闘魂日記<by 伴走社>

闘魂日記<by 伴走社>

研修の取組みを通じて、人が育つ職場とはどうあるべきかを考えます。そして、研修成果、自己革新の行動が継続し、成果に繋げる取組みを追求していきます。

「年上の部下が、方針に沿って動いてくれない」

「指示したことは最低限やるけれど、新しいことには消極的」

「こちらが年下なので、強く言いにくい」

 

こんな悩みを持っている管理職の方、多いのではないでしょうか?

 

特に、経験豊富な年上部下に対して、

 

「もっと主体的に動いてほしい」

「方針を理解して、周囲を引っ張ってほしい」

 

と期待を伝えても、本人の反応が薄いと、ついつい

 

「あの人はモチベーションが低い」

「何を言っても変わらない」

 

と決めつけたくなってしまいます

 

しかし、本当に「やる気がない」のでしょうか?

 

もしかすると、

 

「この方針に取り組む意味が分からない」

「これまで積み上げてきたものを否定されたように感じる」

「若い上司に、自分の経験を軽く見られている気がする」

「どうせ頑張っても評価されない」

 

と感じているのかもしれません

 

つまり、管理者である私たちはストレスを感じながら接してるつもりですが、年上部下も同じようにストレスを感じながら私たちと接しているということを理解することが必要です

 

表面上は「動かない」という状態でも、その理由によって、上司としての働きかけは変わってきます

 

ここでやりがちなのが、

 

「まずは、本人のモチベーションを上げないと…」

 

と考えてしまうことですが、上司が部下のモチベーションを上げることは出来ません

 

上げることができるのは「テンション」です

 

なので、上司ができるのは、やる気を注入することではなく、

 

「動く意味をつくること」

「動ける条件を整えること」

「動いたことを成果につなげること」

 

です

 

モチベーションが上がったら行動するのではなく、納得できる小さな行動から始め、その行動が役に立ったと実感させることで、少しずつ、「出来そうだ」「もう少しやってみよう」と少しずつ意欲が高まる確率が上がるんです

 

では、年上部下に方針行動を取ってもらうためには、どんな働きかけをすればいいのか?

ポイントは5つあります

 

1.「なぜ動かないのか」を決めつけず「聞く」

 

まず必要なのは、指示や説得ではなく、対話です

 

「今回の方針について、率直にどう感じていますか?」

「取り組むうえで、気になっていることはありますか?」

「これまでの経験から見て、うまくいかないと思う点はありますか?」

 

と部下の考えを聞いてみることです

 

このときの留意点は、すぐ批判したり説得しようとしないことです

 

年上部下が口にする懸念の中には、過去の失敗経験や現場を知っているからこそ見えるリスクが含まれています

 

だからこそまずは、

 

「そう感じているんですね」

「その懸念は確かにありますね」

「過去に、似たようなことがあったのですか?」

 

と受け止めることです

 

意見を受け止めることと、相手の言うとおりにすることは同じではありません

 

受け止めたうえで、何を取り入れ、何を方針として進めるのかを上司が判断することが大切です

 

2.方針の「指示」ではなく「意味」を伝える

 

「会社で決まったからやってください」

「今期の方針だから従ってください」

 

これだけでは、人は最低限しか動きません

 

伝えるべきなのは、方針そのものだけではなく、

 

「なぜ、今これに取り組むのか」

「何を変えたいのか」

「取り組まないと、将来どうなるのか」

「本人や職場に、どんな良い変化があるのか」

 

という方針の背景と意味を物語として伝えることです

 

例えば、

 

「この取組みは、単に訪問件数を増やすことが目的ではありません。若手が既存のお客様との関係を深め、将来自分で提案できる状態をつくることが狙いです。そのために、〇〇さんの顧客対応の経験を若手に伝えてほしいと思っています」

 

と伝えることで、単なる件数目標が「自分の経験を次世代に残す仕事」へと変わります

 

年上部下にとって、自分の経験がどう生かされるのかは、大きな意味になります

 

3.経験を尊重しながら、役割を具体化する

 

「経験を生かして、みんなを支援してください」

 

これでだけは、部下は何をすればよいのか分かりません

 

期待していることを、具体的な行動に落とし込んで伝えることが必要です

 

例えば、

 

・週に1回、若手と顧客対応を振り返る
・過去の成功事例を月1件、チームで共有する
・重点顧客3社について、若手と同行計画を立てる
・会議で懸念を述べるときは、代替案も1つ出す

 

といった行動です

 

ここで大切なのは、上司が一方的に決めるのではなく、

 

「この方針を進めるために、〇〇さんの経験をどこで生かせそうですか?」

「無理なく始めるなら、まず何からならできそうですか?」

 

と相談しながら決めることです

 

自分で決めた行動には、本人なりの責任が生まれます

ただし、「どうしたいですか?」とすべてを相手に委ねてはいけません

上司として求める最低ラインは、明確に示す必要があります

 

4.大きな変化ではなく、小さな行動から始める

 

長年続けてきた仕事のやり方を、いきなり大きく変えることは簡単ではありません

 

最初から高い目標を求めると、

 

「どうせできない」

「また一時的な取組みだろう」

 

という気持ちを強めてしまいます

 

まずは、1週間から2週間で実行できる小さな行動を決めます

 

そして、行動したら、

 

「やってみてどうでしたか?」

「相手の反応に変化はありましたか?」

「次は何を少し変えてみますか?」

 

と振り返ります

 

結果が出たときだけ評価するのではなく、

 

「これまでやっていなかったことに着手した」

「若手に声をかけた」

「会議で建設的な意見を出した」

 

という変化も、具体的に認めることです(この積み重ねが重要です!)

 

「ありがとうございます」だけではなく、「〇〇さんが若手に声をかけてくれたことで、本人が相談しやすくなっていました」

と、行動が周囲に与えた影響まで伝えると、本人も自分の役割を実感しやすくなります

 

5.敬意は払う。しかし、遠慮はしない

 

年上部下への指導で最も注意したいのは、「年上だから言いにくい」と必要な指導を避けてしまうこと、あるいは、上司だからと年下の部下と同じ強さで指導してしまうことです

 

「年齢や経験には、敬意を払う」

 

しかし、組織の一員として果たすべき役割まで曖昧にしてはいけません

 

何度対話しても、合意した行動を取らない場合には、

 

「経験や考えは尊重しています。一方で、この方針はチームとして進めます。〇〇さんには、〇日までにこの行動をお願いしたいです」

 

と明確に伝える必要があります

 

それでも実行されない場合は、

 

「何ができていないのか」

「どのような影響が出ているのか」

「いつまでに、どう改善してほしいのか」

 

を具体的に伝えることです

 

優しく接することと、曖昧にすることは違います

 

年上部下に配慮するあまり、行動しないことが許される職場になれば、きちんと取り組んでいる他のメンバーが不公平感を持ちます

 

信頼される上司とは、何でも相手に合わせる人ではありません

 

相手への敬意を持ちながら、言うべきことを率直に伝え、一緒に前へ進もうとする人です

 

年上部下には、これまで積み上げてきた経験があります

 

一方で、組織や顧客、仕事の進め方が変化する中で、

 

「自分はこれから何を求められているのか」

 

が見えなくなっている人もいます

 

そんな部下に必要なのは、「もっとやる気を出せ」という叱咤激励ではありません

 

これまでの経験を認めながら、

 

「その経験を、これからの方針の中でどう生かすのか」

 

を一緒に見つけることです

 

そして、具体的な行動を決め、実践を振り返り、少しずつ本人の役割をつくり直していくことです

 

部下のモチベーションが低いと感じたとき、部下だけに原因を求めてしまっていないか?

上司として、方針の意味を十分に伝えているでしょうか?

本人の経験を生かせる役割を、具体的に示しているでしょうか?

敬意を払うことを理由に、必要な指導から逃げていないでしょうか?

 

相手が変わるのを待つのではなく、まずは上司である私自身から対話の仕方を変えてみる

 

その一歩が、部下の行動を変え、チームの空気を変えるきっかけになっていきます

 

いきなり5つのポイント全部をやろうとせず、不足してるなと思うポイントから始めてみて下さい

 

どのポイントから取り組みますか?