普段、研修の仕事をしていますが、言い換えると「言葉の商売」をしています。
そこでつくづく実感するのが、
「言葉は、本質的に伝わるものじゃない」
ということです。
部下とのコミュニケーションでも、このように感じること、ありませんか?
「そんな風に受け止めてたの?」
「そんなことで引っかかってたんだ」
と、こちらが伝えたいこととは違う形で伝わってしまうと、コミュニケーションって難しいなぁと感じてしまいます。
ここで、まずわかっておかないといけないことは、
「人間は、基本的に言いたいことを言って、人の話を聞こうとはしない生き物である」
ということです。
だから、「相手の立場に立ちましょう」とか「傾聴」が大切ですと言い続けないと、人は他人の話を聞こうとしなくなってしまうんです。
加えて、我々が発している言葉の奥には、その言葉に隠されたいろんな想いがあるんです。
だから、表面的な言葉の部分だけで、相手のことが分かったつもりになっても、実は分かっていないことが多いんです。
では、コミュニケーションの主役は「口」でしょうか?
違います。
コミュニケーションの主役は、「眼」と「耳」なんです。
メラビアンの法則にもあるように、人は相手が口から発する言葉よりも、眼で見たものや耳で聞いたことから得ているものが多いんです。
だから、言葉だけでなく、眼で訴えたり、言葉の強弱やスピード、間の取り方、身振り手振りを使って伝えようとしますよね。
このことを分かっていないと、一生懸命、言葉の言い回しばかり工夫して、事例も沢山用意して伝えようとするけど、沢山しゃべっているだけで何も伝わってこない、だって本気で思ってないでしょ?って言われたりするんです。
そして、コミュニケーションを取るときには、3つの視点を持つことです。
①自分の視点(1人称)
そもそも、私は何を伝えたいのか?を明確にする
②相手の視点(2人称)
相手はどう受け止めているのか?相手の立場だと、どう感じているのかを考える
③客観的に2人を見る視点(3人称)
今、この状況で2人が話をしていることは、周囲からどう見えるのか?
かみ合っているように見えるのか?もめてるように見えるのか?
特に3人称の視点で自分のコミュニケーションを客観的に見ることが出来るようになると、自分の言いたい事だけでなく、相手がどう受け止めているかもつかめるようになってきます。
相手が言ったことに対して、
「なぜ、そんなことを言うんだろう」
と考え、問うてみると、言葉の奥に隠された想いを聴くことが出来るようになり、コミュケーションも上手く図れそうですね。