八本木ヒルズにて(前編)
ニワトリ氏がテレビを見て、一風変わった経営者の姿を見たのが、2週間前でした。テレビを見た翌日にすぐに連絡を取りましたが、当初、彼は多忙で、本当なら1年後のスケジュールまでいっぱいでした。今日、30分の面会時間を取れたのは、偶然が重なっていたようです。
その会社は、西京市港湾区の中央部に位置していました。再開発が進み、数年前にできた八本木ヒルズは、まさにその象徴でした。
「これが八本木ヒルズですかぁ・・・。あ、八本足のクモだ」
「なかなか面白い建造物だね」
「それにしても、よく会ってくれましたね」
「熱意だよ」
「さすがニワトリさん」
部屋で待つこと少々。ドアが開きました。
「すみません、お待たせしました」
「こちらこそ、お忙しいところ申し訳ありません」
「いえいえ。那古野市で事業をされているとか。いやぁ、懐かしい。
私が最初に起業したのも実は出身地の大分ではなくて、那古野市
でして、あの頃は一人で売り歩いたものですよ」
「那古野市は閉鎖的なところもありますから、苦労されたでしょう」
「それはすぐにわかったので、ひたすら世間話をしましたね。それか
ら、帰り際にお菓子を渡すんですよ。経理の女性社員の方や奥様に
喜ばれましたね。いやぁ、大事な商品のパンフレットを置いていかな
いでアメだけを置いていく変なやつだと思われましたが、一人に信頼
されてからは早かったですね」
ひよこくんは驚いていた。テレビで見る姿とはこんなにちがうとは・・・。
あれはあくまでもブラウン管の中のキャラクターなのだろうか。
「それから、いくつか会社をつぶしたり乗っ取られもしましたが、今
はプロのSE(システムエンジニア)の派遣をしています。・・・本
題はそれですか」
「はい。私も同じように、プロの経理社員の人材派遣をしようと思
い、それで今日はお時間をいただいたわけです」
「興味深い。たしか税理士の業界もかなり規制緩和が進んでいる
そうですね」
「よくご存知で。今までは資格に守られていましたが、今後は自分の
身は自分で守る時代だと思っています」
「なるほどなるほど」
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【補足】
というわけで、ニワトリ氏はなにやら新しいことをはじめようとしていますが、ひよこくんは今のところよくわかっていません。しかし、本当に挑戦しなければならないのは、実はひよこくん自身だということを、この時点では知る由もなかったのでした。