昨年度主将を務めました三木です。
先日行われた部内泳法試験をもって、2024年度
「克」シーズンは終わりを迎えました。
思い返すと沢山の思い出が蘇ります。
喜怒哀楽、全てを味わった4年間でした。
中でも主将として、同期と共に部を牽引した最後の1年間は、厳しくもやり甲斐のある日々でした。
そんな日々を過ごした今だからこそ分かったこと、そして自分の思いの丈の全てをここに綴ります。
長くなりますが、読んでいただけますと幸いです。
2021年4月、僕は葉山部門に入部しました。
昨年の9月までは、あっという間の日々でした。
思い返すと、入部当初の自分は、何でも出来ると思っていました。調子に乗っていた部分も、傲慢な部分もあったと思います。
先輩方のお陰で、競技に集中する環境が整っていたこと自体、知る由もありませんでした。
同時に部員をはじめ、周りにいる1人1人が抱える苦しみに、全く気付けていなかったようにも思います。
当時主将だった飯田さんや矢沢さんが抱いていた苦しみについても、当時は少しも分かっていませんでした。
今ではとても申し訳なく思っています。
主将を拝命した昨年の9月からは、波瀾万丈の1年間でした。
覚えているのは、いつも背中を追いかけてきた先輩方が卒部され、急に目の前が真っ暗になった感覚に陥ったことです。
僕自身は、1人では何も出来ないことを、苦しい程に悔しい程に思い知らされ、無力で弱く脆い人間だと何度も感じました。
部員の前では強気で自信を持った存在を演じ、1人になると、不安や恐怖、プレッシャーと闘い続け、そのギャップに苦しんでました。
幾ら練習をしてもベストを出せず、出来ていないことの多さに失望し、何もかもに絶望した日々。
朝起きて電車の席に座った瞬間に、自然と涙が流れてきて、それでも何とか心を奮い立たせて、練習に向かう日々。
心が折れてしまい、自分の身体もそうなってしまえば良いのにと自分自身を強く呪った日々。
救いの手を差し出してくれた周りを拒絶し、自分の殻に閉じこもった日々。
あと1発のパンチを喰らえば、立ち上がる事さえ当分不可能な状況に陥ることを十分に分かっていました。
それでも身体が動くからというたった1つの理由で、這い蹲りながら進んでいました。
様々な方の期待や信頼を裏切り、迷惑を掛けてしまったこともありました。
そして、苦しむ姿をチームメイトに見せないように、必死に偽りの姿を振る舞っていました。
手放せば、もっと楽になれるかもしれない。
逃げ出せば、もっと自由になれたかもしれない。
でも、そんな選択肢を選ぶことはありませんでした。腐ってもそんな事考えることが出来ませんでした。
それは何故か。
仲間の存在があったからです。
どんなに辛い日でも、06:30にプールサイドに行けば、仲間が居ました。
笑い合ったり、ふざけ合ったりしているチームメイトが居ました。
僕らが戦う世界は、神のみぞ知る世界です。
当日になるまで泳げるか分からないこともありますし、泳ぎはじめたとしても辿り着けないこともあります。
彼らもそのことを十分に理解している筈です。
辛いことも、苦しいことも沢山あったことでしょう。
それでも、次こそはと心を奮い立たせて、夏本番を見据え、彼らは毎日闘い続けてくれました。
そんな彼らを見て心が動かされ、明日は分からないものの、今日1日だけは、もう1日だけは頑張ってみよう。
そんな風に思い、進んでいました。
それを少しずつ積み重ねていた結果、最後まで戦い抜くことが出来ました。
彼らに救われ、ここまで闘い続けることが出来ました。
ここまで辿り着けた要因の一つに、運もあったと思います。
でも、それ以上に、チームメイトをはじめ周りの方々に何度も支えられたお陰で、これまで歩み続けることが出来ました。
誰よりも自分の性格を分かってくれている家族は、口を出さず温かく見守ってくれました。
「逃げても良い」という言葉に、心が救われました。
喧嘩しながらも、4年間共に走り続けてくれた同期は、生涯の友です。決断に迷った時に、何度も背中を押してくれ、そして時には厳しい言葉も掛けてくれました。
いつでもお話を聞いて下さり、叱咤激励して下さった先輩方は、恩人です。
言葉の1つ1つに救われました。真っ直ぐすぎて、周りに迷惑を掛けることも多い自分に、どんな時も、真正面から向き合って下さりました。
こんな自分を信じ、最後まで付いてきてくれた尊敬するチームメイトは、僕の第二の家族です。
ここで改めて伝えさせて下さい。
共に戦い続けてくれて、ありがとう。
信じることの大切さを教えてくれて、ありがとう。
そして何よりも、僕らの夢を叶えさせてくれて、ありがとう。
戦い続ける勇気や感動を与えてくれた他の體育會の友人は、戦友です。時に苦しさや悔しさを分かち合い、時に嬉しさや喜びを分かち合いました。彼らには尊敬の念しかありません。
その他関係者の方々をはじめ、本当に多くの皆さんのお陰で、ここまで辿り着くことが出来ました。
感謝しかありません。
本当にありがとうございました。
長かった旅路を終え、今はやり切った満足感と一瞬で過ぎ去った儚さを感じています。
伊東の地を踏んだ時に抱いた嬉しさや喜びを、今後超えることは出来るのでしょうか。
でも、21歳で人生のピークは迎えたくないです。
次の針路はまだ定まっていませんが、少し休んで、より高みを目指し、走り出そうと思います。
これからも夢を追い続けます。
そして、沢山の方々からいただいたご恩を、今度は後輩のみんなへ返していくことが出来ればと思います。
最後に、僭越ながら、今引退ブログを読んで下さっているあなたへ伝えたいことがあります。
自分は高尚な人間でも何者でもないですが、これからの自分の戒めとしても、1つだけ伝えさせて下さい。
頑張りたくても、頑張ることが出来ない瞬間が人にはあると思います。
周りは前に進んでいく一方で、自分は少しも進めていない感覚に陥ることもあると思います。
誰にも理解され難いような痛みや苦しさを感じたり、そこから逃げ出したくなることもあると思います。
そんな状況に陥ると、そこから抜け出すことは中々難しいです。
抜け出そうともがいた結果、更に深い闇へと落ちていくこともあります。
そんな時は、勇気を出して止まってみて下さい。
頑張っているあなたを、自分自身を讃えてあげて下さい。
休んでも良いと思います。
辞めない限り、道は目の前に必ず広がっていきます。
だからこそ、一旦立ち止まる勇気や、休む勇気を持つことは、その先の将来に繋がることだと今では思います。
ほっと一息つくだけで、冷静になって考えられるかもしれません。
そして、周りはその事を認識することが必要です。
もしかしたら、今すごく辛いけど、生きづらさを抱えているかもしれないけど、頑張っているのかもしれない。
もしかしたら、誰にも言えないような不安や閉塞感を抱えながら、人知れず1人で戦っているのかもしれない。
そんな風に周りが見えた時は一言掛けてあげて下さい。
「大丈夫?」「何か辛い事あった?」と。
それだけで、1人ではないと思えます。
元気が出ますし、勇気が出ます。
どれ程関係性が濃くても、自分は自分で、他人は他人であることは変わりません。
それでも、出来ることがある筈です。
恥ずかしながら、自分は主将になって、初めてそんな事に気付きました。
今まで多くの方々にご迷惑を掛けてしまって、本当に申し訳ないです。
気付くまでに20年以上掛かりましたが、今気付けて良かったと思います。
もし、そんなことが自分に、身近に起こった時には、この事を思い出して下さると幸いです。
長文にも関わらず、最後まで読んで下さり、ありがとうございました。
最後になりますが、共に闘ってくれた仲間、支えて下さった多くの方々、そして葉山を愛して下さった全ての皆さんへ、全ての思いを込めて伝えさせて下さい。
葉山での4年間は、僕の青春の全てです。
皆さんに出会えたことは、僕の財産です。
そして何より、葉山部門に出会えることができ、幸せでした。
出会って下さり、支えて下さり、本当にありがとうございました。
これからの葉山部門にも乞うご期待。
またどこかでお会いしましょう。
では。
2024年度慶應義塾體育會水泳部葉山部門主将
三木絃士朗