ氏は、その思いを胸に秘め、今この地に立っているのか。ひよこくんを連れてきた理由は?
・・・まずは、日本が高度経済成長期と呼ばれた時代、先代のシャモ所長時代を、振り返ってみたいと思います。
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会計進化論。とは
「会計進化論。」とは、
(1) 会計事務所で進化する方法。
(2) 会計事務所が進化する方法。
について考えていくブログです。
(1) 会計事務所で進化する方法。
会計事務所で進化するためには、次のような基礎基本をどれだけ早く身につけるかだと、私は考えています。自分の周りを見ても、当たり前のことを、当たり前のようにできる人は、例外なしに、重要な仕事についています。また、スキルだけではなく、その人の気の持ち方、心のあり方についても考えてみたいと思います。
一 会計事務所の業務を知る(技の話)
新入社員として、あるいは異業種から転職してその事務所に入ったとき、家族や親戚に同業者がいない限りは、なかなか会計事務所がどのような業務を行っているのかは、わかりづらいものです。世の中には多くの経理や決算に関する本が出ていますが、それはあくまでも企業の経理社員向けの本ばかりで、なかなか実務的な本というのは、ありません。
そこで、私が実務を通して学んできたことをたたき台にして、会計事務所の業務をひとつずつふりかえっています。事務所ごとに、多少やり方は異なったとしても、本質は同じはずです。
二 どのような心構えが必要なのか(心の話)
営業が苦手だから、あるいは人と話すのが苦手だからという理由で、会計事務所にやってくる方がたまにいます。しかし人と向き合わないで行う業務は、ありません。必ず、人を中心にして行う仕事です。たとえ所内だけにいるとしても、所内でのコミュニケーションがうまく行えるかどうかはとても重要です。
スキルだけでは、相手の心をつかむことはできません。また、最初は同じようにみえても、その人の心がけ次第で、その後の成長カーブは取り返せないくらいの差がつきます。単なる成長ではなく、進化に必要な理念や哲学についても考えてみたいと思います。
(2) 会計事務所が進化する方法。
会計事務所という組織の話や、ビジネスモデルの話を書いてみることにします。私は別に経営者ではないので、ここに書かれていることは、現状の整理にすぎませんが、現状を整理する中で、新しい発見があるのではないかなと期待しています。
以上、再開にあたり、このブログのコンセプトを改めて考えてみました。
このブログは、会計事務所で働く私が、自分の立ち位置を見失わないようにと思って、書いているブログです。ご参考になる部分はないかもしれませんが、こういう物語もあるのだと、温かく見守っていただけますと幸いです
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【税理士法】 第52条 いわゆる無償独占
今回のシリーズでとりあげる、最後の条文です。
houko.com 税理士法 http://www.houko.com/00/01/S26/237.HTM
税理士法 第52条(税理士業務の制限)
税理士又は税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある
場合を除くほか、税理士業務を行つてはならない。
無料(ただ)で弁護士業務を行っても、罰せられません。
しかし、無料で税理士業務を行ったら、罰せられます。
それは税理士業務が、有償または無償にかかわらず、税理士にしか
行うことができないからです。
「う~ん。この文章だと誤解する可能性があるなぁ」
「どういうことですか」
「じゃあ、ひよこくん、自分が勤めている会社の法人税の申告書をそ
の会社の経理の人がつくったら税理士法違反になるかな?」
「ええっと・・・ん? なんかよくわりませんけど、違反にはならないん
じゃないですか? その会社自身が申告することになるわけですし」
「まあ、そうだよね。外部の人に委託したりした場合、その相手が税
理士ではないと、違反なわけだね」
「あれ? でも、確定申告を助ける団体って、ありますよね・・・」
P.S.
税理士業務が無償独占業務であり続けるのは、いつまでなのか。
すでに非税理士業界の企業が記帳代行の分野では積極的に参入して
います。
日本の夜明けは近いぜよ。
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【税理士法】 第48条の19 税理士法人コケコッコー⑤
さて、研修のレジュメも無事完成し、研修を終えたひよこくんは、なぜか
ニワトリ所長に呼ばれました。
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税理士法 第48条の18(解散)
第1項
税理士法人は、総社員の同意があるときは、他の税理士法人と
合併することができる。
「重要というのは・・・」
「いや、実はすでに西京市にあった税理士法人を合併してそこを
支店としているんだよ」
「いつのまに・・・」
「経営はスピードだよ。周りの環境に流されているだけでは、明日
なんてものは見えない。常に半歩先を予想し続けるんだ」
「わかりました! じゃあ、確定申告が終わったら西京支店で活動
ですね!!」
「ひよこくんには、少し変わった仕事をしてもらうつもりだけどね」
「ええっ」
P.S.
税理士会などこのあとも条文は続きますが、ひとまず、次で最後の
条文を取り上げることにしましょう。
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【税理士法】 第48条の 税理士法人コケコッコー④
さて、研修のレジュメも無事完成し、研修を終えたひよこくんは、なぜか
ニワトリ所長に呼ばれました。
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税理士法 第48条の18(解散)
第1項
税理士法人は、次に掲げる理由によつて解散する。
「そうそう。会社の解散のように、税理士法人にも同じような解散
の事由があることを忘れてはいけないね」
「所長、西京行きの話はどこへ・・・」
「この中で税理士法人らしいのは第2項だね。税理士法人は2人
以上で設立されるものだから、1人になるということは、本来の趣
旨に反するからだね」
「・・・」
「まあまあ、ひよこくん、この次の条文が重要なんだよ」
P.S.
人生というのは、あっという間に変わるものですね。
もう少しだけ、税理士法編は続きます。
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【税理士法】 第48条の11 税理士法人コケコッコー③
さて、研修のレジュメも無事完成し、研修を終えたひよこくんは、なぜか
ニワトリ所長に呼ばれました。
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税理士法 第48条の12(社員の常駐)
税理士法人の事務所には、その事務所の所在地を含む区域に設立さ
れている税理士会の会員である社員を常駐させなければならない。
「・・・というわけで、新しく支店開設する税理士法人コケコッコー西京
支店に行ってもらうことになりました」
「なんと! 所長、この忙しい時期に辞令出しますか・・・」
「税理士法人の特徴は、それまで個人ではできなかった支店開設が
できるようになったんだよ。これによって、全国に拠点が作れるように
なったんだね」
「いや、この場合そういうことはどうでもいいような・・・」
「そういうわけで、私もしばらくそっちに行くことになるけど、ひよこくんにも
一緒に来てもらいたいんだよ」
「あれ? でも、僕は別に税理士の有資格者じゃないですよ。税理士会の
会員を常駐させるってことは、資格を持っていて、税理士会に登録しない
と満たさないですよね」
「おお! いいところに気付いたね。支店を開設してもいいけど、必ず税理
士を常駐させないといけないんだ」
「それ、答えになってませんよ!」
P.S.
ちなみに、このブログでは名古屋ではなく、那古野。東京ではなく、西京と
呼んでいます。一応、フィクションなので。
もう少し、税理士法編は続きます。
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【税理士法】 第48条の7~8 税理士法人コケコッコー②
税理士法人コケコッコーへようこそ。
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税理士法 第48条の7(登記)
税理士法人は、政令で定めるところにより、登記をしなければならない。
税理士法 第48条の8(設立の手続)
第1項
税理士法人を設立するには、その社員になろうとする税理士が、共同し
て定款を定めなければならない。
税理士法 第48条の9(成立の時期)
税理士法人は、その主たる事務所の所在地において設立の登記をす
ることによつて成立する。
「なんか、会社みたいですね・・・」
「法人だよ。そもそも法人というのは、特定の法律によって、法人格を
与えられたものを言うんだよ」
「ほ、法人格ですか・・・」
「要するに、普通の人間のように、法人の名前で契約ができたりする
んだね。株式会社や特例有限会社(旧有限会社)は会社法に基づい
ているけど、さっき見たように、税理士法人は税理士法という法律に
もとづいて、法人になることができるんだよ」
「なるほど。今まではそんな法律がなかったから、個人でやるしかな
かったんですね」
「まあ、税理士同士がメディカルモールのように共同事業所をつく
ったりはしていたけど、税理士法人は総合病院のようにワンスト
ップでサービスを行うことができるから、1つの組織でいろいろなこと
ができて、動きやすいかな」
「ふ~ん。総合病院みたいに、いろいろな専門医がいるってわけです
ね」
「そういうことだ。相続対策などの資産税専門とか、うちのイヌヤマ君
のように医業特化とか、組織再編や連結納税といった案件も組織で
対応できるしね」
「外科とか内科とか眼科とか・・・・」
P.S.
メディカルモールとは、多数の診療所が集まって、連携しながら
医療を行う施設のことを言います。それぞれは独立してるんですよ。
病院でたらいまわしにされることはありますが、税理士法人では・・・。
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【税理士法】 第48条の2~4 税理士法人コケコッコー①
税理士法人コケコッコーへようこそ。
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税理士法 第48条の2(設立)
税理士は、この章の定めるところにより、税理士法人(税理士業務
を組織的に行うことを目的として、税理士が共同して設立した法人を
いう。以下同じ。)を設立することができる。
税理士法 第48条の3(名称)
税理士法人は、その名称中に税理士法人という文字を使用しなけれ
ばならない。
税理士法 第48条の4(社員の資格)
税理士法人の社員は、税理士でなければならない。
「・・・本日から、ニワトリ会計事務所改め、税理士法人コケコッコーと
して組織変更し、いっそうクライアントの皆さんの発展を支え、ここでと
もに歩く仲間が努力できる環境を提供していきます・・・」
ニワトリ会計事務所では、20XX年1月から、それまでの個人事業者として
の会計事務所から、税理士法改正によりつくることができるようになった税
理士法人に組織変更を行いました。
税理士の業界というのは、所長税理士を頂点としたピラミッド型経営が
主流です。たとえ税理士として登録していても、自分で開業しない限りはボ
ス税理士から給料をもらうサラリーマン税理士です。5科目合格を果たして
2年間の実務経験をクリアしていても、登録しない、あるいはさせないという
ケースもあったりします
ここで登場する税理士法人というのは、2名以上の税理士が監査法人の
ように「社員」としてパートナーシップを結ぶことで成立します。
「税理士法人という言葉は、業界的には定着したが、まだまだ一般の人
にとっては、『え? 何がちがうの?』というレベルだろうね」
「それにしても、いつのまに法人化してたんでしょうか・・・。いつのまにか
絵柄もかぼちゃからニワトリになってるし・・・」
「きみたちの給与も個人事業者だった会計事務所に属していたときで1
回退職扱いになって、税理士法人で再雇用されていただろう? 株式会
社などの法人成りもそうだけど、個人事業を一度廃業しているからだね」
「たしかにそうですね・・・。ああ、あれはそういうことだったんですね」
「所内で説明会をやったはずなんだけどね・・・」
「すみません・・・」
P.S.
所内の説明会はちゃんと参加しましょう(自戒)。
2月になりましたね。これから確定申告が熱い季節です。
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【税理士法】 第40条 ○○税理士事務所 VS ○○会計事務所
新年早々、突然ニワトリ所長から研修のアシスタントを頼まれたひよこくんは
早速、所長と研修のレジュメをつくっています。
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税理士法 第40条(事務所の設置)
第1項
税理士(税理士法人の社員を除く。次項及び第3項において同じ。)
及び税理士法人は、税理士業務を行うための事務所を設けなければ
ならない。
「それにしても、4つ項目がありますが、いったい事務所はつくらないと
いけないんですか? それともつくってはいけないんですか」
「税理士法人が作れるようになってから、勤務税理士の位置づけが変
わったからだね。まあ、これはあとで税理士法人を考えるときにみてみ
ようじゃないか」
「そういえば、第3項をみてふと思ったんですが、ここには、税理士事務
所と称するって書いてありますよね。○○会計事務所っていうところも
多いと思うんですけど・・・」
「公認会計士で税理士登録している先生に多いね。まあ、世間一般的に
は公認会計士の方が税理士よりも試験も難しくてランクが上という妙な
先入観もあるから、税理士資格のみの人は税理士事務所を屋号にする
し、会計士はブランドというか、会計事務所を選択するんだろうね。前に
もいったとおり、試験で合格しようが、OBだろうが、会計士だろうが、問題
は名前ではなくて、実際にどれだけ仕事ができるかだからね」
「今日はいつになく熱く語りますね」
「たまには長いせりふをしゃべってみたいじゃないか」
「結局、名前じゃなくて、自分の目で確かめろってことですね」
「そういうことだ。わからないから専門家に聞くという姿勢では、相手に
思うままだ。ある程度は自分で把握して、どんどん積極的に利用しない
とね。報酬を支払うのは、相手の時間を買って自分の時間をできる限り
有効活用するためだからね」
「う~ん。なるほど」
「顧問契約というのは、使えば使うほど味が出るスルメと同じなんだよ。
かまないで飲み込む人が多いけどね」
「あれ? でも、ここは会計事務所ですよね・・・」
「ギクッ・・・」
P.S.
自分でもなんとなくわかるけど、細かいところも含めて専門家に依頼する。
そういう姿勢がないときは、「ぼったくり」にあいます。
知は力なりです。
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【税理士法】 第38条 守秘義務
新年早々、突然ニワトリ所長から研修のアシスタントを頼まれたひよこくんは
早速、所長と研修のレジュメをつくっています。
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税理士法 第38条(秘密を守る義務)
税理士は、正当な理由がなくて、税理士業務に関して知り得た協密を他に
洩らし、又は窃用してはならない。税理士でなくなつた後においても、また同
様とする。
「それにしても、個人情報の山に囲まれていますよね」
「そうだな。その自覚を忘れてはいかんよ」
「確定申告の確認をしていますけど、年齢もわかるし、結婚しているのか
とか、あるいは身内が障害者かとかまで、なんでもわかってしまいます
もんね」
「デリケートな情報が多いから、業務中に知りえた情報というのは、決し
て他言無用だよ。これはこの業界から退いたとしても、同じだよ」
「う~ん。ネットを見ていると、芸能人の○○の顧問だったとか、情報は
流れてますね・・・」
「それは論外」
P.S.
どんなに情報化が進んでも、人間は、0と1では置き換えられない部分
をもっていることを忘れてはいけないと思います。
顧客の情報が入ったカバンは、死守しましょう。
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