札幌でアカシアの花が咲くのは、例年だと北海道神宮例祭(札幌まつり)の頃なので、6月中旬になります。今年は、肌寒い日が多いので開花時期は早まらないようです。![]()
それでも、比較的早く咲く木があって、北大獣医学部前のテニスコート脇にあるアカシアの木は、既に満開になっています。
【アカシアの花】
アカシアの花は食べることができます。
「土を喰う日々」(水上勉著)の「四月の章」に、次のように書かれています。
【四月の章】
アカシアの林は、軽井沢では湿地に茂るとされている。ぼくのいる南ヶ丘一帯には、白樺も多いがかなりのアカシアがあって、春は梢に白い花が咲く。いつかぼくは、この花ざかりをみて、心を打たれたが、若い蝉のうす羽のような葉の立つ梢を見上げていたら(ゴルフ場でのことだったので)年配のキャディさんが、「あれを千切って天ぷらになさると美味しいですよ」と言った。
そこで、さらりと揚げて食べてみたところ、「うまさが舌を這った」というのが、締めくくりです。
つまり、アカシアの花を天ぷらにして食べると、とても美味しいということです。
北大構内に咲いているアカシアの花を千切って食べるわけにはいきませんが、余市エコビレッジの近辺には、知り合いの農家の敷地内に生えたアカシアの木があるので、今年は、お裾分けしてもらって天ぷらと酢の物に挑戦しようと思います。![]()
石川啄木の歌に、アカシアが次のように詠まれています。
アカシアの並木にポプラに
秋の風
吹くが悲しと日記に残れり
石川啄木は1907年(明治40年)9月14日から9月27日まで札幌に滞在しました。その間、9月19日発の手紙に、次のとおり書いています。
【1907年(明治40年)9月19日 札幌発】
札幌は大いなる田舎なり。美しき木立の都なり。アカシアの並木には秋の風吹き候。水はつめたし、静かにしてさびしく、しめやかなる恋のたくさんありそうなところなり。

