「ジャパネットたかた前社長 高田明氏のインタビュー」


誰もが口ずさめる聞き慣れたテーマメロディ。

独特のトーンと語り口調。卓越したプレゼン能力で通販界の風雲児として走り続けてきた株式会社ジャバネットたかた前社長高田明氏(67)は今、若々しい表情と軽やかな足取りでまた新たなステージでさらなる輝きを放とうとしている。


〇自己を更新する

 パソコンやスマートフォンから気軽に商品を購入できるネット通販は扱う商材の幅も年々拡がり、今や“買えないものはない” というほど欲しいものがすぐに手元に届く便利な時代を作った。しかし、その商品が本当に求めていたものなのか、使い勝手はどうかなど多少の不安はある。一方、対面販売は実際に商品を手に取り販売員とのやりとりで安心して購入できるものの、店舗に足を運ぶ手間もある。徹底した顧客志向のサービスで高田氏は30年も前からその両者の不便さを見事に解決する視点に着目していた。

テレビの画面で、消費者が知りたいであろうことを的確にキャッチし説得力のあることばと画面で伝える。しかも、品物はすぐに手元に届くのだ。家業のカメラ店の販売から通販販売の分野に進出し、またたくまに高田氏の存在は広く知られるようになりジャパネットたかたは2010年には過去最高の売上高(1759)円を記録する。


「大きな会社になったという自覚や優越感も反面、劣等感もないんです。今の瞬間をとにかく一生懸命生きることを大切にしてきた。その結果が階段を一段一段上がって自己更新につながっている」のだと言う。常に自己更新を重ねバージョンアップし続けるエネルギーは氏の最大の強みであり魅力だ。


○「ほめる」と「叱る」のバランス

高田氏は昨年一月にジャパネットたかたの社長を退任し、長男の旭人氏に後任を充てている。カリスマ的な高田氏が次代を担う後進たちをどう育てるのかをたずねた。「私の時代は走り続けてその背中を見せてついてこい、この方針で行くぞ、という感じでしたが今はそれだけではうまく機能しない。若い人は若い人の感覚を大切にして欲しい。ほめたり叱ったりしながら育てること。ただ、私はほめると叱るのバランスが1:9なんです。たくさんほめて少し叱るのではなく、たくさん叱るけど少しほめる。そのかわり叱ることにたっぷりの愛情を注ぐんです。」

コーチングでも「ほめて育てる」は基本であるが、ほめることよりも叱ることが難しい時代となった。高田氏の「叱る」は妥協しないことだと言う。一本筋の通った愛情を伝えること、叱らずに無関心でいる方がずっと残酷なことだと。

「一流を目指す人は中途半端ではなく、これでもか、というほど何度もチャレンジを繰り返して成長していくもの。一生懸命にやった結果の失敗は失敗じゃない。自分への課題や試練と思えばそれを修正していけばいい。中途半端ではなく、本当に真剣にやれば結果的に本人も周囲の人も幸せになると思う」

この揺るぎない信念と温かさに後進は育てられ、より進化した組織を作っていくのだと感じる。






○ものの価値を伝えること

一番うれしいことは商品の価値が伝わり、お客様から感謝のことばをいただくとき。「伝えたいことが伝わったという感動ですね。物を売るということは、物の良さはもちろんのこと、作った人の思いやその価値を伝えること。いつのまにか「離見の見」(客観視)を忘れて「我見の見」(主観視)だけで伝えようとしてしまう。伝えられる立場に自分を置いて伝えられるかを常に考えていきたい」と語る氏の眼差しは常に未来を見つめている。

元気の秘訣はくよくよと考えないこと。起きてしまったことから逃げないで受け入れること。そして、そこから行動することだという。「だから苦労じゃないんです。悪かったら修正する主義なのでそれを楽しむんです」

前向きで潔さを感じる高田氏の新たな会社である「A&Live」。には「生き生きと」

という意味が込められている。