唯一怖かった時間は
練習するピアノの曲を選ぶ時


ピアノの教室に通うことは楽しくて
先生は普段は面白いし優しいし、


子供とは言え、
上手くいかないことが続いて
教室に入った瞬間にボロボロ泣いて
しまったことがありました。


そう言う時なんかは
ピアノのレッスンはしないで
子供相手に上手に話しを聞いて
帰りは笑顔で帰るぐらいの
素敵な先生です。


子供心ながらに
先生は育ちが良くて
頭も良くて
でも強さもある憧れの人です。


ただ、一つだけ下痢しそうなほど
緊張する時間があった…


『そろそろ次の曲をを選んで
練習しようか〜

多分、好きな曲じゃないと
あなたは上達しない気がするから
どれがいい?


そう言われて最初の頃は
あれが好き!これが好き!


と言ってたんだけど、
先生の顔がどんどん…仏頂面になる。


プロ育成コースだと怖いらしいけど、
アテクシは趣味で習ってたんで


先生は怒ったりしないで
気長に教えてくれるし、


アテクシの指の動きを見て
弾きやすいように先生の方から
ほぼ毎回アレンジして
弾きやすいように指導してくれる。


先生が何曲か弾いてくれて
どれが好きかしら?
と尋ねるんですが。


心が弾む曲が中々なかったりすると
次回までに選曲して来てね♡
と言われ必死に何曲か探して来るも


無言の怒った顔…

最初の頃は本当に何でも良かったんだけど
少し弾けるようになると
純粋なクラシックを弾くことが
当たり前で必死に譜面を読んだり
CD聴いたりして探すものの、


ムッカーとした顔で黙る。

弾きたい曲、
好きな曲を選んでね♡
その方が上達するから♡


と言う割には首を縦に振らない。


アテクシも
超おこがましい曲や
勘違いレベルな曲は
選んではいないはず…
(ピアノは好きだが弾くのは下手だと
思ったからハードル高いものは避けてた)


そしてアテクシが選曲した
何曲かを先生が突如


何かに取り憑かれたかのように
美しく弾く…


『…って感じなんだけど、
出来る?出来るの?
したい?したいの?


是非、あのお姿をお見せしたいがサンプルが中々ない。

ピアニストを舐めたことなど
ありませんが、

直前まで煎餅の話しして笑ってた先生が突如、
別人のようになりアテクシの選曲した作品を…
カーネギーホールですか?
な勢いで弾き


出来るの?やりたいの?


とかなりの形相で迫り
絶対に『はい!』と言えない状態。


まだ練習が残ってる曲を猛特訓し
追い込みに入り、
次回、ちゃんと弾けたら

次の曲に入りましょうね♡

となり、非常に困って
またダメ元で探したんだけど、


好きな曲だけど難しいから

『どのレベルで
選んでんのよっ!』

とか言われたら怖い…

と怯えながらも時間が無いので
叱られる覚悟で行って(下痢しそう)


差し出した作品を見た先生は
パッと笑顔になって

『うん、少し難しいけど
良いと思うわっ♡

じゃ、一回、先生が
弾くからね♡』

意外にご機嫌で許可が下りた。


ショパンの『雨だれ』です。

も〜、これしか好きな曲は
残ってないんだけど…

怒られるよなぁ…
だって…


『感情を込めて!
違うわっ!

好きな人を思い浮かべて!

いや、もっと激しく!
そう、そう!いや!違う!
そこは悲しくて!
死にたい気持ちよっ!

もっと強くっ!
もっと激しく!
そこは優しく!
そうっ!
もっと早くっ!
そこはっ!繊細にっ!

少しいやらしく聞こえるかも
知れませんが、

感情や強弱をつけるのに
とにかく時間が掛かる子で、

弾けても、ただ強く鍵盤を押すんじゃないの、
感情を込めて、作品を理解して、と

丁寧に教えてくれるので
楽しいは楽しいし、

褒められることが少ないピアノレッスン
で上達したと褒められると

頑張って良かった〜!

となります。


雨だれはその時のアテクシには
憧れの曲

当たり前だが聴いてるより
弾くテクニックとか全然自信がない。

のにルンルン🎵な先生。


雨だれの鬼特訓が終わり、
(かなり大変でした…

特に1:30辺りからはかなり
当時のアテクシには厳しかったし
でも、好きだったから特訓しました

参考までに



また次の選曲の時に勘で

ショパンを選んでみた。

先生
めっちゃ
ご機嫌すぎ


どうやら、ショパンがお好きらしい。


ベートーヴェンのある作品を
持って行ったら

頼んでないのに第1楽章から最終章まで
取り憑かれたかのように
弾いて下さり諦めさせる
先生。

なので習って弾いてみたかった
作品の殆どは習えなくて

先生のことは好きだったので
先生が喜ぶショパンで続ける…

ど素人だったんで呼ばれた
リサイタルに行ったら
先生、やっぱりショパンで


それはそれは美しかった…

感動して楽屋で素敵だった!
と感動して泣きながら言ったら

『じゃあ、次回は
今日、私が弾いた作品
で練習しようねっ♡』

えっ…
悲劇の特訓以外は楽しい先生。

今でも時々会ってお茶するけど
ショパン以外は許さない
理由は怖くて聞けない。


子供の頃、
ジョージ・ウィンストン
と言う方の作品

『憧れ、愛』と言う作品を
お天気ニュースの時に
耳にして子供ながらに
感動しCD買って
母もピアノとバイオリンが
好きで、


バイオリンを習わせたいと
相談したら、

『片耳が聞こえてないなら
無理です』
と言われて、悲しかったわと

この先生に話しをしたら

『娘さんがやる気あるなら
レッスン受けるわよ?

でも、絶対にプレッシャーは
与えないでね』

から始まり
楽しく通えたし

想像力も当時、音楽家たちの
暮らしや叶わない恋、
病気で静養している時に
看病する最愛の人を想って作った作品
なのよ、と


子供のアテクシに
ちゃんと気持ちを込めて
お話ししてくれて大好きだった。


映画『ピアノレッスン』のサントラ買ったら
マイケル・ナイマンの楽譜がついてて、

これ!本当に本当に弾きたいです!
先生の趣旨から外れてるけど、
教えて下さいっ!


と本気でお願いしました。




映画の内容が理解出来ない子供だったけど、
この曲を弾きたい!
と感動して、

アテクシらしくないほど
真面目に特訓を重ねて

普段はクラシック以外は聴かない
先生も必死に特訓してくれました。




今は殆ど弾けなくなってしまったけど

ピアノレッスンの思い出と
先生の人としての優しさに
救われました。