第70回記念栃木県芸術祭美術展
書道部門出品
「一心」 84cm×174cm
取り組み始めてから200枚、素材を変え淡墨から濃墨に変え、やっと、書き上げた一作。
矢板市の花火大会、花火が鳴る中夢中に書いていた10月中頃。
作品、発表数は多いですが、どれもこれも、やっとの思いで作っていく一作。
人生のその一瞬はかけがえのない一瞬であるように、一作一作もその一瞬を紙に鋳込むように作っていきます。
この一作の裏には、何枚もの駄作があります。
書って、そういうもの、だと教わった。
「自分らしい字を書きなさい」
最近公開された映画「ボクの妻と結婚してください」の後半、作中の織田裕二のセリフとして出てきます。
自分らしい字を、、ふと心に沁みた。
書道は、伝統芸は、とにかく古典と先師とをなぞるもの、歴史をなぞるものだと思っています。
まずそのことで型と、揺るぎない腕を手に入れる他に道はありません。
では、自分らしいとは、何か。
とにかく歴史をなぞることで、得られるものから、自分らしさは滲み出てくるもの?
それもそうだと思います。
けど、自分らしい字、自分らしさとは、
今のところ、 感動する力 だと思いました。
子供のように、何かに感激し、感動し、当たり前のことにも喜んだり笑ったり、できる心。
そんなものがあれば、芸術はできます。
もしそういうものを失くしてしまうと、
どれだけ上手くても、ダメになるものです。
そして最後まで「一心」に、生きることです。
8日まで。
栃木県総合文化センターにて。
ありがとうございます。