こんにちわ。
今日は 身柄の拘束と自白 というものについて 少し書いてみます。
身柄の拘束 といえば 最近は ライブドアの堀江貴文前社長が逮捕され 東京拘置所に収監されているわけですが

さて まず 身柄の拘束を受ける前提としては 行為が 犯罪行為である と 認知される必要があります。
この認知が行われた結果として 国家機関による 捜査 が行われるわけです。
捜査には 任意捜査 とよばれる 国家機関が勝手にコソコソ捜査するものと
強制捜査 とよばれる 強制力を伴う捜査があります。
この 強制捜査の中に 逮捕 と 差し押さえ という捜査方法が あります。

逮捕 と 一言で言っても その中身には ①通常逮捕 ②現行犯逮捕 ③緊急逮捕 とよばれるものが あります。
わたしたちは 逮捕をされると 72時間以内に 警察官は 検察官のもとへ被疑者を送致 いわゆる 送検 さます。
その後は 勾留 するために 検察官は裁判所に10日間の勾留延長請求を するわけです。
10日間たった後は また 検察官による最長10日間の勾留延長請求が行われ 認められれば10日間お勾留延長がなされるわけです。

以上をまとめてみると
逮捕 → 72時間=3日間 送検 → 勾留手続き → 10日 → 勾留延長請求 → 10日
と 最長で 逮捕から 23日間 被疑者を 取り置くことができるわけです。

さて 手続きの話はこのくらいにして
この 勾留の期間中 捜査機関は いったい何をするのだろうか といいますと いわゆる 取調べ がおこなわれるわけです。
取調べは なぜ行われるかといえば やはり 犯罪行為を行ったことを認める供述 つまりは 自白 を引き出すために 行われるわけです。

ここで
あれ? 自白? 自白は憲法第38条で禁止されてるんじゃ? と思った人もいるかもしれません
そうです
憲法第38条 何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
とあります。

では なぜ 捜査機関は自白をほしがっているのでしょうか?

この理由を述べる前に 刑事訴訟法第320条1項を見ておきます。
刑事訴訟法320条第1項
第321条及至第328条に規定する場合を除いては、公判期日における供述に代えて書面を証拠とし、又は公判期日外における他の者の供述を内容とする供述を証拠とすることはできない。


これは 伝聞法則とよばれ 法廷で話したことのみを証拠として認め 紙で法廷に提出した調書は認めませんよ という規定です。
これは 紙で提出されてしまうと 反対尋問ができないからです。
たとえば 犯罪事件の目撃者の証言が 法廷で行われれば 弁護人はその証人に質問することができますが 紙で提出されてしまえば もう なにもできないわけです。

さて なおさら 自白する ってゆーか 調書をとる 取調べをする 意味ないじゃんか とお思いになられる方も多くなったと 思われます。

ところがです この 伝聞法則は 実は 伝聞例外の法則 と呼ばれることもあることから わかるように 刑訴法の321条から328条に多くの 例外 が 記載されているのです。
この 例外 に当てはまる場合は 紙で法廷に事前に提出することができてしまうのです。

たとえば
刑事訴訟法第322条1項
被告人が作成した供述書又は被告人の供述を録取した書面で被告人の署名若しくは押印のあるものは、その供述が被告人に不利益な事実の承認を内容とするものであるとき、又は特に信用すべき情況の下にされたものであるときに限り、これを証拠とすることができる。但し、被告人に不利益な事実の承認を内容とする書面は、その承認が自白でない場合においても、第319条の規定に準じ、任意にされたものでない疑いがあると認めるときは、これを証拠とすることができない。


とあります。
つまりは 自己に不利益な証言をした場合には 調書を認める というわけです。

えええ? なぜ? とお思いになられた方も いらっしゃるかと思います。

これは 実は 経験則上 人間はうそをついてまで 自分に不利益なことは言わない と考えられているからなのです。
まぢ?笑
ですから 拷問や脅迫といった 任意でない自白 が行われたことを立証する以外には
一度 犯罪行為を認めてしまう と つまり やりました といってしまうと
その瞬間に ほぼ 間違いなく 有罪が確定するわけです。
法廷で 自分の証言を否定しても ではなぜ調書では認めたのですか? として 証拠として採用されている調書との 矛盾を指摘されてしまうわけです。

やりました という一言で 有罪となってしまうわけです。

多くの場合においては 弁護士が 留置所に到着する前に 被疑者は 警察に調書をとられ そこでみずからの行為を 認めてしまいます
これでは 有罪をとどめるすべがない わけです。

冤罪はたとえ10000分に1件であったとしても 当事者本人にとっては その事件が人生のすべてなのです。その事件で人生 決してしまうのです。
死刑であれば 人生終わってしまうのです。

黙秘権の内容すらよく知らない わたしたちのような一般人が 警察官に あなたには黙秘権があります という 告知だけを受け 黙秘権の内容も知らないわたしたちが 強烈な自白の要請の前に 弁護士が来る前に たったひとりで さらされるわけです。

話さなくていいからね 黙秘権があるよ といった瞬間 振り向いて ねーはなしてよ ってわけです。

ですから こういった状況の中で 誤った判断をしないようにするために あるいは 権力に迎合しない たまに必要なのは 弁護人という専門家の助言 です。
その弁護人と 意思疎通をするのが 接見交通 です。

刑事訴訟法39条1項
身体の拘束を受けている被告人又は被疑者は、弁護人又は弁護人を選任することのできる者の依頼により弁護人となろうとするものと立会人なくして接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。


と 接見が保障されているわけです。というわけで 接見交通権は非常に重要なわけです。

けれどもこれを実行することは とても難しい わけです。
新築の警察署であっても 接見室はひとつ ということが往々にしてあります。

ですから こういった状況の中で 弁護人は 有罪であっても少しでも刑を軽くする 情状弁護 を行う あるいは 否認しているのであれば 無罪を勝ち取るということを 行っていくものなのです。

まだまだ改善の余地はたくさんありそうですね。

今回はずいぶん倫理的な問題にも入り込んでしまい とりとめがなくなってしまいましたが
次回は 共同正犯 についてふれようと思っていますが あくまで予定です。


文責 賢四郎