『監獄のお姫様』、TBSの火曜ドラマが面白くてタマンナイ。

録画したものをなんどもリピートしています。

 

一つ、セリフが気になりました。

 

「離婚の理由?不倫しか言語化できなかった。でも、それだけじゃない。言えないものがたくさんある」

 

みたいなことを、主人公(?)の女性が言っていました。

 

 

 

言語化できないことはたくさんある。

 

ふむふむ…

ふーむ…

 

…ア!

 

そういえば我が身にも思い当たることが。

 

二十代のころ付き合っていた彼女に、別れ話のときに言われた一言…

「◯◯(僕のニックネーム、恥ずかしいので伏せます)がやさしくなくなった!」

 

 

はぃぃぃぃぃぃ?

 

やさしくなくなった…?まったく以前と変わらない、いや以前より(自分では)やさしくしているはずなんですけど!という僕の叫びは届かずに終幕を迎えたのですが…

 

「やさしくなくなった」、こんな方便も使いようによっては効果的です。

 

 

つまり、彼女にも別れる理由がわからなかった。いや、きっと、直接の理由は言えないから、他の理由を探したけど見つからなかった。

で、「やさしくなくなった」が出ました、とさ。

 

曖昧にもほどがありますよね。

 

 

僕の場合…

「◯◯がやさしくなくなった」は、「◯◯よりもっとやさしい人が見つかった」ということでした、後から聞いたところによると(ンダヨチクショー!)。

 

 

離婚理由だって、トップが「性格の不一致」だったりしますよね。

なんジャこの性格の不一致って?

 

 

性格なんてそもそも一致しない!

 

それをなぜ敢えて離婚理由にする?


言葉にできない、ということは二つ状況が考えられます。

 

 

一つ。たくさんありすぎてわからない(『監獄のお姫様』系)

二つ。それ言っちゃうとお終いよ(「もっと好きな人ができた」系)

 

 

どちらも言語化できません。

そこで、「性格の不一致」とか「やさしくなくなった」とか「とりあえず不倫」とか、回答し易い言葉を見つけるしかない。

でも、そればかりではない。

 

 

原因はたくさんあるんです。

きっと、不倫で離婚した、というカップルも、不倫という出来事がきっかけになっただけで、それ以前から離婚につながるマグマはたまっていたんでしょう。

 

 

さて、「わからない」ことはそのままに進む。

 

 

玄侑和尚からの助言です。

 

 

生き方とでも言えるでしょうか?

生き抜き方とも。

 

 

「単因論」。

なにか一つの原因に囚われていることです。

 

原因を追求することも必要でしょう。でも、なにもあげても、いくつあげても不完全なんです。

 

だから…

「わからない」ことを「わかろうとする」

「わからない」ことを「わかったふりする」

 

 

どちらも無理が祟ると思います。

単因論は我が身を縛ります。

だから…

「わからない」ことは「わからない」ままに。

 

 

ここに禅の奥妙はあるようですね。

 

 

 

さて、玄侑和尚の「日刊スゴい人」の記事は来月初めに配信されます。
お楽しみに。

 

 

 

 

 

プロフィール

大竹 稽(Kei Ootake)
モラリスト、作家。てらterra株式会社 代表取締役 産経子供ニュース編集顧問

1970年愛知県生まれ。旭丘高校から東京大学理科三類に入学するも、医学に疑問を感じ退学。その後、私塾を始める。現場で授かった問題を練磨するために、再び東大に入学し、そこでフランス思想を研究しながら、禅の実践を始める「お寺で希哲する」を開きながら、共生問題と死の問題に挑んでいる。

既刊/「賢者の智慧の書」「つながる仏教」「ニーチェの悦び」「読書感想文ドリル」
近刊/「ココロってめんどくさいね」